17:本文25-29
挿図の赤数字は①の場合、全109語の25番目を示す、以下同様に②の場合は全189語の、③は全186語のそれぞれ25番目を示す。
徐々に収録語彙に変化が見られ、その加除並びに配列順(順不同)は編者の意識の変化を暗示して興味深い。
注:このページにおける行数の表示は説明の都合上②を基準にして、25行目から29行目までと追加の30と31。このページの30と31はこのページ限りで、持ち越さない。
25行目:①②③いづれも「者(は)る」、春のイメージにほど遠く悩みのたね。英語読み①「春(す)う里(り)んぐ 」(spring)、②③「春(す)ぷりんぐ」、どうみても「ふ、ぷ、フ、プ」と読んでいる。この時代、濁点はかなり恣意的のようだ。
26行目:①②③「奈(な)つ」、英語読み「さんまあ」(summer)で乱れがない。
27行目:①②③「あき」、英語読み①「おもちやむん」(autumn)、語呂から「おもちゃ」を連想してまことに愉快!③「おもやむん」、②「あうとむん」になると現代の読みにかなり近いようで、遠い。
28行目:①②③「ふゆ」、英語読み①②「ういんとる」(winter)、語尾の「・・とる(トル)」が気にかかる。③「ろいんとる」とある。ジット見ていると「う」の点が横に伸び、さらに繋がって「ろ」になる。筆の勢いのせいか、別の読みになったようだ。
29行目:②のみ「とき たいむ」(time)、他の①③に見当たらない。
ピンクボタンの表示は≪15 本文15-19≫において始めて、採用した。それは「外国商通ことば」もの3部作のうち、1部で取り上げ、他の2部でとりあげてない特異な場合を示したいからで、そのような引用例示は編者の意識の変化を窺う手掛かりになりそうだ。
30行目:①③のみ「者(は)じめ」英語読み「べきん尓(に)ん」(beginning)
31行目:①③のみ「お王(わ)り」英語読み「ゑんど」(end)
この例示を見ていると①と③は大変近い関係にあるように窺える。収録語数が最も多い筈の②に見当たらないのは気懸りだ。
次回 18:本文30-33
挿図
①『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
②『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
③『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本