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金魚日和

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指先からソーダ/山崎ナオコーラ

2010年08月12日 | 本・作家
普段は腫れぼったい一重マブタの自分も、
夜更かしした翌朝はプチ整形バリの二重マブタになる。
昨日、仕事帰りに表題の文庫本を購入し、一気に読んだ。今朝は二重マブタだ。


4年程前、文庫化されたばかりの『人のセックスを笑うな』を手にした時、心の中で、うなった。

なにしろ『人のセックスを笑うな/山崎ナオコーラ』、である。
試しに10回程心の中で繰り返し唱えてみて欲しい:人のセックスを笑うな/山崎ナオコーラ、と。
いかに完成されて隙が無いか、
無駄な復唱がどれほどお腹を空かすのか、
「♪お腹と背中がくっつくぞぉ~」は内臓の存在を無視しまくった歌である、
等々のことなどがお解りいただけると思う。


ナオコーラさんの作品を読むのはそれ以来なので、今作で2作目だ。
他の作品を手にした事も何度かあったのだが、買う迄には至らなかった。
自分の中で、初めて“タイトルと著書名”に触れた時のインパクトが強過ぎて、
小説そのものからそれ以上の内容を読み取る忍耐力をスポイルされてしまった感じなのだ。


今のところ唯一のエッセイ集であるらしい『指先からソーダ』からは、
『人のセックスを笑うな/山崎ナオコーラ』のレトリックを生み出した背景が透けて見え、とても興味深い。
“瑞々しい感性”なんて言葉を使う感性が既に腐っている事は承知の上で、
そう評せざるを得ない程、 『ナオコーラ』を名乗る感性の正当性・説得力に溢れている。


何十年か先、この人が老いた時に感じた世界の話しを読んでみたい、と思わせる作品。


…『男友だちを作ろう』企画、次回は“普通のおっさんと友達になろう”、とかどうでしょうか。
真っ先に立候補するんですけど。。