文明開化と平仮名英語

流れるような筆使い、崩し字満載の平仮名で書いた英語は日本国開国・文明開化の一時期を象徴するような出来事でした。

引用文献⑨『新撰英語実用便』

2008年09月29日 | 古文献(古文書)

  『新撰英語実用便』

 尾崎冨老の名前で『新撰英語実用便』(明治11年、全34葉、150×105mm)を出版(この頃から板の字は影を潜める)。
 序文に佐野屋冨五郎流の発音談義が「ことばのつかいようも紙のことをペープルとかいてあるなれどもいふにはペーパといふようなもので・・・」とあって、英語に対する思い入れと研鑽の程を知らされる。 

 本書の構成は、序文2葉、単語30葉、数半葉、アルファベット半葉、いろはローマ字表1葉、曜日・時計図及び刊記併せて1葉。
 単語は漢字・その読み平仮名。英語の読みは片仮名英語で現在の使い方と同じ様で違和感はない。

 (挿図:神奈川県立図書館、K83.1/7)


引用文献⑧ 『外国商通言葉集』  短縮: 『言葉集』

2008年09月22日 | 古文献(古文書)

  『外国商通言葉集』

 佐野屋冨五郎によって『外国商通古と附』(『異板』)、『外国商通古とつけ』(『ことばつけ』)が出板され、その後、しばらくして『外国商通言葉集』(刊年不明、折本、162mm)が出板されていることがわかった。
 この『外国商通言葉集』の収録語数は、数の部(数量、30語)を除き全374語で「万物の部」、「言葉つかひ」、「食もつの部」の三部門に分けられ『異板』の『外国商通古と附』とかなり似ている。しかも『異板』や『ことばつけ』の誤りが修正されたり、よりふさわしいと思われる別の言葉に置き換えられたりしている。更に「てつどう」とか「くるま」、「じょうき」等が新たに収録されていることから佐野屋冨五郎出板の<外国商通もの>のうち『外国商通言葉集』が最も新しい板のようだ。

平仮名英語。

(挿図:横浜中央図書館KY830/5)