先日の夜9時頃、某駅を発車しようとしたら、一人の女性がバスに近づいてきた。そして、乗車口(前扉)までやって来て「あのぉ… ○○駅で知り合いが倒れてしまって… 心配なので(携帯電話で相手の声を)聞いているだけならいいですか?」と言った。
私は「倒れた人が、ずっとあなたに話し続けるの!?」と疑問に思ったのだが… 既にバスの発車時刻を過ぎていたので、そこでアレコレ議論している暇もなく「はぁ… どうぞ…」と認めてしまった。
その女は“背後席”に座り、最初は「うん…」「うん…」と小さな声で相槌を打つだけだったのだが… 案の定、すぐに女が話し始めてしまったのである。しかし、私の頭は“人が倒れている”という事実(!?)に支配されていて注意できなかった。
実際に「大丈夫?」「人を呼んだ方がいいよ」「近くに誰かいないの?」「助けてくださぁ~い! って…」などの言葉が聞こえてきたのだが… “倒れた”というよりも“ちょっと具合が悪くなって座っている(または横になっている)”という感じである。
結局、ほとんど喋りっ放しの女… まぁ、それでも状況が状況だし、あまりギャーギャー言わない方がいいかと思っていたのだが… その直後に「私、△△くんを傷付けるようなこと言ったかなぁ?」と言うのが聞こえたのである。「おいおい、ただの痴話喧嘩なのか!?」と思った私は、その女の“二度の裏切り”と“こんな奴を認めてしまった自分”に腹が立ってきた。
その後のバス停で2~3人が降りた時、その女が背後席から下りて「今、ちょっといいですか?」と私に言った。そして「○○駅に連絡して、駅員さんに(倒れている知人を)見に行ってもらうように頼んでくれませんか?」と言ったので、私は「どうせずっと電話していたんだし、もう今さら…」と思って「自分で電話した方が早いと思いますよ」と流氷のように冷たく答えた。すると女が「電話番号は…」と言ったので、私は「104で聞いた方が早いですよ」と砂漠のように乾いた声で答えた。
私の“血も涙もない冷酷さ”が伝わったのか、女は無言で空いていた優先席に座った。そして、リラックスした感じで「△△くん、○○駅の電話番号わかる?」などと話していた… それから間もなく終点に到着、女は足早に去って行った…
言うまでもなく、もしもその女が子供だったら、終点で出来るだけのことはやってあげますよ。ん? そういえば… あの女、運賃を払ったか!? いやぁ~、すっかり相手のペースに嵌ってしまったなぁ… まぁ、悪意があったら自分から何度も話し掛けたりしないだろう。多分、定期券か一日券だよ。うん、そうそう…