この番組とは、従兄弟が我が家に遊びに来たある土曜日、どうしても見たい番組があるということで出会ったのが最初でした。(裏番組の『8時だよ!全員集合』が見たかったのに‥‥。)
そしてそこに現れた映像は妙にリアルで、怖く感じました。宇宙空間でのメカの描写も、それまで見慣れた円谷作品とは一線を画し、明暗のコントラストが強いリアルなものでした。「インターセプター」「S.I.D.」などが白を基調としたメカなので、漆黒の宇宙空間の闇に映えること!一発で虜に‥‥はなりませんでした。やはり裏番組が気になっていたし、何よりも『UFO』は怖すぎました‥‥。
その後も幼児向け学年誌などにも記事が載っているのを見かけましたが、それほど熱心に見ていた記憶はありません。しかし、インターセプターの発進シーンを滑り台を使って真似していたことは覚えています。
↓インターセプターへの搭乗シーン
私が本格的にこの『UFO』にハマったのは、深夜の再放送で偶然に出会った時です。初めは懐かしさから見ていたのが、徐々にドラマの内容やS.H.A.D.O.の描写、デレク・メディングス氏の特撮の素晴らしさに惹かれていったのでした。
●「宇宙人捕虜第一号」(原題:IDENTIFIED)昭和45年10月3日放映
イギリス放映第1話 日本放映第1話
脚本:Gerry Anderson、Sylvia Anderson、Tony Barwick
監督:Gerry Anderson
冒頭のUFOによる襲撃シーンが、いきなりよくできています。リアルな特撮を目指したというDerek Meddingsのセンスに驚きます。
ヘンダーソン長官、ストレイカーらの乗るクルマの護衛の白バイ警官が、何者かの上空からの接近に気付いて何度か上空を見上げますが、鬱蒼とした木立に阻まれはっきりと見えない。そして攻撃を受けても、まだその姿は木立に遮られたまま。白バイのサイレンとエンジン音に紛れて、不気味にUFOの飛行音だけが響きます。焦らしてなかなかUFOを見せてくれないので期待が高まるのと同時に、姿の見えないUFOの攻撃に恐怖が募ります。これはAndersonによる演出の賜物でしょう。
そして、ここでしつこく「木立」を見せられることで、やっと一瞬だけUFOが姿を見せた時に「はっ」と息を呑み、UFOを「目撃した」という気分にさせてくれます。ここでのミニチュアの木や空の色は、実写映像と全く違和感がありません。照明もまるで実景のようです。このあたりがMeddingsの手腕です。
その後の、クルマが道を外れて転がり落ちるシーンでも、ミニチュアステージ、照明ともよく計算され、オモチャっぽさを感じさせません。
このエピソードは第1話らしく、映画スタジオの地下にあるS.H.A.D.O.本部や、ムーンベースの描写、インターセプターやスカイダイバーの活躍、ストレイカーやフリーマンの人物描写などが適切に盛り込まれています。
この番組は「1980年」という設定ですが、制作された'60年代の空気が色濃く残っています。ムーンベースの休憩室で、ブラッドレイ「大尉」は「ですます口調」で話すのに、ムーンベースの指揮官であるエリス「中尉」は「~わネ」と馴れ馴れしい口調で話すのが気になります。この違和感は吹替版だけのことだと思っていましたが、その後に「中尉」が「私はコーヒーが飲みたいワ。」と言うと、「大尉」は「はい。」と言って席を立ちます。この描写は明らかに男女平等、ウーマンリブ闘争を意識したシーンだと見て取るのは考えすぎでしょうか。
無線担当員のミスを咎めるストレイカーのセリフは、S.H.A.D.O.の成り立ちを説明させるのに上手く機能しています。無理なく説明させるために「お説教」を用いるとは、なかなか良いアイディアです。
シーガルX-レイが滑走路に佇むシーンは一瞬ですが、実写映像かと見紛うほどよくできています。画面奥に走っているコンテナ運搬車か整備用車輌らしきものや、ピントがずれている手前の芝生、そして輪郭のはっきりした影を滑走路に落とすシーガルX-レイ。構図・照明・ミニチュアともに素晴らしいです。
