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 6月24日水曜日、参議院で公文書管理法案が全会一致で可決されました。すでに、衆議院においては全会一致で通過していましたので、これでこの法律は晴れて成立ということになりました。公文書管理法は地味ですが、たとえば10年後に現在をふりかえった時、ああ、あの時がターニングポイントだったのかと気づくような、そのような重要な法律です。

ノンフィクションや小説を書く人々、過去の史料にあたって近現代史研究を進める人々、現在から将来にかけての政策決定を過去の教訓に照らし合わせつつ迅速かつ的確に行なう必要のある人々、国民共通の知的資源として自らのアイデンティティを確認しようとする人々、そのような人々にとって、公文書が死活的に重要な意味を持つことはいうまでもありません。

6月29日付朝刊で「毎日新聞」がスクープしていましたが、1960年の日米安全保障条約改定時に核兵器搭載艦船の寄港などを日本側が認めた密約について、87年7月に外務事務次官についていた村田良平氏が、密約の存在を認める証言をしたというのです。この紙面では、さらに、77年制定の領海法で、宗谷、津軽、対馬など五つの海峡の領海の幅を、日本側が国連海洋法条約で認められている12カイリとせず、あえて狭く3カイリと規定した謎なども言及されています。わかりますよね。米艦船がこの五つの海峡を通過しても、3カイリの外側を通れば日本の領海を通過したことにならないからですね。このような証言が出てきたこと自体、公文書管理法が制定される現在の気運と無関係ではないと思います。問題は、ならば危ない決定は残さないことにしよう、との動きが当然ながら出てくることです。文書主義を徹底する政治文化を育てる必要がありそうです。 

加藤陽子
(2009年7月5日記)

前回・5月15日の通信はこちら


Profile
かとう ようこ
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。2009
年より東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は日本近現代史。『戦争の日本近現代史』(講談社現代新書)、『シリーズ日本近現代史(5) 満州事変から日中戦争へ』(岩波新書)など著書多数

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