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青春の冤罪

2014-07-15 | 諸行無常…let it be




ブログ見てるよ。

よく続くね。

つまんないけど、いつも、読んでるよ。


それはそれは、ありがとうございます。


そんなような会話を、かれこれ十数年間、このお客さんとは、繰り返してきました。


親しくはないけれど、今では、すっかり気心知れた、お客さんと店主の間柄となりました。


雨足収まらぬ、物静かな夜を、客と店主が、気心しれた会話をします。



しがない飲み屋の店主ながらも僕なりに。

こんな新宿の片隅で。

そんなつもりもないままに。

とうとう、20年以上も、続けてしまいましたよ。


そんなつもりもなく今日まできたから、日常もまた、そんなつもりもなく過ぎて
くわけですよ。


あまりに変わりばえしない日常だから、香り付けのつもりで、ブログなんてのを続けているんですよ。


だから、僕のブログは、獄中手記、みたいなものですよ。


へえー、上手いこと言うね。


そうですか、ありがとうございます。



実は俺は、フランクザッパと中島みゆきが、本当は、一番好きなんだ。
ビートルズもストーンズも、どうでもいいんだ。


やっぱりそうでしたか。


どうも怪しいと、ずっと思ってましたよ。

そりゃどうも。


ついに本音を吐いたお客さんは、僕に釣られるように…自分のことを、話始めました。


俺は、しがないサラリーマン。
そんなつもりもないままに、こんな暮らしを、もう30年以上もやってきたよ。


しがないサラリーマンだからさ…

フランクザッパが一番好きとは、恥ずかしくて言えなかった。

かみさんが、中島みゆきが好きでさ。
貧乏臭い歌ばっかでさ、大嫌いだったのが、聞かされるうちに、好きな曲が増えてきてさ。

今じゃ、俺の方がかみさんより、詳しいかもしれないよ。



俺にザッパを教えてくれた親友は、死んでもう20年以上になるんだ。

ちょうど、マスター、あんたが、ここで、この店を始めたころだよ。


アル中でね、どこもかしこもボロボロでね。

最後は、あまりにも、あっけなかった。

あまりに、あっけなさすぎた親友に、何か無性に腹が立ってね、葬式でも、泣く気にさえならなかった。



それがさ、今頃になって、あいつのことを思い出す度に、泣けてしかたなくてさ。

そして、あん時泣けなかった自分にも、今さら泣ける自分にも、腹が立つんだ。





そろそろ、帰る時間だな。

そう、自分の人生に問いかけることがあります。

あとどれくらい、僕には、この世にいられる時間が、与えられているのだろう。


残り時間から想像する逆転の人生観を、身の回りの出来事が、それを垣間見せてくれることが、多くなったせいでしょうか。


そんな年齢なんだと、苦笑いすることがよくあります。


僕が、若い頃に、どんな生き方をしてきたのかなんて、誰に語ろうとも、それは、もはや、お伽でしかないのでしょう。


僕が想像する僕の姿と、他者から見える僕の姿は、全く違うようです。


それは恐らく、僕から見える他者の姿もまた、他者にすれば同じ思いなのでしょう。


では、自分の過去は、どう証明できるものなのでしょう。

有名人や成功者でないかぎり、物的な証拠でもでてこない限り、証明は不可能なのでしょうか。