劇団誠〈せい〉と仲間たちの冒険

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獣人カズヤ(2)

2016年08月09日 20時13分32秒 | ゴシゴシゴシック~鍋山和弥作品集~
 入口の兵士①が、『助けてくれ~!!』っと言う前にカズヤは、自らの右手だけの変身後の爪で、入口に兵士①の体を引き裂く・・・・。
入口の兵士①「ぎゃああああぁぁぁぁ!!!!」

 一方、レイとレーガンは、走って西の森の方に向かっていた。すると・・・・。
入口の兵士①「ぎゃああああぁぁぁぁ!!!!」
 こんな絶叫を自分達が向かっている方角から聞こえてきて、レイとレーガンは、気を引き締める・・・・。
レイ「・・・・奴なの・・・・?」
レーガン「・・・・おそらくな・・・・」
レイ「・・・・なら急ぎましょ・・・・」
レーガン「・・・・ああ、そうだな・・・・」
 こうして、レイとレーガンは、自分達が向かっている方向に向かって、更に走るスピードを速めていた。そして、2人がヴァレックの出口付近に辿り着くと・・・・。
レーガン「・・・・こっこれは・・・・」
レイ「へぇ~、こいつなかなかやるのね♪♪」
 見ると、黒ずくめの男・・・つまりカズヤは、両腕共変身させたままの状態で、更にその両腕は、兵士2人の血をあびたままの状態になっていた・・・・。
ならず者①「なんだなんだぁ~!!こいつが『黒い悪魔』かぁ~!!?ただの獣人じゃねぇ~か!!」
ならず者②「腕だけ変身とは器用だなぁ~!!」
ならず者③「確かに、通常の鎧型獣人よりは強そうだがなぁ~」
 こうして、ぞろぞろとあっちこっちから用心棒やならず者が現れ、黒ずくめの服装をしているカズヤの元に集まり逃げられないように、カズヤを包囲する・・・・。
ならず者④「観念しろ!!」
ならず者⑤「もう逃げられねぇ~ぞ!!」
 この様子を見て、カズヤは、不敵な笑みを浮かべる・・・・。
カズヤ「雑魚が!!」
 カズヤは、いつも使っている獣人語ではなく、人間の言葉で、こう言った・・・・。こうして人間の言語を話したので、周囲のならず者や用心棒、レイやレーガンも驚き、カズヤの周囲はザワついていく・・・・。
ならず者①「関係ねぇ~!!殺っちまえ~~!!!!」
ならず者達「おおおおおおぉぉぉぉぉぉ~~!!!!」
 こう言いながら、ならず者達は、次々とカズヤに襲い掛かっていく・・・だが、カズヤは、全身を硬い皮膚で覆われた、いわゆる鎧型獣人の姿になり、襲い掛かって来るならず者を次から次へと自らの爪で引き裂いていっていた・・・・。
レーガン「おい!!人間の言葉を話してるぞ!」
レイ「・・・・う~ん、そこは驚いたけど、だからといって、奴を狩ることができるかどうかは話は別だと思うけどね・・・・♪」
レーガン「!?なぜだ!!?」
レイ「言語を話せるってだけで、強い弱いは関係ないでしょ♪」
レーガン「バカ言え!!言語が話せるってことは!それだけ人間をよく観察してきたって証拠だし!様々な修羅場をくぐり抜けなければ!人間社会にごく自然に溶け込まなければ!あんなに普通に人間の言語をしゃべることなんてできない!!それだけ生きていく術を知ってるってことなんだぞ!!」
 それを聞いて、レイは、無邪気でありながら、得意気な笑みを見せながらレーガンの方に顔を向ける・・・・。
レイ「そんなこと、百も承知だよぉ~~だ♪♪」
 これを聞いて、レーガンは、ビックリし虚を突かれたような状態になる。
レーガン「・・・・おいおい、何言ってんだ・・・・?」
 これを聞いて、レイは、更に得意気な表情になる・・・・。
レイ「元聖騎士団の肩書き、伊達じゃないよ♪♪」
 こう言いながら、レイは、レーガンの肩をポンポンっと軽く叩いた後、カズヤの方に向かってゆっくり歩き始めるが・・・・。
ならず者⑥「おっと!!ここから先は危険だぜぇ~、お嬢ちゃん♪」
 ここで、ならず者⑥は、こう言いながら、カズヤの方に歩き始めたレイの進行を遮り、レイの歩みを止めた。
レイ「・・・・何のつもり・・・・?」
