[21日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、ウクライナとロシアの3回目の和平協議が23日にトルコで実施されると明らかにした。
ゼレンスキー氏は恒例の夜のビデオ演説で「ウメロフ安全保障防衛会議書記と捕虜交換の準備のほか、トルコで実施されるロシアとの次回会合について協議した」とし、「ウメロフ氏は会合が23日に計画されていると報告した。詳細について明日、発表する」と語った。
その上で、捕虜交換とロシアに拉致された子どもたちの帰還に加え、ウクライナとロシアの首脳会談に向けた準備がウクライナ側が提起する議題になると述べた。
3回目の和平協議の日程について、ロシアの国営タス通信はトルコの関係筋の話として、23日に実施されると報じた。
ロシアのRIA通信は、関係筋の話として24─25日の2日間にわたって行われると伝えている。
ロシア大統領府は、日程が確定するのを待っているとしている。
ただ、戦争終結の方法を巡るロシア

とウクライナ

の立場はなお「正反対」との認識を示した。
ウクライナとロシアは5月16日と6月2日にトルコのイスタンブールで和平協議を実施。
ウクライナとロシアは5月16日と6月2日にトルコのイスタンブールで和平協議を実施。
ウクライナ側は当時国防相だったウメロフ氏が交渉団長を務めた。
これまでの2回の協議を通して、数千人規模の捕虜交換のほか戦死者の遺体の交換が実現したものの、停戦や和平に向けた交渉は平行線。
これまでの2回の協議を通して、数千人規模の捕虜交換のほか戦死者の遺体の交換が実現したものの、停戦や和平に向けた交渉は平行線。
トランプ米大統領は

7月14日、ロシアが50日以内にウクライナとの和平合意に応じなければロシアに制裁を科すと表明し、これまでのロシアへの対応を大き転換させた。
「解説」鶴岡路人 、慶應義塾大学総合政策学部教授
専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。
同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。
外務省在ベルギー日本国大使館専門調査員(NATO担当)、防衛省防衛研究所主任研究官などを経て現職。
著書に『はじめての戦争と平和』(ちくまプリマー新書、2024年)、『模索するNATOーー米欧同盟の実像』(千倉書房、2024年)、『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、ブリュッセル自由大学(VUB)安全保障・外交・戦略研究所(CSDS)上級フェロー兼任。
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「和平協議」とはいうものの、今回は、記事にあるとおり捕虜交換と拉致された子供の問題が主たる議題だ。
首脳会談の準備も議題に入っているが、その実現が合意される見通しはなく、停戦を直接議論するわけではない点に注意が必要である。
停戦をめぐるロシアとウクライナの立場はそれだけかけ離れているということだ。
それでも、トランプ政権がウクライナよりの姿勢に転換するなかで、交渉におけるウクライナの立場が若干改善することも想定される。
その意味では、ロシア側の姿勢に変化の兆しが見られるかが注目点になるが、停戦・和平が進展する可能性は低い。
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