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7月22日 大阪府大会 3回戦 (舞洲球場)
関大北陽 3-1 大阪

レポート 氏原英明

 きょうは、奈良大会・準々決勝第1試合を5回まで観戦したのち、大阪大会へ移動。ことし、「大型チーム」として評判の高い関大北陽を見にいった。

 奈良大会の会場がある橿原球場から目当ての関大北陽が登場する舞洲球場まではおよそ、1時間半。
 その車中では緊張の時が続いた。
 というのも、きょうは大阪大会の別会場で大阪桐蔭が登場。苦戦を強いられていたのだ。8回表の時点で、大阪桐蔭は8-10のビハインド。番狂わせの匂いがした。
 また、遠く長崎大会では、センバツ覇者・清峰が長崎日大の前に、1-3でリードされているという情報も入った。昨夏と今春のチャンピオンが同時に敗退するのか、やきもきしたものだ。
 
 清峰は敗れたものの、大阪桐蔭は勝ち、同時の敗退は免れたが、夏の戦いの怖さを改めて痛感した。
 長崎日大と戦った清峰はともかく、大阪桐蔭の対戦相手は公立校の春日丘だった。

 そんな思いを巡らせながら、舞洲球場についてみると、センバツ出場校の金光大阪が苦戦していた。
 6回終了時点で0-2の2点ビハインド。大阪学院の変則派右腕・佐藤に手こずっていた。
 9回裏に追いつき、延長15回でも決着がつかず再試合となったが、この試合もまた、夏の怖さを感じた。

 前評判など、何の力もくれない、ということだ。

 さて、お目当ての関大北陽である。
 このチームが大型といわれるのは、4人の安定した投手陣と大型捕手・加納、切れ目のない打線の存在がそう言われるゆえんだ。
 特に僕が注目したのはバッテリーで、その能力の高さには驚かされた。

 先発に立った2年生右腕・畑瀬は135キロ台中盤ほどのストレートとカーブ、スライダーが特徴の本格派。
 球速はさほどないが、肘がしなっているからスピード以上のキレを感じる。 投球フォームも見た目に、バランスがとれていて、見栄えは抜群だ。

 しかし、きょうは、制球が定まっていなかった。前の試合が長引いた影響があってもおかしくはない。彼らは高校生だから。
 そこに、拍車をかけるように新納監督の怒声が響く。指揮官の思惑は「待たされた分の切れた緊張の糸を戻すため」だったそうだが、2年生右腕は余計に力んでしまっていた。
 2回途中で降板。まだ失点していたわけではなかったので、この時点での降板は少し残念。彼の評価はまた次の機会においておこうと思う。

 代わりに登板した3年生右腕・中村は後続をきっちりと抑え、流れを作った。タイプとしては畑瀬とそう変わらないが、畑瀬ほどのストレートのキレはないながらに、内・外の使い分けが上手い。
 こういう投手が背番号「12」をつけているんだから、ことしの関大北陽投手陣は相当分厚い。
 中村は7回までを1失点で抑え役割を果たした。
 
 最後に登板したのがエースナンバーをつけた笛吹。
 畑瀬が怪腕なら、笛吹は剛腕。重みのあるストレートとスライダー、チェンジアップで勝負する。ストッパータイプに合いそうだ。
 3年生だし、最後の意地に掛けて、締めてくれそうなタイプだ。昨年冬に手術をしたと聞くが、あれだけ腕を振れたら問題ないだろう。実に豪華な陣容といえる。

  次に注目したのが捕手・加納。183㌢83㌔の体型は、立ち姿を見ただけでも大型選手の印象。雰囲気もある。
 だが、なにより目を引いたのが捕手として声を掛けまくる姿勢が良い。しかも、その掛け方は優しくない。厳しい言葉でチームを引き締める司令塔である。そうでないと、4人いる投手のリーダーシップを取れないのだろう。
 昨今のキャッチャーを見ていると、二塁へのスローイングばかりに目を奪われ、こうした「仕切り」ができないキャッチャーが多い。
 そういう点では加納の捕手としての声掛けには目を引くものがあった。
 もちろん、スローイングも大切。きょうの加納はタイムを測られるのを避けたいのか、ボールを捕ってからは素早くしながらも、投げに行く時には手を抜いていた。

 一方、試合展開はというと苦戦だった。
 練習試合で大勝していたという大阪高に対し、油断もあっただろうし、新納監督の叱咤激励が空回りした部分もあっただろう。観客席に元阪神監督で同校OBの岡田彰布氏が観戦に来ていたことも作用しただろうか。得点を奪えず、いいリズムで試合ができていなかった。
 8回表の時点で1-1。試合の行方は分からない展開であった。

 これを打破したのが5番・中山。8回裏、先頭の川西が左翼前安打で出塁、犠打で二進、3番・山崎中堅飛球、4番・西村四球で回ってきた。 中山は初球を打って、右中間を破る適時三塁打。重たい空気を吹き払った。こうした終盤の精神戦で力を発揮できる選手は強い。
 新納監督も
「もっとやれる、能力のある選手なのに、結果が出ていなかった。これで、今後が楽しみ」
 と、目を細めていた。

 「大型チーム」という評判を聞いてその強さを確かめたかった関大北陽。
 畑瀬の途中降板など、まだ推し量れない部分はあったが、確かに力はあるなと感じるチームだった。
 PL学園、大阪桐蔭の2強の評判ばかりが先行することしの大阪。関大北陽はどこまで迫ることができるだろうか。


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