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挿図は、上から③、②、①の順、右側に原本又は原葉からの画像を示し、左側にその読みを示す。収録はそれぞれ≪上段に日本語(平仮名)、下段にその英語読みを平仮名(つまり平仮名英語)≫を示す。崩字の読みを括弧で示してみた。崩字の読みは、悩みのタネ。識者のご教示を!
赤数字の5とあるは①の場合、全109語の5番目、以下同様に②の場合は全189語の、③は全186語のそれぞれ5番目を示す。(以後、数は継承)
5行目:①③「日 そん」(sun )、②では「さん」で現行の読みに近づく。
6行目:①②③「つき月 むうん」 (moon) いづれも問題なく読める。
『ゑんぎり志ことば』では、「み可(か)づき」(new moon)、「もちづき、まんげつ」(full moon)などがあって楽しい。
7行目:①③「本(ほ)し すたる」(star) もあまり違和感なく読めそうだ。「本」の崩し字は「ほ 」 、素人には 「不」 と読めるから厄介だ。 「る」を響かせるのは蘭語の影響か?
「春」の崩し字 は「す」 、 ②では「春(す)たあ」 、語尾の変化 「る → あ」 をみると耳学問の成果が窺えるようだ。
余談になるが耳学問といえば、日本語の生の発音を注意深く観察・採集したと云われるヘボン先生の『和英語林集成』には「MIMI-GAKUMON, ミミガクモン,耳学」とある。さすが! ところで≪ミミガクモン、耳学問≫でないのはどうしてか?
8行目:①「あ可(か)るき らゐと」 (light)、②③では 「らいと」 で 「ゐ」 と「い」 の違いが気になるところ。識者のご教示を!
9行目:①②③「くらき だあく」(dark) とあって同じ調子。『ゑんぎり志ことば』では 「くらき デルク子(ネ)ス」 とあって明らかに名詞形 darkness を意識している。 こちらの方がハイレベルか。
挿図
①『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
②『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
③『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
『和英語林集成』慶応3年(1867)明治学院大学デジタルアーカイブ、横浜開港資料館D.VIII.7C
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