ならず者⑥「言ったまんまだぜぇ~~、女には危険だから、大人しく下がった方が身のためってもんさ♪」
 ならず者⑥は、下心丸出しな感じで、レイにこう言ったが、これで、ならず者⑥は、レイを怒らせてしまった。これに対してレイは、自らの剣を抜き、ならず者⑥に向かって、ならず者⑥の首に向かって剣を構える・・・・。
レイ「ちょっと黙ってくれないかなぁ~。正直言って、余計なお世話なんだよねぇ~。分かるぅ~?」
 こう言いながらレイは、殺意もありながらの嫌みったらしい笑みを浮かべていた。これに対して、ならず者⑥はレイに恐怖感を覚える・・・・。
ならず者⑥「・・・・まっまあ~・・・落ち着けって・・・・(苦笑)」
レイ「とにかく余計なことしないことね」
ならず者⑥「・・・・わっ・・・分かった・・・・」
 ならず者⑥は、殺気を放っているレイに対する恐怖のあまり、全身に冷や汗をかいていた・・・・。
 こう言いながら、レイは、カズヤとならず者達の戦闘が行われているヴァレックの出口の方に歩いて向かっていた・・・・。こんな感じで、そうこうしているうちに、ならず者達自身は、カズヤの前で、ほとんど死んでしまっており、残り少なく、カズヤから逃げ惑っていた・・・・。いわゆる、戦意喪失って奴だ・・・・。
ならず者⑥(・・・・あっ・・・あの女・・・・)
 ならず者⑥は、そのまま腰を落としてしまい尻餅をついてしまった状態になっていた・・・・。
ならず者⑥(あの女・・・まるで・・・本物の・・・本物の死神のようだ・・・・)
 一方、他のならず者達はというと・・・・。
ならず者⑦「うわぁ~~!!!!」
ならず者⑧「バケモンだぁ~!!!!」
ならず者⑨「助けてくれぇ~~!!!!」
 こんな助けを求めるならず者達をレイは、カズヤに向かって歩き続けてるだけで、助けようともしなかった・・・・。
レーガン「・・・・おいおい、助けないのか・・・・??」
レイ「勘違いしないで、私が助けたいのは、ヴァレックの・・・この街の住人よ。こんな用心棒という名目で、好き勝手なことをして、肝心の住人を苦しめていたような、こんな自分勝手なこいつらなんかじゃないから・・・・」
 レイは、カズヤの方を見据えたまま歩き続けながら話し、レーガンの方に振り向くことはなかったが、こんなレイの話しを聞いてを聞いて、レーガンは納得していた・・・・。
レーガン「・・・・そっそうか・・・なっなるほど・・・ね・・・・」
 レーガンは、レイのこの発言に完全に驚いてしまっていた・・・・。そして、他のならず者達は、レイの狙い通り、カズヤによって、ならず者達をカズヤ自らの爪で殺られ続け、ついにそのまま、ならず者⑥しかいなくなっていた・・・・。
ならず者⑥「・・・・おい・・・嘘だろ・・・・」
 ならず者⑥は、他のならず者達が、全滅したことを信じられない思いで、しばらく呆然としていた・・・・。
ならず者⑥「・・・・ばっバケモンだぁ~~~~!!!!・・・・」
 こうして、ならず者⑥は、恐怖のあまりガクガクと震えていた・・・・。
レーガン「・・・・お前の実力・・・見せてもらおうか・・・・」
 レイは、カズヤに向かって歩いてる足を止め、自らの剣を抜く。こうして、レイは、カズヤと対峙するように立っていた。しばらく緊迫した空気が漂う・・・・。
カズヤ「くたばれ!!人間がぁ~~!!!!」
 こう言った直後、カズヤは、レイの方に向かって跳び、自らの右手の爪で、レイに襲い掛かる。カズヤが、獣人語で、こう言ったため、周りには、獣の咆哮のようにしか聞こえなかったが、これが戦いの合図であることは分かった。レイは、後方に跳び、カズヤの爪による攻撃を紙一重でかわし、そのまま着地する・・・・。
レイ「思ったより速いのね」
カズヤ「黙れ!!!!」
 こう言った直後、カズヤは、更に、ついずいするように、次々と自らの両手の爪による攻撃を繰り出して行くが、レイは、それを全て冷静に紙一重でかわしていく・・・・。
レイ「あら、その程度♪?」
 これを聞いて、カズヤはイライラし、舌打ちしてしまう・・・・。
カズヤ「なめるなぁ~~!!!!」
