Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 秀樹のクラリネット 第21回

2011-04-28 02:40:29 | 日記
 秀樹はテレビ出演をして、
「ワシントン広場の夜は更けて」
「モスクワ郊外の夕べ」
「リリー・マルレーン」
「ラメール」
 これらの歌を演奏した。
秀樹の演奏は東京の人々の心を熱狂させただけでなく、日本全土いや世界の人々の心を打ったのだった。
 秀樹の演奏がネット配信されたのである。
「確かな演奏が人々の心を捉えたのだ」
 被災地の少年が吹くクラリネットというお涙頂戴の物語ではなかった。
テレビ局には秀樹に対して絶賛の声が数多く届いた。
「今からも素晴らしい演奏を聞かせて欲しい」
「日本のベニーグッドマンになって欲しい」
 こんな風に。
外国からも便りが相次いだ。
「少年の熱い演奏に感動した」
「若い頃を思い出した」
 秀樹の名前は日本のクラリネット少年として有名になっていった。

*この物語はフィクションです。