Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 秀樹のクラリネット 第15回

2011-04-22 03:37:19 | 日記
 江戸川区内の中学校は盛り上がっていた。時間が経ち閉幕する時が来てしまった。中学校の生徒会長が被災者の人々にこう話しかけた。
「みなさん、心が落ち込んだ時はどうぞこの中学校に遊びに来てください。江戸っ子はあなた達の味方です。今日のプログラムも最後になりました。最後の歌は江戸川を深く愛した町の音楽家モンティーミヨシが今回被災した人々の心を癒すために作詞作曲した歌をみんなで唄いましょう。簡単な歌ですのですぐ唄えます」
 生徒会の役員が歌詞を書いたプリントを配り始めた。そのプリントには、
「明日を信じて」
 と題が記してあった。

1、   今日を大事に    生きようよ
     家族の絆      大切に
     手を取り合って   過ごしたら
     明日は必ず     来るだろう

2、   今日を大事に    生きようよ
     地域の絆      大切に
     力を合わせ     過ごしたら
     明日は必ず     来るだろう

3、   今日を大事に    生きようよ
     仲間の絆      大切に
     心通わせ      過ごしたら
     明日は必ず     来るだろう

この歌をジャズ研究会の伴奏で合唱部が歌って聞かせた。二度唄うと被災者の人々もすぐに覚えた。
「みんな涙をこぼして唄っている」
 被災者の人々も、中学生たちも、先生方も。
復興に向けての確かな第一歩になったのである。