 獣人語でこう言いながら、カズヤは、更に力を入れて腕を振るが、大振りになってしまい、かえって、レイに、かわされやすくなってしまっていた。そして、・・・・。
レイ「確かに♪身体能力は、普通の鎧型獣人より上をいってるのは認めるけど・・・ね♪」
 こう言い終えるのとほぼ同時に、レイは、カズヤの頭上を飛び越す感じで大ジャンプし、意表をつきつつ、カズヤとの間合いを取った。
レイ「まっ♪私の敵ではないわね♪♪」
カズヤ「チョコまかチョコまかと!!!!」
 こう言いながら、カズヤは、後方のレイの方に顔を向け、素早くレイの方に向かって怒り任せに跳び、右手の爪でレイを引き裂こうとする。
レイ「身体能力は高いけど、攻撃が単調すぎたね♪」
 こう言いながら、レイは、左手の掌を、まるでロックオンするかのように、カズヤに向かってかざす。すると、その左の掌からカズヤに向かって、大きな光砲が放たれた。
カズヤ「!?何!!?」
 当然ながら、ジャンプしていたカズヤは、これを避けることができなかった。
カズヤ「ぐああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 レイのこの光砲をくらい、カズヤは、かなりのダメージをくらい、吹っ飛ばされてしまい、そのまま変身が解け、全身に大火傷をくらい、地面に激突し、倒れ込んでしまう・・・・。
ならず者⑥「?・・・・へっ・・・・!?」
 こんなレイの光砲を見て、ならず者⑥は、驚きを隠せず、目の前の光景が信じられず、呆然としていた・・・・。
ならず者⑥「・・・・何だ?・・・あれ・・・・」
レーガン「・・・・これが、『聖騎士団』の者なら誰でも使えると言う『気功術』か・・・・」
 そう、実は、レイがカズヤに向けて放ったのは、『気功術』と呼ばれる体内の気(つまりエネルギー)を外に放つ術で、聖騎士団に入隊するために必ず必要な術でもある戦闘法であった。
ならず者⑥「!?えっ!!?」
 こう言いながら、ならず者⑥は、すぐ後ろに来たレーガンの方に顔を向ける。
ならず者⑥「・・・・おい・・・何だよ・・・『気功術』って・・・・それに『聖騎士団』って、まさか、あのグレア帝国の・・・・」
レーガン「そうさ、彼女は、元『グレア帝国』の『聖騎士団』の者なんだよ。『気功術』っていうのは、さっきの光砲のことだよ」
 これを聞いて、このならず者⑥は、更に驚いてしまう・・・・。
ならず者⑥「そうだったのか、だから、あんなに殺気のこもった目つきだけで怖かったんだ」
レーガン「・・・・だろうな・・・・」
 補足として説明すると、『気功術』とは、生物が本来持っている気(つまりエネルギー)を感じ取り、放出することによって、対象に何らかの作用を与える術で、運動すると体力が消耗するように、『気功術』を使用すると、同じように体力を消耗する。つまり、体を鍛えれば、より強力な『気功術』が使えるようになる方法でもあった。(魔法、魔術、魔導などは、体力ではなくイメージ力で強力なものになる。ようするに頭脳を鍛えれば鍛えるほど、強い魔法が撃てると言うこと・・・・)また、この『気功術』には、属性というものが存在し、相手によっては、得意な相手、不得意な相手と相性なども存在する。例えば植物属性は、炎属性に弱く、炎属性は、水属性に弱く、水属性は、電気属性に弱いなど・・・・。因みにレイは光属性で、得意な属性は、闇、悪、月光、黒炎、黒電流、不得意な属性は、宇宙、太陽、影、であり、得意な属性も不得意な属性も少ないが、大抵の属性に平均的な対応ができる。
カズヤ「・・・・くそっ!・・・人間め!!・・・・」
 全身火傷の状態ながらカズヤは、こう言いながら(獣人語で)立ち上がろうとしていた。だがレイは、さっきの掌を立ち上がろうとしているカズヤの方に標準を合わせる。
レイ「終わりよ。『黒い悪魔』」
 こう言った直後、レイは、自らの掌からカズヤに向かって、再び光砲を放つ。
カズヤ「!・・・・くそっ・・・・!!」
