７月のキウイー婦人

「大変です！キウイー婦人！」

ドタバタ母屋から転げてきたベロテンサイ伯爵、黄色のキュウリを握り締めて

扉を叩いた。

「何事ですか？」

「はい、キュウリがその、あの、大変申し上げにくいのですが、キウイにならずキュウリに
なってしまいました。」

しん・・とした部屋から扉までの距離を１０数えて待つ間、ベロテンサイの脳裏に浮かぶ

キュウリとの愛憎の日々が走馬灯のように浮かんだ。

扉がキューッときしんで開いた。

エメラルドの瞳の奥に、ベロテンサイの黄色いキュウリが映し出された。

「ベロ、貴方の畑に何度私のキウイー放射をしても無駄なら仕方ありません。キュウリの

キウイに対する反逆として、ベロテンサイの畑すべてのキュウリを処分せざる追えません」

「ま、待ってください！まだ、そうとは決まっていません。なぜなら、このキュウリには

特別な秘密があるのです」


ベロテンサイはにぎにぎしくキュウリを差し出してひざまずきました。