小雨の降る中、某地区巡回バス路線を走っていた。そして、少しずつ疲れ(飽き?)がくる5周目… 不意に「ガンッ」という鈍い音が聞こえた。私は「えっ!? ナニナニ?」と左右のミラーを見たけれど、何かと接触したような形跡はなかった。
「それじゃあ… ナニ?」と考えている間にも、3~4秒おきに「ガンッ」「ガンッ」と鈍い音が繰り返されていた… そう… 突然、左右のワイパーがフロントガラスの中央でぶつかり始めたのである(バスのワイパーは、左右共に定位置が中央で、それぞれが外側へ動いて、中央に戻ってくる)。
「あぁ、ビックリした… それにしても、なぜ急に…」と思った次の瞬間、私の目が点に… 運転席側のワイパーがフロントガラスの外側へ行ったまま戻ってこず、左のワイパーだけが「ギギッ」「ギギッ」と寂しそうに動いていた…
私には原因が分からなかったが、とりあえず“それ以上の損傷”を防ぐため… それに、左のワイパーだけ動いていてもほとんど意味がないので、すぐにワイパーのスイッチを切った。まだ小雨が降り続いている中でのワイパーストップに不安もあったけれど、まだ昼間だったので助かった。
某駅に戻ってワイパーを見てみると、幸いにも「折れた!」「壊れた!」という感じではなかったので、「ナットが緩んだだけかも?」と思った私は、すぐに車内の工具箱からペンチを取り出して、ワイパーの付け根のナットを締めてみたのだが… 思ったほど緩んでおらず、わずか5°くらいしか回らなかった。
「それでも少しは締まったかも!?」と思って、運転席でワイパーのスイッチを回してみたところ、ちゃんと動いたのである。それを見た私が「あぁ、良かったぁ~」と思ったのも束の間、またすぐにフロントガラスの外側で止まってしまったので、私はもう一度“思いっ切り”ナットを締めてみた。今度は30°くらい回っただろうか…
すると、ワイパーは何度も何度も動いてくれたのだが、用心深い私は「これで一安心だけど、ワイパーを自動で動かさずに、自分の手でスイッチを入れたり切ったりして、動かす回数を減らした方が無難だろう」と自分で決めて、再び巡回バス路線を走り始めた。
しかし… 自分の手でワイパーのスイッチを入れたり切ったりするのは、正直言って面倒臭く… 気が付けば、入れっぱなしになっていた。それでもワイパーはしっかりと動いてくれていた。の、だ、が… それから間もなく、またまたワイパーは止まってしまった…
もしも、これが大雨だったら? 夜だったら??? とてもワイパーなしでは走れないから、バス停1つ2つ進んではナットを締めての運行になったに違いない。そして、全身びしょ濡れの運転士… それを見て驚く乗客たち… 私がイケメンだったら“水も滴るいい男”なんだろうけど… きっと“逃亡中の犯罪者”に見えるんだろうなぁ… ハハハ…