77下段本文82-85 挿図 ③佐野屋冨五郎『外国商通古と者附』(刊年不明)神田外語大学付属図書館所蔵、折本
③『外国商通古と者附』の「ことばのぶ」は全129語、②『外国商通言葉集』の「言葉つかひ」も全129語、ここまでは同じ内容の言葉を予想させる。①『外国商通古と者つけ』は下段が全107語。 いずれも刊年不明なるも年代順は≪③①⇒②≫の順と見ている。
久しぶりに①『外国商通古と者つけ』②『外国商通言葉集』③『外国商通古と者附』が(①の一例欠を除き)顔をそろえた恰好で活気が出てきた。やはり、商売は肝心のところは虎視眈々といったところであろう。
ここでは、従前の例に倣って②の順を尊重して82行から85行とした。
82行目:②日本語≪ねだん≫英語読み≪ぷらいす≫。英語綴りはprice。① 85行目には②と同様≪ねだん ぷらいす≫が見られる。③には114行目≪ねだん⇒ね多(だ)ん≫崩字の使用≪ぷ⇒ふ≫の違い。三者ともほぼ同じ、ご覧下さい。
⑤『新撰英語実用便』には≪直段 ねだん フライス≫値段と漢字が少し異なるが。≪プ⇒フ≫の違い。細部の違いで、大筋同じでわかりやすい。
83行目:②日本語≪いくら≫英語読み≪者(は)ーまッち≫英語綴り how much
③115行目、①66行目とも≪いくら 者(は)まつち≫
⑤『新撰英語実用便』には≪何程 いくら ハゥマッチ≫≪いくら⇔何程≫とは成程と感心。
84行目:②日本語≪た可(か)い≫英語読み≪でいや≫さて英語綴りは dear 。
③116行目では≪た可(か)い てゑや≫≪で⇒て≫の違いが気がかり。
儲け話は商売では片時も頭から離れないであろうが、より耳学問を尊重した③①には別途③99行目に≪かう志(じ)起(き) でやぷらいす≫①51行目に≪高志(じ)き でやぷらいす≫とそれぞれ別建てで引用されていた。商売の関心事を知らされた。ぼんやり見ていると≪買う時期≫とまちがいそうだ・・・
⑤『新撰英語実用便』には≪高値 た可(か)い デェヤ≫。⑥『改正増補英語箋』には≪價貴アタヒタカキ costly≫さすがレベルの違いを示しているようだ。
85行目:②の日本語≪や春(す)い≫英語読み≪ちいぷ≫。英語綴り cheap。 ③①ともほぼ同じ。
⑤『新撰英語実用便』では≪安値 や春(す)い チイプ≫
⑥『改正増補英語箋』には≪價賤アタイヤスキ price is cheap プライス イス チープ≫。これも漢字が難しい。
いよいよ核心に触れる重要な部分に差し掛かってきたようだ
次回 78:下段本文86-89
①佐野屋冨五郎『外国商通古と者つけ』(刊年不明)手持ち原葉、一枚もの
②佐野屋冨五郎『外国商通言葉集』(刊年不明)横浜市中央図書館所蔵、折本
⑤尾嵜冨老『新撰英語実用便』明治11年(1878)神奈川県立図書館所蔵
⑤-2尾嵜冨五郎蔵板『英語手引草 扱言編』(刊年不明)神奈川県立図書館所蔵
⑥石橋正方『改正増補英語箋』明治5年(1872)早稲田大学図書館所蔵
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