北海道現代川柳「極光」 梶 原 百 華
風きままとばっちりをくう春の羽
はぐように夢も洗ってだるい部屋
春の雪あなたの秘密また隠す
北海道現代川柳「極光」 山 中 一 声
混沌の春 泥まみれ水まみれ
パッキンの悲鳴あちこち切れている
いのち一枚飛んでみる駆けてみる
不覚にも小さな嘘が火の海に
何度目の脱皮仮面がまだ厚い
北海道現代川柳「極光」 高 橋 蘭
脱ぎ捨てたドレスが亡霊になった
弁当を携えお化け屋敷まで
ガラス球うめる眼 許されよ
ばたんドア所詮もどってくるところ
リメークの月から逃げ出せぬ残照
北海道現代川柳「極光」 加 藤 か ず こ
噛んでも噛み切れぬ 血の絆
ナイフの月が揺れてる椀の中
鍵穴ぬけてゆくか ノラの靴音よ
やさしさが重い 飛べないアヒルの子
おもちゃ箱の底 錆ついた一輪車
北海道現代川柳「極光」 一 戸 涼 子
三寒のひとりに腹時計が鳴る
逃げてゆくコトバ・バラの香・カンタービレ
見渡せばあちらこちらの四温かな