 これを見て、カズヤは、舌打ちしながらも、四つん這いの状態から素早く建物の上までジャンプして、屋上で着地し、それから、建物の屋上から屋上へと素早く跳んで行く。そんなカズヤを見て、レイはレイで、舌打ちをするが、すぐに小悪魔みたいな笑顔を見せる。
レイ「逃がさないよぉ~♪♪」
 こう言いながら、レイもカズヤと同じようにカズヤを追って、ジャンプして建物の屋上まで行きジャンプで屋上から屋上へと移動し左手の掌から光弾をカズヤに放ちながら追っていた。カズヤは、その全ての光弾をかわしながら逃げ、そのまま、2人とも街の外に出た・・・・。
ならず者⑥「・・・・何って、戦いだ・・・・」
レーガン「・・・・元聖騎士団だからな・・・・」
 ならず者⑥は、呆然としていた・・・・。
ならず者⑥「・・・・この戦い・・・まるで・・・・」
レーガン「?まるで??」
 この後、少しの間、静寂な空気が漂う・・・・。
ならず者⑥「・・・・まるで・・・『白い死神VS黒い悪魔』みたいだ・・・・」
 これを聞いて、レーガンは、笑いながら妙に納得してしまう・・・・。
レーガン「・・・・確かに・・・な・・・・」
 この後、しばらく静寂な空気が、漂っていた・・・・。

 あの後、カズヤとレイは木の枝から枝へジャンプで移動しながら、移動し続けていた(レイは、左手から光弾を放ち、カズヤは、その光弾を紙一重でかわしながら)・・・・。
カズヤ(なんだ!あの女は!!)
レイ(私の攻撃をずっとかわし続けるなんて・・・さすがに、今まで誰にも殺られなかっただけはあるわね♪)
 その後も、カズヤとレイは、こんな攻防を続けていた。
カズヤ(確かに、あの女は強い・・・だがっ!!悪いが森は、俺のフィールドなんで・・・ね!)
 こう思ったこの直後、カズヤは、自らの右手を変身させ、その右手の爪で、自分から見て右側の大木をレイの方に倒れるように計算して引き裂き、その計算通りに大木が、レイの方に倒れる。
レイ「!!おっと♪」
 こう言いながら、レイは、右手に持っている剣、光刃の剣トラストで、その大木を真っ二つに斬り、自分への直撃を避ける。だが、その間にカズヤは、木の枝から素早く下に飛び降りて着地し、左手も変身させ、レイが、飛び移ろうとしている木の根元を両手の爪で引き裂く。
レイ「!?えっ!!?」
 こうして、レイが飛び移ろうとしていた大木は倒れ、足場を失ったレイは、そのままカズヤのいる所まで落下し始める・・・・。
レイ「そうきたか♪」
 レイは、不敵な笑みを見せ、左手の掌をカズヤの方に標準を合わせる・・・・。
カズヤ(そうくると思っていたぜ)
 レイのその行動を見て、カズヤは、全身を変身させ、その有り余るパワーで、倒れてる大木を両手で持ち、その大木をレイに向かって振り回し、落下しているレイを打ち落とそうとする。
レイ(・・・・さすがに森では戦い慣れてるわね・・・・)
 こう思った直後レイは、右手に持っている『光刃の剣トラスト』の刀身に気功術の気を宿らせて、その剣を自分に迫って来る大木に向かって振り、その剣の刀身が大木に当たった瞬間、その大木は粉々に散り残った物の内、葉っぱがある方、つまりは、カズヤが持ってない方の大木が吹っ飛ぶ。
カズヤ「!バカな!!」
 カズヤは、獣人語でこう言った。こんなカズヤの様子を見て、レイは、意地悪そうながらも子供のように無邪気な笑顔を見せた・・・・。
レイ「ざぁ~んねん♪」
 この直後、レイは、構えていた自らの左手の掌からカズヤに向けて、気功術による光属性の大きな光砲を放った。大木を振り回したことで、体勢を崩していたカズヤは、当然この光砲を避けることができず、直撃を喰らってしまった・・・・。
カズヤ「がああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 こんな、レイの気功術による光砲をまともに喰らって、カズヤは、変身が解け、足腰が砕け、そのまま仰向けに崩れるように倒れてしまう。この直後、レイは、そんなカズヤの側に着地し、小悪魔のような不敵な笑みを浮かべながら、ゆっくりと立ち上がる。
レイ「なかなか強かったねぇ~♪下手な獣人よりは強いね♪確かに♪♪」
