日経ネットPLUSで、「オシム・ジャパン」が取り上げられていた。サブタイトルは、「演出の妙 ドラマの前に」である。
オシム監督は、「オシム・ジャパン」という呼称が「残念だ」と考えているようで、その点が何とも面白いと感じた。
理由は、オシム監督の弁によると、「私は監督だが、チームは日本の代表であってオシムの代表ではない。知恵を出し合い強くしようとしているのはコーチやスタッフも一緒。何より選手がいる。選手がいてこそ試合ができる」ということのようである。
確かに、いわれてみれば、その通りである。
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日本代表・オシム監督の場合、仕事のエネルギーの大半は試合の前の準備のために注がれ、「試合当日の更衣室に来る前には仕事は終わっている。自分はそういうタイプだ」とのことである。
まさにサブタイトル「演出の妙 ドラマの前に」を示唆するタイプの監督であることを示している。
記事の中で、ACミランの勝利で終わった今季の欧州チャンピョンリーグについて触れられており、「興味が引かれるのは決勝で戦うことが決まってからの両チームの『長期の心理的な戦い』だった」ようである。
オシム監督は、「両監督は、選手の頭を冷やすことに努めたことだろう。互いの手の内を知り合ったもの同士が戦うとき、試合の勝敗を分けるのは想定外の出来事に対応できる能力になる。それは頭が冷えてないと難しい。特にミランのアンチェロッティ監督は、2年前に決勝で敗れた復讐に選手がとらわれすぎないように細心の注意を払ったことだろう」とコメントしているとのことである。
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記者は、「サッカーの監督とは開演のベルがなった後では舞台上の俳優に手の出しようがない演出家に似ている。だから準備が大切なのだ」と感じたようである。
確かに、演劇等の舞台監督は、怠りなく事前準備を進め、開演のベルがなった後は舞台俳優による演技の結果を待つしかないのかもしれない。その期待される結果を出すための事前準備が必要ということになる。
オシム監督も、「その時々の最高の舞台俳優(選手)を選び、その舞台俳優(選手)が最高の能力を発揮し、想定外の事態にも対応できる環境づくりをし、俳優(選手)を舞台(ピッチ)に送り出す」ことを考えているということになる。
面白い感覚であると感じる。