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2012年04月20日 | 放射能汚染

【群馬】

指定廃棄物 最終処分は「市町村ごと」 大沢知事、政府に逆提案

会談後、取材に応じる横光環境副大臣(左)と大沢知事=県庁で

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 大沢正明知事は十九日、横光克彦環境副大臣と県庁で会談し、放射性セシウムの濃度が一キログラム当たり八〇〇〇ベクレルを超える県内の指定廃棄物の最終処分場について「市町村単位で処理する方が住民の理解を得やすいのではないか」と提案した。 (伊藤弘喜)

 横光副大臣は県内で最終処分場一カ所を選定するための協力を要請。これに対し、大沢知事が「一カ所で処理するのは理解を得るのが難しい。それぞれの市町村で処理する方が早く処理が進むのでは」と逆提案した。

 国は提案も踏まえて国有地に新設したり、すでにある施設を活用することを含めて最終処分場の場所を七~九月に選定。十~十二月に住民に説明し、二〇一四年七月にも搬入を始める計画だ。

 指定廃棄物は、放射性セシウムの濃度が一キログラム当たり八〇〇〇ベクレルを超える焼却灰や下水汚泥、浄水の際に生じる土(浄水発生土)などで国の責任で処分する。環境省によると、県内では四月一日現在、浄水発生土が渋川市で百三十トン、高崎市で十四トンが指定を受けた。前橋市、高崎市、榛東村の下水汚泥や浄水発生土が計約七百九十トン指定される見通し。さらに増える可能性もある。

 最終処分場を分散させることは議論を呼びそうだ。大沢知事は「丁寧に説明しながら地域住民の理解を得て進めたい」と述べた。

 栃木県は、指定廃棄物に確定した五百二十五トンを含め少なくとも計四千六百トンの下水汚泥などを抱えているが、一カ所に集約して最終処分する方針で国と調整している。


原発再開の最低条件(1)・・・「多重防御」を守ること

2012年04月20日 | 武田教授
原発再開の最低条件(1)・・・「多重防御」を守ること





 

枝野経産大臣が「100メートルの津波がきたら、日本中の原発はすべて爆発する」ということを記者会見で言いましたが、これはこれまでの原発の安全性を保証する考えかとはまったく違うものです。

原子力安全委員会は直ちにステートメントを発して、経産大臣の発言の撤回を求めなければなりません。原子力安全委員会は内閣府に所属し他の省庁の干渉を受けないようになっています。それはこのような時(経産大臣が日本の原発の安全について無知、あるいは政治的に虚偽を言ったとき)に、対抗することができるためです。

日本の原発の安全性を保証するための主力の思想は、1)固有安全性、2)多重防御、3)事故確率と被曝限度、の3つでした。事故が起こってみると、4)救命ボートのシステム、など足りなかったこともわかってきましたが、少なくとも1)から3)は日本の原発の安全性を保つ最も大切な考え方です。

この3つの中で福島原発の事故の直接的な原因となったのは2)、つまり「多重防護で原発の安全を守る」というのはウソだったことがわかったのです。

原発を運転すればいろいろなことが起こります。地震や津波ばかりではなく、洪水からテロまであらゆる自然災害、人間が行うことを考えなければなりません。でも、人間が推定できることには限りがあるので、「これがだめなら、あれ」ということです。

つまり、日本をおそった津波は最高で40メートルとします。でもこれからも40メートルが最高かどうかはわかりません。そこで、「津波が防潮堤を越えてきたら、どうするか」というのが2重防護です。

また、多重防護を専門的に言うと、「原子力発電所の安全確保の考え方は、「多重防護」を基本としている。「多重防護」とは、「異常の発生の防止」、「異常の拡大及び事故への発展の防止」及び「周辺環境への放射性物質の放出防止」を図ることにより周辺住民の放射線被ばくを防止することである。」ということで、「原子力基礎用語辞典」に書かれているぐらい初歩的なことです。

たとえば津波については、まず「異常の発生の防止」・・・防潮堤を高くする、もし防潮堤を越えてきてもモーターや非常用発電機などは高いところにある・・・などです。

次に「異常の拡大および事故への発展の防止」ですから、津波で原子炉や電気系統が打撃を受けても、それが爆発につながらない防止の装置が必要です。それも大飯原発にありません。

最後に「周辺環境への放射性物質の放出防止」ですから、原発自身を大きなドームで囲ったり、爆発の時に素早く放射性物質の微粒子を吸い取るなどです。

・・・・・・・・・

 

このようなことからわかるのは、現在の日本の原発は、「多重防護」であると言いながら、実はそれは国民を欺くトリックで、実際には「防潮堤だけ」という状態であることがわかります。そして、それを経産大臣が口にしたということを意味しています。

経産大臣の「100メートルの津波が来たら日本の原発は全部、爆発する」という発言は、「多重防護になっていないから、日本の原発を全部止める」という意味かも知れません。実に不見識な会見でした。