 こう言いながら、レイは、気絶して倒れてるように見えるカズヤの方に歩いて近付き、カズヤのすぐ隣で立ち止まり、自らの剣、『光刃の剣トラスト』を振り上げる・・・・。
レイ「・・・・でも・・・もう・・・終わりよ・・・・」
 こう言った直後、レイは、カズヤに向かって剣を振り下ろそうとする。
レイ「!!?」
 だが、実はカズヤは、気絶なんてしてなかった。剣が振り下ろされそうになったその直後、カズヤは素早く上半身を起こし、変身もせずに右手の突きでレイの腹部を狙う。しかし、レイは、後方に跳んで、カズヤのその右手の突きを紙一重でかわす。
レイ「・・・・なるほど・・・油断も隙も無いね・・・足りない能力は、長年の実戦経験でカヴァーってわけね・・・まっ!それも限界みたいだけどね♪♪」
 このレイのセリフを裏付けるかのように、カズヤは、足下がフラフラしながら立ち上がる・・・・。
カズヤ「・・・・きっ貴様・・・何者だ・・・・?」
 カズヤは、人間であるレイにも分かるように、人間語で、こう言った。
レイ「・・・・やっぱり言葉が話せるのね・・・・」
 このセリフを聞いて、カズヤは、ピクッとイラ立ってしまう・・・・。
レイ「なぜ話せるの?」
 これを聞いて、カズヤは、キレそうになる・・・・。
カズヤ「・・・なぜ話せるかって・・・?」
レイ「そっ♪♪」
 レイのこの言動を聞いて、カズヤは、完全にキレる・・・・。
カズヤ「ふざけるなぁ~!!!!」
 もちろんカズヤは、人間語で、こう応えた・・・・。こんな、カズヤの言動に対し、レイは、真剣な眼差しでカズヤを見つめる・・・・。
レイ「・・・・あら?私、気に障ること言ったかな・・・・?」
 レイは、冷や汗をかきながら、こう言った・・・・。こんなレイをカズヤは、物凄い表情で睨む・・・・。
カズヤ「・・・・確かに俺は、人間共の言語を普通に喋れるくらいまでになった・・・だがなぁ~!!・・・・」
 カズヤは、憎しみでいっぱいな言い方で、こう言った・・・・。
レイ「だがっ!?」
 この後、しばらく静寂な空気が漂う・・・・。
カズヤ「・・・・俺は・・・俺は!好き好んで!!お前らの言語を!習得したわけじゃねぇ~!!!」
 カズヤのこのセリフを聞いて、レイは、妙に神妙な面持ちになってしまう・・・・。
レイ「・・・・どういう経緯で、言語を話せるようになったか知らないけど、どうやら人間を憎んでいるみたいね・・・・」
カズヤ「当然だ!!!!」
 カズヤは、レイを睨みながら、こう言った。こんなカズヤの様子を見て、レイは、更に冷や汗をかく・・・・。
レイ「これは相当ね・・・・」
 こんなレイをカズヤは物凄い形相で恨めしそうに睨み続けていた・・・・。
カズヤ「・・・・貴様ら・・・・」
レイ「!・・・・へっ・・・・!?」
 この両者の間に、ピリピリとした戦慄が走っていた・・・・。
カズヤ「貴様ら人間共は!!俺の住んでいた獣人の村を!壊滅させ!俺の両親も殺したんだ!!」
 これを聞いてレイは、罪悪感のようなものと共に、同情などもしていて黒い悪魔を狩らなければならないっと言う気持ちではなくなっていた。同時に説得しなければみたいな感じの強い気持ちにもなっていた・・・・。
カズヤ「赤ん坊が1人で生き抜くためには!手段を選んでられない!!生きるためには何でもした!人間語を覚えたのも!その一つ!!」
 これを聞いて、レイは、ヴァレックでのならず者らの様子を思い出し、今のカズヤの様子と比べてしまっていた・・・・。
レイ「・・・・同情はする・・・でも、誰かを失う気持ちが分かるなら、考えて欲しい・・・あなたが復讐心だけの気持ちで命を奪われた人達の家族の気持ちも・・・・」
 これを聞いて、カズヤは、少しはハッとする気持ちにはなったが、人間への復讐心があまりに勝っていた。
カズヤ「人間に!!そんな資格はねぇ~ !!!!」
レイ「確かに!!人間にはどうしょうもない悪党だっていっぱいいる!でも!!それは!人間だから悪いとか!獣人だから悪い奴はいないとか!その認識は間違ってる!!」
カズヤ「なにぃ~!!!」
