日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

幕が開けられなくなった?「国会解散」の企み

2023年09月21日 07時04分39秒 | 政治
 今秋衆院解散,与党過半数を確保すれば,来年の総裁選は安泰。そのために少なくとも安倍内閣並みの5人以上の女性大臣を任命して世の婦人たちの支持を取り付けて・・・と,考えたかどうかは知らないが,まだ疲れるほどに任所の仕事をしていなかった大臣たちのうちで党内政治力学に無縁の陣笠大臣たちを総取替し,次期総裁選に支持者となる大臣就任待ちの初入閣組にそのポストを割り振ろう。臨時国会を開いて冒頭解散でも・・とひそかに企んでいたらしい岸田首相。一夜明けて見ればにっくき新聞が「岸田内閣支持率横ばいの35%、内閣改造が政権浮揚につながらず…読売緊急世論調査」,「内閣改造<評価しない>57%、政権浮揚効果は限定的 朝日世論調査」,「岸田内閣支持率横ばい25% 発足以来最低タイ  毎日新聞世論調査」「内閣支持率横ばい、改造効果乏しく<派閥均衡>評価せず 優先課題は物価対策 日経世論調査」・・と判で押したように各紙同一見出し。過去に例のない不人気スタート内閣とは相成った。
 さもありなん。ひそかに匕首をのむライバルは閣内に「軟禁」し,軽い任所には女性大臣を配して世論に迎合し,「副大臣・政務官は女性ゼロ 前回11人から一転」(朝日新聞)合計54人の多数の中に女性は一人もいないという「正直」さ。かくて,女性大臣5人を生んだ総理の決断は「理念」でもなく,「信条」でもなく,「信念」でも「思想」でもないことを見事に証拠づけてしまったのである。
 岸田氏は,これらの用意をして解散に打って出ようとした。その解散の法理と理念を何処に置けば衆議院が解散できるというのであろう? 岸田氏は彼の思慮によって憲法第7条による解散を法的根拠としようとしたであろう。よもや党内不人気とはいえ自公連立政権が憲法69条による不信任を議決すると,岸田氏も想定しないだろうから。かくて,7条で解散するというとき,その根拠は那辺において院を解散するのであろう。そこには「点皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ・・・・(3)衆議院を解散すること」。と,棒で鼻をかんだような条文が書いてある。これに依拠して解散を企むのだろうが,その歴史的事実がいかに「日本国憲法」を軽侮してきたか,そこに意を注ぐ政治的倫理の持ち合わせは,この条文に依拠して衆院解散を断行してきた政治家たちと同様に,岸田氏にも無いのではないか? 
 この度の内閣改造の下心と,意に反して結果として支持率向上が叶わなかったという現実を前にしてもなお「7条解散」なる不条理を敢行するとなれば,これはもはや無法地帯というしかないのではないか? さての窮地に至って,岸田氏は如何するどうする??・・
(この項,雑誌「世界」2023年11月号橋本基弘:「『自由な解散』が政治を劣化させる」参照)
 

内閣改造劇異聞

2023年09月21日 07時04分39秒 | 政治
 「外務大臣人事についてはほとんど話題にならなかった。それは、林氏が外務大臣として1年10か月の間、堅実に仕事をしていたこともあり、続投があたかも既定路線であるかのように見られていたためだ。 後任が同じ派閥で女性の上川氏だったことを聞いたアメリカの政府関係者は、『岸田がこの大臣交代を断行した勇気に驚いた』と興奮気味に語り、ある自民党幹部は『完全に岸田さんがライバルを潰した』との見方を示した。 内閣改造を翌日に控えた9月12日の昼、宏池会(岸田派)のナンバー2、林外務大臣は総理官邸を訪れた。 週末にウクライナを訪問していたことについて、岸田総理に報告するのだという。 およそ30分後、総理執務室から出てきた林氏は硬い面持ちだった。(以下略)」(2023/09/17 TBS「ニュースDig」より抜粋)
 16日の内閣改造劇の中の落穂記事である。筆者の目に留まったのは,何と言っても今世界を覆う暗雲はロシアによるウクライナ侵攻という暴挙であるからだ。その当事国のウクライナを訪問して帰国したばかりの外務大臣のクビをあっさり切って捨てた首相岸田文雄の判断力に大いに驚いた,のである。
 林外相がウクライナのゼレンスキー大統領と会ってどんな話をしてきたのかは知らないが,話してきたことの継続や実現は国家と国家の間の信義によるとは言い条,直接に邂逅してきた生身の人間の間の意思の疎通と感情が大いに介在するに違いない。さすれば,この件で相手方のゼレンスキー大統領にしてみれば,親交を深めて帰っていった特使が数日にして相手国で消されてしまったと聞けば,一体「あれ」は何だったのか?という不信に変わることであろう。
 岸田首相は,英語が堪能な上川氏に外務大臣を挿げ替えたそうだが,英語はアメリカでは乞食でも流ちょうに使う。英語がうまいことが外務大臣の必要十分条件ではないはずだ。英語を誇る上川氏が通用しないであろう中国語でどう緊張続く中国外交と切り結んでいけるのか? 外交をおのれの専門と確信してやまない岸田元外務大臣だが,みるところあの不機嫌な習近平氏と渡り合える度量が有るとは筆者には見えない。英語が好きな岸田氏に,中国文化と歴史に通じる教養があるとも思えない。同じことは,北朝鮮から中央アジア・ロシアは言うに及ばず,広大なグローバルサウス全体に渡って「英語の旨い」総理と新外務大臣の政治的見識が通用するようには見えないのだが。上記記事末尾にその後今日にいたるネット投票が掲載されていた。それによれば「とても期待する」1.2%,「ある程度期待する」1.6%,「あまり期待しない」6.2%,「全く期待しない」90.6%,「どちらともいえない,分からない」0.4%とあった。(2023/09/17 TBS「ニュースDig」)むべなるかな,だ!
(追記:上川陽子大臣の法務大臣時代の死刑執行命令総数16人は,一大臣としては最大値。死刑に批判的な西欧各国ではどういう受け止め方をされるのか? 外交に自信のある岸田氏にはこれもどう見えるのであろうか?)