自民党にいながら自民党を批判する。世論の支持はあるが、仲間が離れる。せっかく作った派閥らしきグループもいつの間にか雲散霧消。「万年総裁候補」というそんな評が定着していた石破茂氏を新総裁に選んだのは、差し迫ってきた任期満了総選挙に当選したいという仕方なさの故の自民党衆院議員らの「窮極の判断」だったのであろう。本音は石破氏よりも高市氏の方が、女性の地位向上要求という世間のキワモノ風に乗れるのではないかという迷いもあって高市氏を担ぐ奇抜なご仁も少なからずいたのだが、独裁者安倍元首相の死の原因でもあり、その死後にも一向に鳴りやまない旧統一教会問題、敗戦記念日に靖国神社に「公式」参拝をするとなれば中国・韓国は言うに及ばずアジア・ヨーロッパ世界の孤児になる姿が恐怖を誘い、行って還って20票の差をつけて高市氏を退け石破氏を選びだしたものであろう。もう一つ加えれば岸田文雄という現総理・総裁の無教養と無哲学性にも意識高い系の議員たちには飽きが来ていたのかもしれない。
来たるべき総選挙において生き残りの確率を少しでも高めるには、消去法でも託すほかないという自民党議員の我慢と苦境を、先週末の自民党総裁選のTV画面に見たのは筆者だけではあるまい。これを要するに、万年総裁候補の、今回で敗北したらこれでおしまいと意を決して臨んだ最後の機会に辛うじて石破氏は拾われたのである。それほどまでにこの国の「政権」は窮地に立たされているという紛れもない証左でもある。
かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と美辞麗句をもって賞賛されたことも有るニッポンだったが、今や全世界各国の通貨に対して相対安の通貨を持つ国として、外国人旅行客であふれる「観光立国ニッポン」、石破氏にはそんな国で、世界制覇の夢物語を語るのではなく、失われた二十年を癒しかつ回復させていく着実な政治を望みたい。そして、安倍・菅・岸田の3政権によって荒れ果てた人心の荒廃を慰撫する政治を望みたい・・・。と思っていたら、今朝の朝刊一面トップ見出し「裏金議員を原則公認へ」「首相、比例重複も容認」(朝日新聞)。百年河清をまつ貧困ニッポン政治