私は再び扉を開けて、待つこと20~30秒… その女性は「すいま… せん… ゼェゼェ… ありがと… う… ハァハァ…」と言いながら乗ってきた。バス停にいたもう一人の女性は乗らなかったので、私は「その人は、他の行き先のバスを待っているのだろう」と思った。
そして、バスが発車してすぐに「ピンポ~ン!」と降車ブザーが鳴り… 私は「まさか… いや、あの勢いで走ってきたんだから… 次のバスじゃなくて、このバスじゃなきゃダメな場所まで行くはずだ」と思った。
が、次のバス停で降りたのは、その激走した女性のみだった… しかも、降りてから後方へ歩いて行ったのである。この一区間は短い方で、僅か200mほど… いくら無料で乗れるとはいえ… ゼェゼェハァハァするほど走るくらいならば、200mくらい歩いた方が楽だったと思うのだが… 大きなバッグまで持って…
ひょっとして、何事にもチャレンジするのが好きな人なのかな? 「あっ、バスが逃げる! 間に合うか?」と一人で呟きながら走って… その間にも頭の中ではアクション映画のテーマ音楽が流れ続け… 「よし、捕まえた!」と気分よく帰宅して… きっと今夜はいい夢を見ることでしょう。ん? 犯人役は… やっぱり私ですか??? 「ウンウン!」 お、キミは… よぉ~し、ロト6で逃走資金を作るぞぉ~!