この共同海損事件に関する記事を書き始め、投稿を開始したのが、9月8日約1ヶ月前のことであった。
これまで、33回に渡り、色々な角度から共同海損という、海上冒険航海に関する基本的な事故であると同時に、2-3年に1回発生する程度の事件であるため、一般に馴染みのないテーマを取り上げてきた。
前回VOL.33で、記述すべき事項を私なりに納得できる形で、書き終えるに当たり、今、軽い虚脱感に襲われている。
いわゆる何かひとつのことを成し遂げた際に、誰もが感じるであろう、「終わった」という感覚と、「終わってしまい何となく空しい」という感覚が混在した感覚である。
しかし、私の実務レベルということになると、"WAN HAI 307"号の共同海損事件に関わる仕事はまだ継続していて、全ての案件につき、形が出来上がるまで、まだ一定の時間を要する。
コンテナ単位に満たない小口案件約120件、コンテナ単位案件15件程度の件数を一挙に抱え、全ての案件につき形を整える必要があるため、時間を要するのは致し方ないところである。
つまり、全体を総括し、取りまとめ紹介する作業が先に完結し、実務は継続しているということになる。
目を通して頂いた方に対しては、特に、国際海上輸送に関して関わる分野の仕事をしていない等、ごく一般の方にとり、専門用語であったり、理解しにくい事象であったり、最初のページを読みいやになってしまった方もおられるかもしれない。
しかし、これはひとつのビジネス現場で、発生する事象であり、特に、この分野の仕事をされている方にとっては、ある程度ご理解頂けたのではないかと考えている。
特にこのような仕事に従事している方に取り、有益な内容となって、将来同じ種類の事件が発生する際にひとつの指標として有効ということであれば、それに越したことはなく幸いなことである。
今回7月末に発生した衝突事件に焦点を当て、このような取りまとめ方をし、記事として投稿した背景に、残念ながら、NVOCC業界であったり、海上運送に従事する海運業界に、この種の事故処理に関する実務書であると同時に、理論書に相当する基本書がないように思われる。
そのようなこともあり今回取り上げ、33回に渡り投稿してきたことになる。
各位にとり、有効な情報であれば幸いである。
Written by Tatsuro Satoh on 8th Oct., 2007
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かなり、参考になりました。
有難うございます。