文明開化と平仮名英語

流れるような筆使い、崩し字満載の平仮名で書いた英語は日本国開国・文明開化の一時期を象徴するような出来事でした。

外国商通ことば104:下段173-178

2012年07月02日 | 文明開化と平仮名英語

104:下段本文173-178
 
 
②『外国商通言葉集』の下段「食もつ之部」は130語から185語まで、③『外国商通古と者附』の「志よくもつのぶ」も130語から185語まで、①『外国商通古と者つけ』では77語から99語まで・・・ 既に最後のコースの「.食物の部」に入いっていて今回はその9回目・・・

 前.例に倣って ②『外国商通言葉集』の順を尊重して173行から178行までを取り上げることに。③においてはご覧のように該当する言葉は見つかるものの②に比べてかなり配列は前後している。①からは3例だけ・・・
 
173行目:日本語②③①とも≪さ可(か)奈(な)≫英語読みいづれもふいし≫ 英語綴り・・・fish・・・
 
④『ゑんぎり志ことば』も全く同じ
 ⑤『新撰英語実用便』では≪
魚 う本(ほ) フィシ
 
⑥『改正増補英語箋』には≪海魚ウミノウヲ sea fish シーフ井シ≫及び≪魚ウヲ fish フ井シ
 
174行目:日本語②③①とも≪たい≫英語読み②≪ぶりーむ英語綴り・・・bream・・・③①≪ぶりむ
④『ゑんぎり志ことば』ではたい ぶりむ
⑤『新撰英語実用便』では≪
鯛たい フリーム≫濁点が見えない。≪ブ⇔フ
⑥『改正増補英語箋』では≪鯛タイ goldney ゴールドニー


175行目:日本語②③≪ひらめ≫①には見当たらない。英語読み②≪ふろうんどる≫③≪ふろうんとる

④『ゑんぎり志ことば』≪ひらめ ふろうんとる≫ ⑤『新撰英語実用便』≪鮃 ひらめ フロウンドル≫⑥『改正増補英語箋』≪比目魚 ヒラメ flounder フローンドル

176行目:日本語②③≪ゑび≫英語読み②≪くろーふえー志(し)ゆ≫③≪けれん志(し)げん志(し)

④『ゑんぎり志ことば』には≪ゑび けれん志(し)げん志(し)≫とあるところを見ると③と④は同じ読み、・・・さて英語綴・・・・・・ここでも③は④の影響を強く受けているようだ。
⑤『新撰英語実用便』≪
鰕 ゑび クローフェーシュ≫この≪
の字の難しいこと・・・お手上げ・・・
⑥『改正増補英語箋』≪
龍鰕クルマエビ shrinp シリヌプ≫≪海鰕イセエビ lobster ロブストル

177行目:日本語②≪
かれい≫③≪可(か)れい≫英語読み②とんぎうせー≫③≪とんぎ可(か)ひし

④『ゑんぎり志ことば』には≪
可(か)れい とんぎ可(か)ひし ≫ここでも③と④は同じ読み ⑤『新撰英語実用便』には≪王餘? かれい トンギウセシ⑥『改正増補英語箋』≪皆魚 カレーtorbot トルボットとは・・・・・・。この読みにはかなり手古摺ったようだ!!

178行目:日本語②③①≪まぐろ≫英語読み②≪(ほ)るぴす③≪本(ほ)る飛(ぴ)す≫①≪本(ほ)るひす

④『ゑんぎり志ことば』には≪まぐろ 本(ほ)ル飛(ぴ)す
⑤『新撰英語実用便』≪
? まぐろ ホルピス
≫ ⑥『改正増補英語箋』≪金鎗魚 マクロ tunny チュンニー
総じて魚の読みは、奥が深い、それだけ生活に密着していたのかも・・・

次回 105回目:下段本文179-185・・・食物の部の最後・・・の予定

挿図
   ①佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
   ②佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
   ③佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
   ④志水卯三郎『ゑんぎり志ことば』万延元年(1860)早稲田大学図書館所蔵
   ⑤尾嵜冨老『新撰英語実用便』明治11年(1878)神奈川県立図書館所蔵 
     ⑥石橋正方『改正増補英語箋』明治5年(1872)早稲田大学図書館所蔵
   



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