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真珠貝防衛指令(ウルトラマン第14話)

2008-05-11 23:45:21 | 特撮:ウルトラマン
 ここのところ『ウルトラマン』からちょっと遠ざかっていましたが、やっぱり特別な思い入れのある作品だと再認識しているところです。
 本ブログで扱っているレビューの『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』がともに、奇しくも実相寺昭雄監督作品で止まっていました。両作品とも桜井浩子さんがゲストで出演されていますが、実相寺監督は桜井さんの「セクシーでもなく、ボーイッシュでもない魅力」を大変買われていたようです。しかし今回の「真珠貝防衛指令」では、桜井さんにショーウィンドーに顔を押し付けさせて、ブタ鼻にしてしまいます‥‥。

●「真珠貝防衛指令」昭和41年10月16日放映 汐吹き怪獣ガマクジラ登場
 制作第15話 放映第14話 脚本:佐々木守 監督:実相寺昭雄

 冒頭、科特隊の給料日にイデ隊員をお供に、銀座で宝石を物色するフジ隊員。「真珠は私の誕生石なのよ。」ということは、フジ隊員は6月生まれということですネ。まぁ、このエピソードを導入するためでしょうから、場当たり的な設定なのでしょう。
桜井さんの著した『ウルトラマン青春記』を読むと、「そんなに真珠は好きではない」ということが書かれていましたが、にこやかな表情を見ているとなかなか感情の篭った演技をされています。
 宝石店の店員から、真珠の値上がりについての情報を偶然に耳にするフジ・イデ両隊員。鏡を使って店員と2人の表情を同時に撮影するというのは、凄いアイディアです。しかし、フィックスで同じ構図の画(え)が続くので、ちょっと冗長な感じを受けます。一方で、屋外のシーンでは銀座4丁目の「日産ギャラリー」のクルマのホイールや鏡に映ったフジ、イデを捉えながら、なかなか凝った画(え)づくりがなされています。
 実相寺演出ではお馴染みの、スプーンを2つぶつけたような「カシーン」という効果音が初登場します。

 真珠貝を英虞湾から避難させるためのトラックの運転助手として、実相寺作品ではお馴染みの寺田農さんが出演されています

 科特隊本部では、出動を前にして目を血走らせているフジ隊員。今回は「生きるための食料」として真珠を食べるガマクジラと、宝石を守ろうとする「女の執念」との闘い‥‥。クワバラクワバラ

 輝きを強調させるために紗の入った映像の真珠と、ガマクジラのコントラストが秀逸です。実相寺監督はもっとおぞましい怪獣を望んだそうですが、これでも意図した演出は充分に伝わります。そして小さな真珠をガマクジラに食べさせるための、舌の先で吸い取るというアイディアは、当時の怪獣図鑑の解説などのお陰もあって説得力があります。
ジェットビートルに背中からの潮吹きで攻撃するガマクジラ。唯一の攻撃能力と呼べるもので、一撃必中です!

 不時着したジェットビートルは、窓とドアの部分の大道具を伊豆まで運んで撮影されたそうです。
キャップがフジ隊員に救援を要請する連絡を頼み、フジは「こちらジェットビートル。本部応答願います。」と無線で呼びかけますが、隊員は5人ともここにいるので、だれが応答するのでしょう? まぁ、科特隊日本支部は他にも多くの職員が働いているハズ(第21話では守衛もいるようですし)なので、だれかが応答するのでしょう。
 焚き火を囲んでいると、妙な物音に気付く科特隊員たち。桜井さんの『ウルトラマン創世記』によると、実はこのシーンの撮影前にビールを飲んでしまったそうで、言われてみればハヤタやイデ、アラシの目の周りが赤いですネ(^o^) 同じく『~創世記』には剣崎という記述がありますが、同じ三浦半島でも、このロケ地は千畳敷のようです

 Aパートの「電子網作戦」で小型ビートルが墜落した後、ウルトラマンが登場してガマクジラと闘い、腕を負傷するシーンが撮影されたそうです。そしてウルトラマンの腕のケガとハヤタのケガの一致に、キャップが「ウルトラマンの正体はハヤタではないか」と疑惑を抱く描写があったそうです。しかし、このシーンは全面的にカットされました。その戦闘シーンでのウルトラマンは「Aタイプ」だったそうですが、このエピソードに登場するのは「Bタイプ」です。カットされた理由は尺の都合か、それともウルトラマンの正体に疑惑を持つ描写がNGなのか、それとも「Aタイプ」が使われたためなのか‥‥。はたして真相は?

