今回は、その第8回目(8/21)、当時の往来物に掲載の英語を知る上で大へん興味深い。皆さんと共に当時の英語を垣間見て、興味を分かち合えれば幸いです。
頭注は、それぞれ10行にわたり、「通商」つまり商売にかかわる用語を取り上げ、その英語読みを片仮名で表す。つまり片仮名英語を収録している。
表わし方:「(平仮名による振り仮名付きの漢字)・・・を(片仮名英語)・・・≪≫といふ」、≪≫に英文字を補足
ここでは、振り仮名は[ ]で示し、平仮名の崩し字の読みは()で示す。 崩し字には悩みが尽きない。お気づきの点はご教示を願います。以下、数字は行を示す。
①荷車[尓(に)くるま]をグーツトュレメン≪?≫といふ、英文字不明
②貨船[にふ年(ね)]をメルチェントシツプ≪merchant ship≫といふ
③商物[あきないもの]をメルチヱンダイス≪merchandise≫といふ
④産物[さんぶつ]をプロドクト≪product≫といふ
⑤貨物[志(し)ろもの]をグーツ≪goods≫といふ、注参照
⑥反物[多(た)んもの]をビースダーツ≪?≫といふ、英文字不明
⑦質物[志(し)ちもの]をゲーシ≪?≫といふ、英文字不明
⑧抜ヶ物[ぬヶもの]をストールングーツ≪?≫といふ、注参照
⑨抜ヶ荷[ぬヶ尓(に)]をスムッグルドグーツ≪?≫と云、注参照
⑩品物[志(しなもの)]をスイング≪thing≫といふ、注参照
注:⑤貨物を『和英語林集成』で見ると、シロモノ、貨、goods
⑧を『和英語林集成』で見ると、ヌケモノ、抜物、stolen goods、≪≫に補充
『和英語林集成』で⑨抜ヶ荷[ぬヶ尓(に)]はヌケニ、抜荷、smuggled goods、≪≫に補充
⑩品物は『和英語林集成』では、シナモノ、品物、thing・・・⑤シロモノ、⑧ヌケモノ、⑩シナモノなどを並べてみると共通点が見えるようなきがする。
<挿図>
『萬国通商往来』明治6年(1873)、神奈川県立図書館k670.3/2
『和英語林集成』慶応3年(1867)、明治学院大学デジタルアーカイブ、横浜開港資料館D.VIII.7C