 この後、しばらく、静寂でありながらも、ピリピリした、緊張感のある時が流れて行く・・・・。
カズヤ「貴様に!!何が分かる!!!!」
レイ「・・・・人間が悪くないとは言わない・・・でもっ!!人間だからって!偏見を持たないで欲しい!」
カズヤ「黙れ!!」
 この後、レイは、困ったような気持ちになり、カズヤは、憎しみでいっぱいだった・・・・。
レイ「・・・・困っちゃったねぇ~・・・・」
カズヤ「!?何ぃ~!!?」
 この後、程よい緊張感で、静かな時が流れて行く・・・・。
レイ「あなたを殺れば、ヴァレックは救われる。でも、あなたが人間を敵対視していて、人間を憎んでいるのも分かる。あなたは決して悪い人じゃない・・・・」
 この発言を聞いて、カズヤは意外そうな顔で、驚く・・・・。
カズヤ「・・・・貴様・・・何言ってやがる・・・・!!」
レイ「でも、あなたを殺らなくても今度は、ヴァレックが救われない。どっちも私の信念に反するのよねぇ~♪」
カズヤ「・・・・信・・・念・・・・」
レイ「そっ♪信念♪♪」
 この後、しばらく間があく・・・・。
カズヤ「・・・・何だ・・・信念って・・・・?」
 これを聞いて、レイは、無邪気に笑う・・・・。
レイ「正義のために戦うこと♪♪」
 これを聞いて、カズヤは、イラッとしてしまう・・・・。
カズヤ「正義だと!?くだらない!この世は弱肉強食なんだよ!!」
レイ「そうは言ってるけど、じゃあ、あなたの両親を殺されたことへの怒りは何?復讐心は何??」
カズヤ「哲学の授業のつもりか!!」
レイ「理不尽に家庭とか幸せとか奪われたことに対する復讐・・・それだって一種の正義だと思わない??」
カズヤ「・・・・そっ・・・それは・・・・」
 この後、しばらく静かな時が流れて行く・・・・。
レイ「まっ♪それは置いといて♪提案なんだけど♪♪」
カズヤ「!?提案!!?」
レイ「そっ♪♪提案♪」
 この後、レイは、小悪魔のような笑顔を見せる・・・・。
カズヤ「・・・・何だ・・・提案って・・・・?」
 これを聞いてレイは、更に小悪魔のような笑みを強める・・・・。
レイ「私の仲間にならない♪?」
 これを聞いて、カズヤは、レイのあまりに予想外なセリフに物凄く驚いたと同時にレイにバカにされているかのように感じていた・・・・。
カズヤ「てめぇ~~!バカにしてんのか!!」
レイ「うん♪確かにバカにはしてるよ♪♪」
カズヤ「!なにぃ~~!!」
レイ「なぜなら、こんな一つの街で、人間を狩ってるだけで、革命の一つも起こさない・・・・」
カズヤ「・・・・何・・・言ってる・・・・?」
レイ「あなたの言っている復讐って、こんなもんなの?小さな街で、ちょくちょく現れて、弱い者を喰らうというだけの・・・・」
 これを聞いてカズヤは、このレイの発言に驚く・・・・。
カズヤ「・・・・なっ何言っている?・・・革命?・・・・」
レイ「そっ♪革命♪♪」
 これを聞いて、カズヤは、更に驚く・・・・。
カズヤ「・・・・お前は・・・革命を起こすつもりが・・・あるのか・・・・??」
レイ「もちろぉ~ん♪♪」
 これを聞いて、カズヤは、レイが人間と言うことで、人間への憎しみの感情が消しきらない感じで、レイを睨む・・・・。
カズヤ「・・・・お前は、何のために革命を起こす・・・・?」
 これを聞いて、レイは、迷いのない表情をする。
レイ「本当の正義のため」
 これを聞いて、カズヤは、怪訝な表情になってしまう・・・・。
カズヤ「・・・・正義・・・だと・・・・??」
レイ「・・・・ええ♪・・・そうよ♪♪・・・・」
 これを聞いて、カズヤは、更に怪訝な表情になる・・・・。
カズヤ「・・・・貴様の正義って・・・何だ・・・・??」
 これを聞いて、レイは、意志の固い感じで、スッと瞳を閉じ、そのまま少しして、ゆっくりと目を開いていく・・・・。
レイ「・・・・騙されることはあっても・・・私の正義は・・・変わらない・・・・」
 この後、カズヤは、キッとレイを睨む・・・・。
カズヤ「分からんな!なぜ敵を仲間に誘う!!」
レイ「さっきも言ったけど、それは、あなた自身は悪い人じゃなさそうだから・・・・」