 水中のガマクジラは、水が入ってショートしたためか、目の光が時々消えてしまいます。

 アラシの提案で「真珠爆弾作戦」が採用されます。しかし、キャップは「真珠の光を持った【大型】爆弾」と言っているのですが‥‥。本編と特撮がビミョーにすれ違っています‥‥。
 ガマクジラは真珠爆弾に耐え、この作戦は失敗に終わります。次に科特隊は「小型ジェット弾」を撃ち込んで、ガマクジラを空へ飛ばします。ハヤタはウルトラマンへと変身し、正面からの衝突でガマクジラを撃破! あっという間の決着です‥‥^^;

 エピローグは、真珠の価格も安定し、再び銀座でショッピング中のフジとイデ。紗の入ったフジ隊員のアップがステキです(^o^) この時にはまだ20歳だったとは! 
今度はフジ隊員は紺色のワンピースですが、イデは科特隊のブレザー。イデが荷物をたくさん抱えて歩くシーンは、昔のショッピングでは定番の表現ですネ。このシーンは隠し撮りで撮影されていたとのことです。それにしても、この2人の雰囲気はイイなぁ~


  ●ガマクジラ

 実相寺監督の「嫌悪を感じるくらい、おぞましく不気味に」というオーダーにも、「グロテスクなものはつくらない」というポリシーを持って成田亨氏がデザインされました。これに対して、実相寺監督はずいぶんと不満を持っていたようです。
 造型は高山良策氏。体中にビーズを付け、手の込んだ一体になっています。
 名前は「ガマ+クジラ」と、佐々木守氏が安易に命名。名付けの専門のスタッフいて、あとでもっと良い名前を付けてくれると思っていたそうです。
 攻撃を受けると、同じ元素を背中から潮として噴出させます。

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4 コメント

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仁丹の真珠 (オタクイーン)
2008-05-12 18:12:12
高野宏一監督へのインタビューによると、ガマクジラが食べるあの真珠、仁丹が使われたそうで。
何となく予想できましたが(笑)。

高野監督はあの「細い舌の先から真珠を捕食」という演出に悔いがあったそうです。
「だってあれしかやりようがないじゃない。怪獣と真珠なんてスケールが違いすぎて、食べるんだったらあの手しかない。それでもあの画面、真珠が大きすぎるよね」なんて笑ってらっしゃいました。

実相寺監督作品の怪獣演出はテーマ的に難易度が高く、高野監督にとっても迷いの連続だったとご本人も語られています。
「実相寺らしい」と賞賛される特撮演出の多くが、高野監督の試行錯誤の賜物というのも面白いお話ですね(笑)。
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Unknown (get_better4uまたは自由人大佐)
2008-05-12 23:01:07
 大きな体の生物が小さなものを食べる‥‥。私はアリを食べるアリクイの存在を動物図鑑で知った時、「1日にどれだけのアリを食べるんだろう?」と疑問を持ちました。ガマクジラは一体どれだけの真珠を食べるのでしょう‥‥。

 後日語るハズのシーボーズの演出は、実相寺監督の考えとは全く違うものになっていて、高野監督とずいぶん揉めたとか‥‥。『ウルトラマンをつくった男たち』のドラマは、まるで逆のことを描いていたのですよネ。
また、「重いだけの怪獣」を「足が地面にめり込む」ことで表現したアイディアと技術は素晴らしいと思います。高野監督、ご苦労されたんですネ。
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Unknown (tirusonia)
2008-05-17 22:17:34
このHGガマクジラ結構気にいってます。動的なポーズと背中の細かいポチポチ造形がGOOD。お腹のシマシマもいい感じ。
そういえばスカイドンは、このシマシマでガマクジラの改造と分かります。両怪獣とも実相寺監督作品で最後が似てました。
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HGガマクジラ (get_better4uまたは自由人大佐)
2008-05-18 01:28:12
 大胆な分割で驚きましたが、なかなか良い出来ですよネ。

 劇中ではスカイドンも同じ末路を辿りましたネ。何だか呆気ない終わり方で、もの足りないです‥‥。
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