Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 秀樹のクラリネット 第18回

2011-04-25 02:26:40 | 日記
「二人ぼっちよ」
 愛子が秀樹に釘をさすようにこう言った。
「分かってる」
 秀樹が答えた。
「二人ぼっちの歌をつくろう」
 秀樹はクラリネットで即興演奏をした。
「う、う、う、う、う」
 秀樹は突然泣き伏した。
「泣いちゃ駄目」
「悲しい涙じゃないんだ。嬉し涙だ」
「でも泣かないで」
「分かった」
 このやり取りの後、秀樹は涙君さよならを愛子のために演奏するのだった。
演奏し終わった後、秀樹は愛子を見て微笑んだ。
「ありがとう」
 今度は愛子が涙をこぼした。