あるバス停に接近していくと… 一人のお婆さんが立っていたのだが、こちらに背を向けて時刻表を見ているようだった。私は「ここからしばらくの間(7つ先のバス停まで)同じ道を行くバスが、ついさっき(1回前の青信号で)行ったばかりだから、本当に時刻表を見に来ただけに違いない」と思った。
しかし、勝手な判断で通過するわけにはいかないので、私はブレーキを踏み… そこは屋根付きのバス停で、屋根を支えている柱があり、お婆さんの真横に前扉を合わせられず… 50cmくらい手前にバスを止めて扉を開けた。
が、お婆さんはジッと時刻表を見つめたまま動かなかったので、私は「あぁ、やっぱりバスに乗らないから気付かない振りをしているんだ」と思いながらも、とりあえず車外スピーカーを通して「○○行きです」と言ったところ…
お婆さんがパッと振り向きながら「うわっ!」と叫び、後ろへひっくり返りそうなほど驚いて… それを見た私は思わず吹き出しそうになってしまった。が、相手は“お客様”なので、私も笑いを堪えるのに必死だった。
お婆さんは照れ笑いを浮かべながら「バスの時間を見とったもんで…」と言い、私はこみ上げてくる笑いを完全には堪えきれず“漏れ笑い”を浮かべながら「ありがとうございます」と言い… お婆さんはフリーパスを提示してバスに乗った。
そしてバスが発車して、すぐに「ピンポ~ン!」と降車ブザーがなり… 次のバス停で“そのお婆さんだけ”が降りて行った… 一瞬「なんじゃそりゃ!?」と思ったけれど、きっと“バスに乗った方が早いか、歩いた方が早いか”を考えていたに違いない。だから、バスが止まっても気付かず、私に声を掛けられて驚いた… お婆さんは“一点集中タイプ”なんだなぁ~ ん? そういえば、どこかにも一つのことしか出来ない“超”が付く単細胞がいたような…(ココ、ココ!)