■オリジナル読み物は「ISSUE」で、ノンフィクション書籍情報は「BOOK WEB」で、ノンフィクション作家情報は「WHO'S WHO」で
オリジナル読み物満載の現代プレミアブログISSUEページへノンフィクション作品ガイド満載の現代プレミアブログBOOK WEBページへノンフィクション作家の情報満載の現代プレミアブログWHO'S WHOページヘ現代プレミアブログCOMMUNICATIONページヘ現代プレミアブログWORK SHOPページヘ
現代ビジネスOPEN!! どりこの探偵局


ツィッターが演出する個人優位の世界

ツィッターがブームになっている。個人の情報交換もあるが、企業の広報活動やプロモーションにも効果があるとして注目され、週刊ダイヤモンドは、1月23日号で大特集を組んだ。  

ツィッターは脊髄反射のメディア

 2月初め、ナレッジマネジメント学会で、ツィッターについてのシンポジウムがあった。そこでIBMの担当者が、広報活動について効果を上げている事例を説明し、会場から「IBMはすごい」という声が上がった。しかし、その表現は正しくない。「IBMには素晴らしい担当者がいる」というのが正しい表現だ。会社として考えたことではなく、この担当者がたまたまIBMの社員だったということだ。

 この担当者は、ツィッターでやりとりする場合に、会社としてではなく「個人として」のスタンスで応対しているが、やはり「会社として」と見られることを指摘していた。
さらに、会社での承認を取っていると手遅れになる場合、どうするかが悩ましいと述べていた。

ツィッターは即座の反応が求められる。いちいち上司の了解を取って・・・というわけには行かない。つまり「脊髄反射」が必要なのだ。

意思決定のスピードが勝敗を分ける

意思決定を個人がする場合と、組織でする場合・・・その差は大きい。グーグルのCEO、エリック・シュミットは、こんなことを言ったという。
「我々の敵は、すでに大きなビジネスをしている大企業ではない。私たちが知らない小さな企業が、ある日突然、強敵として現れるだろう。小さな組織の決定的な強みは、意思決定が速いことだ」

ナレッジメント学会の議論で、私は、「新しいメディアの登場は個人と企業の関係を変え、個人優位な時代を演出していくだろう」と述べた。

昔は、企業にアプローチする場合、「マーケティング担当の方をお願いします」とか、電話や面会で、担当部署の名前で話を聞いていた。ところが、メールや携帯電話は直接個人と個人を結びつける。個人の名前でアプローチするのが、標準になった。

そしてツィッターは同時性を特徴とするメディアである。これには企業はついていけない。
いま、ビジネスの世界での情報交換は個人単位で行われている。役職、担当を名乗っていても「あの人はイケてない」と思われると相手にされず、情報も入らない。

イケてる社員をたくさん持っていることが企業にとって必要条件になる。

個人本位の野党と、意思統一の与党

話をちょっと変えよう。  
鳩山首相、小沢幹事長の政治資金問題、平野官房長官や岡田外相の発言など、政権を取ったばかりの民主党の未熟さが目立つ。

特に、鳩山首相は政府のトップとして、その機構の中に検察を抱えながら、一方で、被疑者になった小沢幹事長への友情発言が問題になった。  

野党は、個人のセンスで、好き勝手に与党を攻撃していればいい。いわば個人優位。ところが政府は統一性が求められる。「守り」は一枚岩でないとダメだ。そういうことがわかっていない。

マスメディアにとって、閣僚の発言が食い違うのはネタになる。大したことがなくてもその差を誇張して、政権を攻撃する。その好餌となっている。  

個人優位か組織優位か、意思決定とメディアの使い分けをしっかり考えるべきだ。企業や民主党の議員が時代の先端を行こうとツィッターに乗り出すときに、メディア特性と、組織の対応能力をちゃんと考えないと、失態の連続になると、注意すべきだ。                              
                                 2010年2月8日  坪田知己

----------------------------------------
坪田知己著『2030年メディアのかたち』絶賛発売中です!


本書を読んでのご感想、デジタルメディアやジャーナリズムに関するご意見・ご質問を本連載コメント欄にどしどしお寄せください。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )