51:本文178-181
挿図にある赤数字、②の場合は上段全189語のうち180番目を示す。③は上段全186語のうち175番目を示す。①は収録語彙が上段全109語(実は109番目は「つる」なのだ!②③の配列と合わせるために前後を組み替えて表示した。ご容赦のほど。)つまり、①②③ともここで取り上げた4語についてはすべて対応している。
注:行数の表示は、従前との関係もありここでは②を基準にして178行目から181行目に従う。
178行目:日本語②「と里(り)」③①「とり」、その英語読みは②「者(ば)ーあづ」英語綴り「birds」、③①「ふるす」英語綴りはfowls であろう。二つに分かれたのは・・・④『ゑんぎり志ことば』≪とり ビルヅ≫birdsであろう⑤『新撰英語実用便』では≪鳥 とり バーアヅ≫②と同じ読みのようだ。
⑥『改正増補英語箋』には≪鳥 トリ bird ボイルド≫この読みには驚いた。≪b→ボ≫と読んだのが混乱のもとか。
179行目:日本語①②③とも「つる」その英語読みはいづれも「くれいん」英語綴り crane
④『ゑんぎり志ことば』≪つる ストルク≫英語綴りは stork 、これはコウノトリで似て非なるもの・・・⑤『新撰英語実用便』≪ つる クレイン≫この鶴の文字の難しいこと・・・これが鶴とは見当もつかないのは私だけではなかろう⑥『改正増補英語箋』≪鶴ツルcraneケレーン≫この英語読みには苦労させられる。≪ク→ケ≫の読みで惑わされる。
180行目:日本語①②③とも「尓(に)ハとり」。英語読みは③①「ごつく」「ごッく」②「こっく」濁点が消えて見える。英語綴り cock だと「おんどり」
④『ゑんぎり志ことば』≪に王(わ)とり をす コック≫≪に王(わ)とり めす ヘン≫雄雌の使い分けを示して有り難い。英語綴りはそれぞれ cock hen
⑤『新撰英語実用便』には≪鶏 尓(に)王(わ)とり フヲル≫英語綴りfowl らしい。⑥『改正増補英語箋』には≪雞ニハトリ fowel フヲール≫当時このような英語綴りも存在したのか、筆の勢いの誤りなのか。ところで、この鶏も雞だというから漢字は大変だ。
181行目:日本語①②③とも「あひる」。英語読み①③ともいづれも「志(じ)ゆく」②「どっく」
④『ゑんぎり志ことば』に≪あひる ドック≫
⑤『新撰英語実用便』≪家鴨 あひる トック≫英語読みの濁点が見当たらない。欠落か⑥『改正増補英語箋』では≪家鴨アヒル duck ドック≫このようにたどって見るとダックへの道のりはまだまだ遠いようだ。
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挿図
①佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
②佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
③佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
④志水卯三郎『ゑんぎり志ことば』万延元年(1860)早稲田大学図書館所蔵
⑤尾嵜冨老『新撰英語実用便』明治11年(1878)神奈川県立図書館所蔵
⑥石橋正方『改正増補英語箋』明治5年(1872)早稲田大学図書館所蔵