格 調 と 典 雅
浜本美茶さんの作品を支えているものを言葉で表現するのに、なかなか的確なことばを見つけにくいのだが、あえて踏み込んでみると、そこには生を支える精神の充実がある。
言葉を変えると、ほとばしり出たひとつのいのちをいとおしむという精神が、作品を貫いているのである。
咲きつぎて散りつぎて命のま昼
命たまゆらシャボンの泡のうすれうすれ
旅立たん日の花びらはこむらさき
この精神の保持が、作品に格調や典雅となって作風を形成している。
人間としての最高の誇りを持ち続けることが、学び続ける意志の強さとなり品格のある句風に結びついていると言える。
美茶さんの作品には、けっして頭を傾げてしまうような難しさはない。非常に平明で分かりやすい言葉で表現しているのだが、それでいて読み手の心に訴えてくる芯の強さがある。
今日が最後の日かも知れない。
いや、
今日が最初の日だと思う。
そんなイメージを、言葉を通じて表現しているかのようでもある。
一句一句が、あたかも辞世の句ででもあるかのような、深い意味を盛り込んで作品を際立たせている。