文明開化と平仮名英語

流れるような筆使い、崩し字満載の平仮名で書いた英語は日本国開国・文明開化の一時期を象徴するような出来事でした。

外国商通ことば 25本文:58-62

2010年12月27日 | 文明開化と平仮名英語
25:本文58-62

挿図の赤数字は①の場合、全109語の64番目を示す、以下同様に②の場合は全189語の、③は全186語のそれぞれ60番目を示す。
①は②③に比べて収録語彙がかなり少なく、ご覧いただくように「やく人」のみ収録。
注:行数の表示は、③は58行目から62行目までと、②の62行目「しそつ」未収録を示し、ここでは全63行目に示し、②においては③の62行目「まちどしより」未収録を示すスペースを間に挟んだ関係で63行目扱いとした。

58行目:日本語「ミ可(か)ど」「ミかど」の英語読み「ゑむぷろる」「えんぺろーる」、ここまでくると(emperor)にたどり着けそうだ。語尾の「る」が気になる。
59行目:日本語③②①いづれも「やく人」その英語読み「おふくする」、「おふいしる」、は「をふゝいする」どうやら(officer)らしい。ff
の読みに苦心した様子が窺えるようで興味深い。語尾の「る」が気になる。
60行目:日本語「ごろうぢう」御老中②「志(し)つせい」その英語読み③②「こん志(し)うる」英語綴り(consul)らしい。御老中は驚き。
61行目:日本語③②いづれも「ふなおさ」その英語読み「あどミらる」(admiral)「け飛(ぴ)ていん」(captain)、「ふなおさ」が「あどみらる」であったり「きゃぷてん」になったりで眼をパチクリ。
62行目:日本語「まちどしより」ご覧のようににのみ収録(赤ピンマークはそのことを示す)英語読み「びゆるぐめする」難解見当がつかない。
ゑんぎり志ことば』に「まちどしより ビュルグメストル」、『改正増補英語箋』に都邑長(トイウノカシラ)(burgomaster ビユルゴマストル)ここまでたどればどうやら解る。
63行目:日本語「しそつ」のみ収録(赤ピンマーク)、英語読み「そる志(じ)ーる」(soldier)、語尾の「る」が気になるが、何とか読める。

 次回 26:本文63-67 

挿図
①佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉
②佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
③佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
  清水卯三郎『ゑんぎり志ことば』万延元年(1860)早稲田大学図書館所蔵
  石橋政方『改正増補英語箋』明治5年(1872)早稲田大学図書館所蔵


外国商通ことば 24:本文55-57

2010年12月20日 | 文明開化と平仮名英語

24:本文55-57

挿図の赤数字は①の場合、全109語の38番目を示す、以下同様に②の場合は全189語の、③は全186語のそれぞれ55番目を示す。
①は②③に比べて収録語彙がかなり少なく、ご覧いただくように「みち」、「まち」のみ収録。
注:行数の表示は、ここでは②を基準(③も同じ)55行目から57行目までとし、例外で①にのみ収録の38行目を前置した。

38行目:日本語「みち」に赤丸ボタンを付したのは、にのみ収録、②③にはいづれも未収録。このような常用語を収録しなかったのは何故だろうか疑問。英語読み「うゑー」(way)
55行目:日本語③②いづれも「みやこ」その英語読み「せてい」どうやら(city)らしい英語読み「か飛(ぴ)とる」でどうやら英文字(capital)にたどりつく。
56行目:日本語①②③とも「まち」その英語読み「春(す)とりいと」「すとりいと」(street)②「たうん」(town)。
town city street と並べてみると、それぞれの使い分けを考えさせられる。
57行目:日本語③②いづれも「むら」、この「むら」からの連想でその英語綴り(village)にたどり着くが、「ひいれぢ」「ういるらぢあ」この読みでたどり着くのは大変。

次回 25:本文58-62 

挿図
   ①佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
   ②佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
   ③佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
  


外国商通ことば 23:本文50-54

2010年12月14日 | 文明開化と平仮名英語

23:本文50-54 

 
図の赤数字はの場合、全109語の37番目及び40番目を示す、以下同様にの場合は全189語の、は全186語のそれぞれ50番目を示す。
①は②③に比べて収録語彙がかなり少なく、ご覧いただくように「やま」、「く尓(に)」のみ収録。
注:行数の表示はここではを基準(も同じ)50行目から54行目までとする。


50行目:日本語いずれも「やま」その英語読み③①「まおんていん」「まうんていん」(mountain)で英文字を連想。
51行目:日本語③②いづれも「ぬま」その英語読み「めるし」「まあし」(marsh)で
どうやら英文字にたどりつく
52行目:日本語「可(か)王(わ)」その英語読み「そ。うる」どうにも綴り字が思い浮かばない。お手上げ、識者のご教示を!「かは」の英語読み「れ者(ば)-あ」どうやら「river」にたどり着く。

ところで
ゑんぎり志ことば』には「かわ な可れ可ハ リ。ウル」とある。これは「river」であろう。なんとなくに近い。ジット見ている内にこれは片仮名の≪≫の読み違えを平仮名にしたから「り。うる」ではなく、「そ。うる」となって連想を断ち切られてしまったようだ。片仮名に戻せば、なんとか読めるではないか!≪≫右往左往したがこれで一件楽着かも・・・。
53行目:日本語①②③とも「く尓に」、英語読み「可(か)おんてりい」「可(か)おんてりゐ」ここでは
の違い、英文字「country」。の英語読み「らんど」(land)
54行目:
日本語②③とも「いし」、英語読み「春(す)と於(お)ん」「すとん」「stone」無理なく読める。

  次回 24:本文55-57

挿図
   ①佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
   ②佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
   ③佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
  清水卯三郎『ゑんぎり志ことば』万延元年(1860)早稲田大学図書館所蔵
 


外国商通ことば 22:本文45-49

2010年12月06日 | 文明開化と平仮名英語

  22:本文45-49 

挿図の赤数字は①の場合、全109語の45番目を示す、以下同様に②の場合は全189語の、③は全186語のそれぞれ45番目を示す。
①は②③に比べて収録語彙にかなりの変化があるのに、「みづ」の順は一語違いとは意外。なお、①は、ご覧のように「みづ」しか収録していない。
注:行数の表示はここではを基準(も同じ)45行目から49行目までとする。

45行目:日本語いずれも「うみ」その英語読み「志(し)ゐ」
②「しい」(sea)≪
46行目:日本語いづれも「みづ」その英語読み「うおゝとる」
①「うをゝとる」(water)ここでは≪≫を暗示しているように見えるが。「うをーとる」≪≫であろう。語尾の「る」が気になるところ。
47行目:日本語②③はいづれも「者(は)ま」なれど、英語読みはかなり異なり「こう春(す)と」(coast)、「志(し)よーあ」(shore)、類義語辞典によると前者は「陸から見た海岸」後者は「海から見た海岸」とあるが、いかが。
48行目:日本語②③とも「者(は)と者(ば)」、英語読みいづれも「ちゑと」。英語綴りが浮かばない、調べようにも手懸かりがない。最後の頼り『横浜・ハマことば辞典』に助けを求めたところ、サスガ「チエト(chart) 波止場。防波、及び乗下船・荷役などのために、水中に突出して築いたコンクリート構造物。フトウともいう。」とあって胸をなでおろした。感謝して、引用。
49行目:
日本語②③とも「み奈(な)と」、英語読み「者(は)あ本(ぼ)をる」「者(は)あ本(ぼ)る」どうやら「harbor」を連想出来そうだ。語尾の「る」が気になる。

  次回 23:本文50-54 

挿図
   佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
   佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
   佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本