ここで、原子力技術者の方に呼びかけたいと思います。私たちは国民から多くの税金をもらい、原発の技術の開発をさせてもらいました。しかし、福島原発が爆発してみると技術的に大きな欠陥が複数あることがわかりました。

この時点で、技術者として「多重防護」をあきらめるのか、それで安全システムを作ることができるのか、災害の推定の誤差はどの程度か、技術的にじっくり考えていただき、自らの見解を整理して発表してもらいたいと思います。

安全は「政治」の問題ではありません。原子力技術者はこれまで2つのことを国民に約束してきました。一つが「原発は安全だ」ということ、二つ目は「1年1ミリシーベルト以上の被曝はしない」ということです。

この約束は間違っていたのです。原子力技術者はもっと声を上げてください。

 

 

 

(平成24年4月11日)

 

「tdyno.24-(8:54).mp3」をダウンロード


 

武田邦彦


集団自殺を回避する方法(1)・・・誰が節電すると効果的か?

2012年04月20日 | 武田教授
集団自殺を回避する方法(1)・・・誰が節電すると効果的か?





仙谷議員によると、日本が原発を止めるのは「集団自殺のようなもの」らしい。集団自殺というとかなりの人が死ぬことを意味しているが、集団自殺を回避する方法はあるのだろうか?

原発を止めると関西電力管内では夏場に10%程度の電力不足が予想されている。関西電力はこれまで原子力が40%と言っていたので、この数字の意味を少し吟味する必要があるが、ここでは「2012年の夏に関西の方で10%の電力が不足し、集団自殺に相当するような被害が出る」と仮定して、どのような対策を取れば良いかについて前向きの検討した。

まず、このグラフを見ると、夏場の電気消費量が上がり始めたのは1985年ぐらいだが、そのときの電力消費量は現在の半分ぐらいだから、1985年の生活に戻ればまったく問題が無い。それがまず電力消費を考えるときの基本だ。

10%不足という今から10年ほど前の状態だから、自分の歳が今から10年若かったとき、どんな生活をしていたかを思い出せば、その辛さもおおよそ理解できる。私の場合はすでに東京から現在、すんでいる名古屋に移っていた。たしかに今と比較するとクーラーのないところもあったし、37℃、38℃という日が続いていたが、「集団自殺しよう」と思うぐらい辛いことは無かった。

でも、仙谷議員は「個人のことを言っているのじゃない。物作りの工場が困るんだっ!」と恫喝するだろう。それではデータを見てみたい。

このグラフは夏場の電気をどのような産業が使っているかを示したものだが、なんと言ってもオフィスがダントツで、次が小売業というところだ。つまり、巨大なビルを作り、そこに本社があって社長がいることもあり、ガンガン冷やしているというのが現状である。

それでも政府やマスコミは「家庭で節電」と呼びかけるだろう。なにかやるときには「弱いものを標的に」というのがここ20年の日本の政治家、NHKのやり方だった。日本人は誠実で日本を愛しているので、協力を惜しまない。でも、それは隠された意図がある。

この場合でも家庭の節電はほとんど意味が無いことがわかるし、ものづくりの産業もあまり問題ではない。巨大なオフィスが問題なのだ。だから、オフィスのスペースを今からまとめておいて、夏場はフロアーを1階か2階を閉じれば、それだけでも大丈夫と考えられる。

もともと、日本の電力のひずみは「アメリカに比べ電気消費量が2分の1、電気代が2倍」という電力会社の放漫経営と国民犠牲にある。まずは電力消費をアメリカ並み(2倍)にして電気代を2分の1にするように政府は電力に要請するのが筋である。

ただ、電力に要請すると政治資金は来なくなるし、自分の子供を電力会社に就職させることもできなくなり、天下りしようとしている役人からもにらまれる。だから、政府もNHKも電力に言わずに国民に節電を呼びかけてきたのだ。

節約、もったいない、節電・・・個人の人生や家庭生活には大切なことだが、それを良いことに「国民は言うことを聞く」という作戦に乗るのは次世代の子供たちにツケを回すことになる。

そういえば家電リサイクルを始めようと言うときに、ある通産省の幹部が「日本人は素直だし、官が強く、業界がまとまっているから、家電リサイクルは世界で日本しかできない」と言ったことが思い出される。

今でも、家電リサイクルで回収し、国民からリサイクル代金をとってリサイクルしないで、資源もほとんど回収していない。それでもうけている割合が50%を超える。それでも国民は「良いことをしている」と思ってお金を出す。

こんなことを続けていたら日本は本当に二等国になり、子供たちは苦しむだろう。ダーウィンが言ったように「事実を見るには勇気がいる」という言葉を今こそ、大人は思い出す時期だ。

 

(平成24年4月19日)


 

武田邦彦