「なんだかんだと理由をつけて、聞かれたくない質問から逃れようとしているだけではないのか。地方自治の現場で、そう疑わざるをえない事態が起きた。これがまかり通れば、政治や行政の透明性がさらに失われかねない。政治家は重い説明責任を負っていることを自覚するべきだ。山梨県で先月、長崎幸太郎知事が就任6年目のインタビュー取材を受ける際、政治資金に関する質問をしないよう県の広報担当者が複数の報道機関に依頼した。県政の方針を伝える場なので、『県政以外の質問』は、定例会見で聞いてもらいたかったという。はなはだ身勝手な話だ」(2024/03/05朝日新聞「社説」)。
件の知事さん、彼が代表を務める政治資金管理団体が国政自民党二階派から受領した現金「1182万円」という巨額の政治資金について、これを「隠ぺい」し自身の政治団体の収支報告書に記載していなかった問題で、政治資金規正法違反の疑いがあるとして、市民団体から甲府地検に告発状が出されている。これについて過去の「定例会見」や「県議会」で県民によく判るように説明してきたかと言えば、多言を弄しつつもいまだ能く分かる説明らしい説明は一度もしてこなかった。知事その人のヒトを喰った態度も許しがたいが、それを手助けするが如き事務方の茶坊主的「忠義心」は向く方角が完全に間違っている。
この知事は、いつの頃からか道を踏み間違えたらしく「お山の大将」を決め込んで、小さな「独裁者」になってしまったように見える。自身が能力的に格下と評価している政敵と「チバン」・「カンバン」・「カバン」において大きな格差があって、国政選挙ではしばしば彼女に敗北し、彼をして敗北させる選挙民への「恨み」「つらみ」も耐えがたく、いつの日か永田町への帰還を果たすべく、耐えて「配所の月」を見る気分がこういう人民を睥睨する態度を取らせているのかもしれない、・・と筆者は邪推している。
若い時代の当人を知る筆者は、彼の人格・人間性の「変容」ぶりに驚き、落胆しかつ呆れている。おそらく、彼を取り巻く「世間」、その一番は県議会と県庁職員であり、この議員や職員たちの知的レベルと、彼の学歴・職歴を通じて獲得した経験と言語能力との間に十分過ぎる「格差」があるように思われる。その結果、「記号論的能力」の覆い難い格差が過剰な自信を一方的に獲得させ、このような自己中心性を如何なく発揮できてしまったものと、筆者は判じている。地域と県民のために、この知事に「金言:実るほど頭を垂れる稲穂かな」を謹呈したい。
(なお、この知事の政治資金問題については、3月4日参院予算委員会で立憲民主党参院議員小沢雅仁氏も問題提起していた。山梨県民の覚醒を期待する!)