カズヤ「・・・・悪い・・・だと・・・・?」
レイ「悪い人じゃない・・・ね♪♪」
 これを聞いて、カズヤは、人間への憎しみいっぱいにレイを睨む・・・・。
カズヤ「うるせえぇ~!!正義だの悪いだの!キレイごとばかり!!並べてんじゃねぇ~よ!!!!」
 これを聞いて、レイは、困ったような顔で、苦笑いしてしまう・・・・。
レイ「・・・・う~ん・・・正直、キレイごとだとは思っているよ。正義なんて・・・でもさっきも言ったと思うけど、騙されることはあっても、私の正義は・・・信念は変わることはない・・・例え、世界規模の組織を敵に回したとしても・・・・」
 これを聞いて、カズヤは、レイの真っすぐな発言にイライラしてしまう・・・・。
カズヤ「虫唾が走るんだよ」
レイ「あなたが、どういう人生を歩んできたかは分からないけれど、両親を失ったりしてることに関しては同情してる」
カズヤ「・・・・黙れ・・・・」
レイ「でも、あなたは、人間に、あなたと同じ立場の人を増やしてる・・・・。そのことを肝に銘じて・・・・」
カズヤ「黙れぇ~!!!!」
 獣人語で、こう言いながら、カズヤは、再び全身を鎧型の獣人に変身し、その自らの爪で、レイに襲い掛かる。そんなカズヤに対して、レイは、光属性の気功術による光砲を放つため、自らの左手の掌の標準をカズヤに合わせる・・・・。
レイ「・・・・何って言ったか分からないけれど、しょうがないねぇ~・・・・」
 このセリフを言った直後、レイは、左手の掌から気功術による光砲を放つ。こんな光砲を放たれた後、カズヤは、もはや苦し紛れに大声で笑う・・・・。
カズヤ「・・・・くそったれが・・・・」
 こうして、カズヤは、そのまま、この光砲の直撃をくらい、そのまま吹っ飛ばされてしまい、そのまま気を失ってしまった・・・・。
レイ「殺したくは無くなったから、手加減した・・・街の人にも退治したとは伝えない・・・もし、このままなら、あなたが何するか分からないから・・・・」
 このまま静寂な時が流れて行く・・・・。
レイ「まっ!!気絶してるみたいだから、このまま話しても意味ないし、目を覚ますまで、ここに居させてもらうわね♪」
 こうして、レイは、この場でカズヤが目を覚ますまで待つことにした・・・・。

 ここは、ヴァレックからさほど離れてない辺りの夜の道・・・・。ここに、灰色のマントという地味で、質素な服を纏っている、青眼で金髪の15歳の少女と、使い古された頑丈そうな鎧と西洋式の剣を身に付けている30歳の筋肉質な男が、焚き火を囲って野宿をしていた。
金髪の少女「・・・・追っ手は・・・いる・・・・?」
剣闘士「・・・・心配いりません・・・今の所、追っ手の気配はありませんので・・・・」
金髪の少女「・・・・よかった・・・・」
 こう言いながら、金髪の少女はホッとした様子で、ため息をつく・・・・。こうして、しばらく静寂な時が流れていく・・・・。
金髪の少女「・・・・ゴメンね・・・・」
剣闘士「!?えっ!!?」
金髪の少女「・・・・いつも私が・・・まあ・・・何って言うかさ・・・足手まといになってしまっちゃってて・・・さ・・・・」
 こう言いながら、金髪の少女は、本当に、剣闘士に申し訳なさそうにしていた・・・・。
剣闘士「!!何言ってんですか!!!私なんかに!!そんなお言葉!・・・・もったいない・・・・」
 これを聞いて、この金髪の少女は、それでも申し訳なさそうにして、こう言った・・・・。
金髪の少女「・・・・そんなこと・・・ないよ・・・・」
剣闘士「・・・・いや・・・私なんて・・・そんな・・・・」
金髪の少女「いやっ!!そんなことない!」
剣闘士「これぐらい当然ですよ・・・・」
 このセリフを聞いて、金髪の少女は、クスクス笑い始める・・・・。
金髪の少女「どうせ、『王女のためですから』とか言うつもりなんでしょ?」
 これを聞いて、剣闘士は、苦笑する・・・・。
剣闘士「・・・・まっ・・・まあ・・・そんな所です・・・・」
王女「もう!!そのことは忘れてって言ってるのに♪」
剣闘士「私も、そんなわけにはいきませんって言ってますよ」
