そこそこ冷房の効くバスで仕事をしていた。が、アイドリングストップ状態になると風が“微弱”になってしまうので、「この間だけは、ちょっとだけ暑く感じるかもしれないなぁ…」と思っていた。
あるバス停から乗って来た女性が“助手席”に座り、何かの書類を見始めた。その後しばらくはバス停での乗降客が少なく、赤信号にもかからなかったので、アイドリングストップすることなく走っていた。
しかし、ある交差点の赤信号にかかってアイドリングストップした途端… その女性が「バタバタバタタタ…」とファイルのようなものを扇ぎ出したのである。それがまた激しいこと激しいこと… そんなに熱心に扇いだら、逆に体が熱くなるんじゃないかと思うくらい…
その後、バスが発車して冷房の風が“強”になっても、彼女は「バタバタバタタタ…」と扇ぎ続けた。バスはアイドリングストップするタイミングもなく走り続けた。それでも彼女は扇ぎ続けた。そして、私が「少し冷房が効き過ぎかな?」と思った時… 「ハックション!」と助手席から聞こえたのである。
私は「やっぱり少し寒いかなぁ…」と思ったのだが、それでも彼女は「パタパタパタ…」と扇ぎ方を“弱”にしながらも扇ぎ続けていた。それも鼻をすすりながら… いや、そんな… 寒かったら扇ぐのを止めればいいのに… あるいは、くしゃみは寒さのせいではなく、花粉症などのせいだったのか…