飛行中のシーガルX-レイのコクピットも、コントラストのきつい照明が横から射し込み、高空を飛んでいる航空機の雰囲気が自然に出ています。このあたりの描写は円谷作品では描き切れていませんでした。
S.I.D.の声が響き渡ると、いよいよUFOの来襲です。
インターセプターの発進時の音楽は、吹替版では『サンダーバード』の「原語版OPテーマ(ややこしい‥‥)」です。私はこの音楽で発進するインターセプターがかっこよく感じます。もちろん原語版のオリジナル曲も緊張感溢れるものなのですが、「サンダーバード」の高揚感は、吹替版に慣れた耳には心地よく響きます。さらに原語版ではインターセプターのロケットエンジン音がしていないことに驚きです。DVDにより、両方の音声を聴き比べることができるようになったので気付きました。
残念ながらインターセプターによる攻撃は失敗に終わりますが、S.H.A.D.O.のメカの活躍を描く第1話としては、ここでUFOを撃退してしまってはスカイダイバーの出る幕がありません‥‥。
そしていよいよスカイダイバーの活躍ですが、UFOを追っているレーダーに映っている地形は何と日本列島! ちょっと嬉しい驚きです。
スカイワンの発射シーンでは、高度を上げていく機体のアップにワイヤーがたくさん映っているのが残念です。しかし、シーガルX-レイやUFOが雲海の上を飛んでいるシーンのリアルなこと! 雲は何でできているのでしょう。その雲の上にシーガルX-レイが影を落としていることに驚きます。このリアルな映像だからこそ、民衆の知らない遥か上空での空中戦に没頭し、手に汗を握ることができるのです。
その後は撃墜したUFOから回収した宇宙人捕虜の分析に話題が移りますが、長距離宇宙航行の方法、宇宙人の肌の色、来襲の目的などの謎が少し明らかになります。これにより、宇宙人との戦いの必然性に説得力が生まれ、シリーズが本当に幕を開けることになります。
そしてそこに現れた映像は妙にリアルで、怖く感じました。宇宙空間でのメカの描写も、それまで見慣れた円谷作品とは一線を画し、明暗のコントラストが強いリアルなものでした。「インターセプター」「S.I.D.」などが白を基調としたメカなので、漆黒の宇宙空間の闇に映えること!一発で虜に‥‥はなりませんでした。やはり裏番組が気になっていたし、何よりも『UFO』は怖すぎました‥‥。
その後も幼児向け学年誌などにも記事が載っているのを見かけましたが、それほど熱心に見ていた記憶はありません。しかし、インターセプターの発進シーンを滑り台を使って真似していたことは覚えています。
↓インターセプターへの搭乗シーン
私が本格的にこの『UFO』にハマったのは、深夜の再放送で偶然に出会った時です。初めは懐かしさから見ていたのが、徐々にドラマの内容やS.H.A.D.O.の描写、デレク・メディングス氏の特撮の素晴らしさに惹かれていったのでした。
●「宇宙人捕虜第一号」(原題:IDENTIFIED)昭和45年10月3日放映
イギリス放映第1話 日本放映第1話
脚本:Gerry Anderson、Sylvia Anderson、Tony Barwick
監督:Gerry Anderson
冒頭のUFOによる襲撃シーンが、いきなりよくできています。リアルな特撮を目指したというDerek Meddingsのセンスに驚きます。
ヘンダーソン長官、ストレイカーらの乗るクルマの護衛の白バイ警官が、何者かの上空からの接近に気付いて何度か上空を見上げますが、鬱蒼とした木立に阻まれはっきりと見えない。そして攻撃を受けても、まだその姿は木立に遮られたまま。白バイのサイレンとエンジン音に紛れて、不気味にUFOの飛行音だけが響きます。焦らしてなかなかUFOを見せてくれないので期待が高まるのと同時に、姿の見えないUFOの攻撃に恐怖が募ります。これはAndersonによる演出の賜物でしょう。
そして、ここでしつこく「木立」を見せられることで、やっと一瞬だけUFOが姿を見せた時に「はっ」と息を呑み、UFOを「目撃した」という気分にさせてくれます。ここでのミニチュアの木や空の色は、実写映像と全く違和感がありません。照明もまるで実景のようです。このあたりがMeddingsの手腕です。
