マーガレットの生きる道

メンバーの中で、一番礼儀正しいのはマーガレット。

ある日、事務所のドアをノックして、マーガレットが私を訪ねた。

ぽぽんさんがいつもお忙しいのは重々承知していますが、どうしてもお願いしたいことがありまして…

実は、私、椎茸の焼酎漬をたくさん作っているのですが、家の者は飲まないし、弟に片付けろと言われ、それで、あのお、つみき食堂のお料理で使っていただけたらと。

でも、8リットルの瓶は重くて、自転車で持ってくるのは無理なので、できたらぽぽんさんに運んでいただけたらと。

まあ、それはありがとう。ぜひいただきますよ。喜んで。

私の返事にマーガレットの顔は明るく輝いた。

そして、今日、マーガレットを乗せて、彼女の自宅へと。

趣のある立派な家だった。
マーガレットはいそいそと玄関へ走り、お手製の椎茸焼酎を運んできた。

ありがとう。すごいね。こんなに沢山。

まだまだあります！

踵を返したマーガレット。
奥からどんどん大きな瓶 を運び続ける。

え？！こ、こんなに。

8リットルの瓶が13本。それにペットボトルも箱いっぱい。

唖然とする私に構わず彼女はせっせと運ぶ。

私は少し焦った。多くても2瓶ほどとタカをくくっていた。まさか、一人でこれほどの量の焼酎漬を作っていたとは！

しかし、同時に哀しくなった。家族の健康のためにと懸命に作った焼酎漬も、家族にとってはただのゴミ。邪魔だから処分しろと言われ、苦悩した末、私に頼んだ心境を思いたまらない気持ちになった。

ありがとうマーガレット。厨房でも使って、あとはみんなで分けるね。

瓶の蓋に几帳面な字で張り付けられていた製造時期の日付がくっきり浮かんで見えた。