秀樹のクラリネット 第５回

「今日からこの江戸川区をふるさとだと思ってください」
　校長が秀樹に言った。
「はい、そのつもりです」
　秀樹はみんなに聞こえるように大きな声で言葉を返した。
「ところで田村秀樹君、ふるさとは吹けるかなあ」
　校長先生が秀樹に聞いた。
「ええ、もちろん」
　と秀樹が答えると、
「ジャズ研究会いっしょに演奏しようよ」
　と校長が呼びかけた。
「この学校は中学校でジャズ研究会のサークルがあった。音楽熱心な学校である」
　ドラムセットが運び込まれて本格的な演奏となった。
みんな大喜びである。
「福島までぼくの演奏が届いてくれ」
　秀樹は心の底でこう思うのだった。