ナベッチーのエンジョイライフ

他人様からすれば他愛もないことでも、記憶にとどめておきたい事、感動したスポーツ、本、映画などを思いつくままです。

菜の花の沖 (司馬遼太郎)

2012-10-31 09:12:31 | ブック(記憶に残したい本、文章)

 菜の花の沖  司馬遼太郎  単行本で第5部からなる長編小説である。いつかは読みたいと思いつつあまりの長編で尻込みしていたが、やっぱり読み始めれば毎日が楽しくなり、読了するのに、ほぼ一ヶ月をようした。この間私の日常生活も充実していた。もっといえば、舞台となった、淡路島、函館、エトロフ、カムチャッカの当時の世相とか土地柄などが把握できて読んでいたならば面白さも倍増していたかもしれない。そして、私が、若い頃に読んでいたならば、嘉平衛の生き方を見習って、もう少し思いやりのある、マシな人間になっていたのではないかと思わせる本であった。 NHKの大河ドラマでも2000年に放映されたが、その当時の私は、1年を通した大河ドラマを見る余裕がなかった。ドラマの主人公は、誰であったのか、調べて見ると、竹中直人と、鶴田真由であり、ナルホドさもありなんである。この小説を読みながら、なんとなく、嘉平衛の魅力が、見てもいないTVのシーンが浮かんでくるような物語なのである。また、第1部の舞台、主人公嘉兵衛が生まれ育ったのは、淡路島の五色町であり、この町について私は、昭和の終わり頃に大きな機械工場の外壁ヘーベルを大量にそれも、工場でプレセットしたパネルを納入し、見届けるため、訪れたことがあっただけに印象深い。この五色町、都志の浜辺は、のどかな港町であり、嘉平衛は、200年も前に、少年時代を過ごしたのであった。それも、極貧農家に生まれ食い扶持のため、丁稚奉公にだされ、そこでもいじめられながらも、強く育った村なのである。司馬遼太郎が、高田屋嘉平衛こそ、「英知と良心と勇気という尺度から、江戸時代で誰が一番偉いかといえば、私は高田屋嘉兵衛だろうと思う。それも二番目がいないほど偉い人です」と、言った。丁稚時代から亡くなるまでの45年間の波乱の人生、これほど輝いた人を教えてくれた。また、今も日本にとっては、懸案の北方領土、尖閣、竹島問題についても、この本を読んだことにより、領土問題は奥が深く、簡単には解決できないこともわかった。そして、忘れぬために、この本に登場し、記憶に残った人物と歴史事情を書き残しておきます。 「おふさ」「松右衛門」「堺屋喜平衛」 「北風荘右衛門」 「ゴローニン」「フヴォストフ事件」「レザノフ」「大黒屋光太夫」「鎖国」「松前藩とアイヌ」「当時のロシア帝国国内事情」など……  今まで多くの本を読ませてもらったが、これほど心に残る物語も少なかった。

  



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