その後の、クルマが道を外れて転がり落ちるシーンでも、ミニチュアステージ、照明ともよく計算され、オモチャっぽさを感じさせません。
このエピソードは第1話らしく、映画スタジオの地下にあるS.H.A.D.O.本部や、ムーンベースの描写、インターセプターやスカイダイバーの活躍、ストレイカーやフリーマンの人物描写などが適切に盛り込まれています。
この番組は「1980年」という設定ですが、制作された'60年代の空気が色濃く残っています。ムーンベースの休憩室で、ブラッドレイ「大尉」は「ですます口調」で話すのに、ムーンベースの指揮官であるエリス「中尉」は「~わネ」と馴れ馴れしい口調で話すのが気になります。この違和感は吹替版だけのことだと思っていましたが、その後に「中尉」が「私はコーヒーが飲みたいワ。」と言うと、「大尉」は「はい。」と言って席を立ちます。この描写は明らかに男女平等、ウーマンリブ闘争を意識したシーンだと見て取るのは考えすぎでしょうか。
無線担当員のミスを咎めるストレイカーのセリフは、S.H.A.D.O.の成り立ちを説明させるのに上手く機能しています。無理なく説明させるために「お説教」を用いるとは、なかなか良いアイディアです。
シーガルX-レイが滑走路に佇むシーンは一瞬ですが、実写映像かと見紛うほどよくできています。画面奥に走っているコンテナ運搬車か整備用車輌らしきものや、ピントがずれている手前の芝生、そして輪郭のはっきりした影を滑走路に落とすシーガルX-レイ。構図・照明・ミニチュアともに素晴らしいです。
飛行中のシーガルX-レイのコクピットも、コントラストのきつい照明が横から射し込み、高空を飛んでいる航空機の雰囲気が自然に出ています。このあたりの描写は円谷作品では描き切れていませんでした。
S.I.D.の声が響き渡ると、いよいよUFOの来襲です。
インターセプターの発進時の音楽は、吹替版では『サンダーバード』の「原語版OPテーマ(ややこしい‥‥)」です。私はこの音楽で発進するインターセプターがかっこよく感じます。もちろん原語版のオリジナル曲も緊張感溢れるものなのですが、「サンダーバード」の高揚感は、吹替版に慣れた耳には心地よく響きます。さらに原語版ではインターセプターのロケットエンジン音がしていないことに驚きです。DVDにより、両方の音声を聴き比べることができるようになったので気付きました。
残念ながらインターセプターによる攻撃は失敗に終わりますが、S.H.A.D.O.のメカの活躍を描く第1話としては、ここでUFOを撃退してしまってはスカイダイバーの出る幕がありません‥‥。
そしていよいよスカイダイバーの活躍ですが、UFOを追っているレーダーに映っている地形は何と日本列島! ちょっと嬉しい驚きです。
スカイワンの発射シーンでは、高度を上げていく機体のアップにワイヤーがたくさん映っているのが残念です。しかし、シーガルX-レイやUFOが雲海の上を飛んでいるシーンのリアルなこと! 雲は何でできているのでしょう。その雲の上にシーガルX-レイが影を落としていることに驚きます。このリアルな映像だからこそ、民衆の知らない遥か上空での空中戦に没頭し、手に汗を握ることができるのです。
その後は撃墜したUFOから回収した宇宙人捕虜の分析に話題が移りますが、長距離宇宙航行の方法、宇宙人の肌の色、来襲の目的などの謎が少し明らかになります。これにより、宇宙人との戦いの必然性に説得力が生まれ、シリーズが本当に幕を開けることになります。
ビデオで初めて見た時は設定の緻密さに驚きました。
特に最初に軍人時代のストレーカー達が襲われるシーンは秀悦ですね。
ただし旅行先の沖縄で再放送の1話を見た時に
インターセプターの発進シーンでサンダーバードマーチが流れたのは違和感がありました。
記事でも詳細に記していますが、私も最初にストレイカーやヘンダーソンが襲われるシーンに感心しています。