お話・・

とても、短いお話なんです。

ココネが１００年待った末に出発したのは、胸の中に１００年後の地球への旅立ちをインプットされていたからなんです。博士は、ココネを創り上げたのですが、ロボットに心を植えつけた発明はまだ地球では未開発でした。

ココネの、博士を心から愛する心臓心筋パネルは１００年後に起動して地球に帰るようにインプットされていました。

博士は、何故ココネを１００年後に、地球に送り返したのでしょうか。

実は、博士はココネを送り出す時、重い病で命が短いことを知りました。

博士は自らの命の源を、１００年後の復活にインプットして死んだのです。

１００年後の未来に、博士も、地球に帰って来るはずのボタンを押しながら。

間に合ったのでしょうか？

ココネは風に乗って宇宙から地球へ帰ってきました。

あたりは暗く博士のチープ・ルームへの階段の段数だけが頼りの、その部屋への入り口へと。

「博士？博士？」

ココネは扉を叩きました。

風はココネの心と身体を鍛え続けました。ココネが宇宙へ旅に出た頃、博士は５０歳でした。

ココネは博士にとって娘のような存在でした。ですから、ココネにとっては博士は父親でした。

「お父さん！ココネよ！帰ってきたわ！」

ココネの拳が朽ちた扉を叩く音が響きました。