つづき
許永中の意向を受けた若築建設から賄賂を受け取った中尾栄一元建設相の汚職事件の拡大が、思わぬ波紋を投げかけた。
「事件の影響で千代田生命の経営危機がさらに深刻化した」(兜町関係者)というのだ。根拠はフィクサー・福本邦雄の逮捕(起訴猶予処分)。福本は許と中尾、そして若築を結んだ仕掛け人として東京地検特捜部に認定されたが、「千代田生命は福本とくっつき、その威光で大蔵省の護送船団行政の恩恵を受けてきた」(同)からだ。
「千代田生命の幹部は賄賂の授受現場となった宴席にも出席。福本が主宰する『三宝会』の代表世話人も務めていた」と司法関係者が癒着ぶりを指摘する。
また、「千代田生命は福本を通じて竹下登元首相に食い込み、大蔵省への影響力を保ってきた」(生保筋)が、 バブル景気に酔った金融機関が経営危機を招き、大手、中小を問わず破綻したのは周知の通り。