町中の豪腕な男達の松明が、山道をS字型に何度たどっても、父は私に追いつけなかった。
家に戻ってみると、母の姿はなく、空には地球を見下ろす程大きな満月が見えた。
思い出が真っ直ぐ今に繋がる人生を描いて、壁に飾りながら幸せを何度も刷り込んできた母。
母の真実と娘の真実の姿を、壁紙の裏側に貼り付けて見つけた幸せの日々。
10年前、父が灰色のオオカミに襲われたニュースは、町中に広まった。
山間で道に迷った人間が、オオカミに襲われて無事に帰った事がニュースというべきか・・
父は、かすり傷とそして灰色の髪の娘に支えられて帰って来たのだ。
掟は厳しいものだった。
母は8歳を迎えた私を、部屋に閉じ込めたのだ。満月にもかかわらず、私は始めて
自分の部屋に居たのだ。窓は閉ざされていた、夜になると母は枕元で優しく言った
「今夜だけ決して部屋から出てはだめ、何が起きても、判った?」
私はうなずいて、銀色に輝く母の瞳を見つめた。
薄明かりに12時を回った針と針が合わさった瞬間のことだった。
窓の無い部屋の壁で、私が描いて飾った月夜の絵は額縁から窓になった!
ふぶきと一緒に吸い出された私の身体は、空中に舞い上がりそしてそのまま、
灰色の毛皮に覆われた貴方に再会したのだ!
家に戻ってみると、母の姿はなく、空には地球を見下ろす程大きな満月が見えた。
思い出が真っ直ぐ今に繋がる人生を描いて、壁に飾りながら幸せを何度も刷り込んできた母。
母の真実と娘の真実の姿を、壁紙の裏側に貼り付けて見つけた幸せの日々。
10年前、父が灰色のオオカミに襲われたニュースは、町中に広まった。
山間で道に迷った人間が、オオカミに襲われて無事に帰った事がニュースというべきか・・
父は、かすり傷とそして灰色の髪の娘に支えられて帰って来たのだ。
掟は厳しいものだった。
母は8歳を迎えた私を、部屋に閉じ込めたのだ。満月にもかかわらず、私は始めて
自分の部屋に居たのだ。窓は閉ざされていた、夜になると母は枕元で優しく言った
「今夜だけ決して部屋から出てはだめ、何が起きても、判った?」
私はうなずいて、銀色に輝く母の瞳を見つめた。
薄明かりに12時を回った針と針が合わさった瞬間のことだった。
窓の無い部屋の壁で、私が描いて飾った月夜の絵は額縁から窓になった!
ふぶきと一緒に吸い出された私の身体は、空中に舞い上がりそしてそのまま、
灰色の毛皮に覆われた貴方に再会したのだ!