県立美術館で 『 大絵金展 極彩の闇 』 をやっており行ってみました。
幕末明治の土佐藩で活躍した 絵金 生誕200年記念の企画です。
土佐藩御用絵師 金蔵 の作品が2会場に渡りたくさん展示されております。
絵金と聞いて想像するのは おどろおどろしい血の海 魑魅魍魎の世界
神社の絵馬や大屏風の作品は 芝居の1場面を描いたもので 血が飛び散り
また はねた首から血がしたたり落ちているなど 赤い絵になっております。
親切な学芸員のお姉さんが 詳しく説明してくれました。
江戸で狩野派の修業を受け 土佐藩御用絵師にまで出世した金蔵は
贋作事件に巻き込まれお城下を追放されます。
一介の町絵師に身を落とした彼は 生きるため芝居絵屏風をたくさん描き
多くの作品を残し 絵金としての名を後世に残しました。
板に描かれた 神社の血赤の大絵馬を 薄暗いお堂の中で何回か見たことがあります。
数年前の夜 赤岡町で毎年開催される 絵金祭り に行きました。
これは 商店街の軒先に 各商店所有の 芝居絵屏風が並べられており
絵の前に置かれた ろうそくの揺れる灯りで 芝居絵の人物は増々すごみを増し
ゾクッとするほど迫力がありました。
赤岡町には 金蔵のおばが住んでおり 頼って身を寄せた彼は
この地に多くの作品を残したのです。
絵金の作品は宝であるため 各家庭での保管は 色の退色など問題があり
2005年に 作品を収納・展示する絵金蔵を建て ここで大切に保管されています。
学芸員によると この絵金蔵は 海に近い赤岡町が津波被害を受けても
作品は特殊カプセルに保管されており 水の浸入を防ぎ浮くとのこと。
少し聞きにくかったけれど 気になっていた質問をしてみました。
「 以前 他県に貸し出した折 害虫駆除で ひどい退色の被害を受けた
作品はどうなっていますか? 」
「 現在 東京で専門家が修復をしており いずれお見せできます 」
とのことでした。
絵金 = おどろおどろしい血赤の世界 とだれもが思います。
もちろん 私もそうでした。
確かに 多くの作品はそうですが 今回の展示品の中には 思わず吹き出す笑い絵や
墨1色で描かれた人物画 花鳥 山水 力士の絵等が展示され
また 5月の土佐の空にはためく フラフ ノボリ画の素晴らしいこと
素人目にも高い技量がうかがえます。
ネコのような虎が描かれており どうもこれは実際を見たことがなく
話だけ聞き想像で描いたのでは? と思われ笑えます。
見ごたえのある多くの作品を後世に残し
絵師 金蔵 絵金とよばれた男は
明治9年 波乱万丈の65歳の生涯を閉じました。
絵金に会うにはまず腹ごしらえです。
右は妻の列 左は夫の成果でした。