王女「・・・・まあ・・・そうだけどさ・・・・♪」
 こうして、王女と剣闘士の、こんな和やかな会話は続いていっていた・・・・。

 ここは、どこだか分からない暗闇の中・・・、こんな暗闇の中をカズヤは、1人で歩いていた・・・・。
カズヤ「・・・・ここは・・・どこだ・・・・??」
 こんな独り言を言いながら、カズヤは、進んで行く。すると、・・・・。
エリス「カぁ~ズヤ♪」
カズヤ「!?誰だ!!?」
 カズヤがこう言った後、エリスのクスクス笑ってる声が聞こえてくる・・・・。
エリス「おやおや、母の顔を忘れたのかなぁ~♪」
 目の前に母親であるエリスが出てきたことに、カズヤは、驚きを隠せなかった・・・・。
カズヤ「・・・・かあ・・・さん・・・・??」
エリス「そっ!あんたの母さんよ♪♪」
カズヤ「・・・・えっ!?・・・でも、母さん・・・死んだんじゃあ・・・・」
エリス(レイの声と重なって、次のセリフを言う・・・・)「そうね」
カズヤ「!?・・・・えっ・・・・!!?」
 このエリスのセリフが、レイの声と重なって聞こえたため、カズヤは、恐怖で凍りついてしまう。すると、エリスの姿をしていたのが、レイの姿に変化する。それを察知して直後に、カズヤは、素早く後ろに跳び、警戒する・・・・。
カズヤ「・・・・貴様・・・・」
 こう言いながら、カズヤは、警戒心にいっぱいに冷や汗をかく・・・・。この後、このレイの姿になったこいつは、クスクスと笑っていた・・・・。
カズヤ「なぜだ!なぜここに居る!!」
 この後も、レイはクスクス笑っていた・・・・。
レイ「さぁ~て♪なぜでしょう♪♪」
 こう言いながら、レイ?は、左手の掌をカズヤの方に向け、ロックオンする。こんなレイ?の様子を見て、カズヤはつい舌打ちをした直後、周囲をあっちこっち見渡し、必死に逃げ場を探す。だが見つからないまま、光属性の気功術による光砲は、放たれてしまった・・・・。
カズヤ「ああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 こんな、気功術による光砲をまともにくらってしまい、カズヤは、絶叫してしまった・・・・。

カズヤ「ああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 この絶叫と共に、気絶していて、夢を見てしまっていたカズヤは、目を覚ました。もう朝であった・・・・。こんな悪夢を見てカズヤは、物凄く冷や汗をかいていた・・・・。
カズヤ「・・・・ここは・・・どこだ・・・・??」
 こう言いながら、カズヤは、自らの周囲を見渡した後、深くため息をつき、顔に手を当てた・・・・。
カズヤ「・・・・そうか・・・俺は確か・・・あの女に・・・・」
レイ「目を覚ましたみたいね♪」
カズヤ「!!?」
 このレイのセリフを後ろから聞いて、カズヤは声の聞こえてきた後方に振り向く。すると、そこには悪戯な笑顔をみせるレイがいた・・・・。
カズヤ「きっ貴様ぁ~~!!!!」
 ついつい、獣人語でこう言いながら、カズヤは、レイに殺気を放ちながら、自らの右手だけを獣人に変身させようとする。だが・・・・。
カズヤ「!!?くっ!!??」
 カズヤは、蓄積ダメージと疲労のせいで、右手を変身させることができず、立ち上がることもできなかった・・・・。
レイ「無理しない方がいいよ♪手加減したとは言え、大ダメージであることには変わりないんだから♪♪」
 これを聞いて、カズヤは驚きを隠せなかった。なぜなら、何せ、ただでさえ、圧倒的な差で負けたのに、その上に手加減されていたと聞いたからである・・・・。
カズヤ「・・・・な・・・に・・・・?」
 こんな、カズヤが驚いてる様子を見て、レイは、更に、得意気な表情になってしまう・・・・。
カズヤ「・・・・手加減・・・だと・・・・?」
 こんなセリフを聞いて、レイは、クスクスと少し意地悪そうに笑っていた・・・・。
レイ「そっ♪手加減よ♪♪」
 これを聞いて、カズヤは、物凄く悔しくてたまらなくなってしまう・・・・。
カズヤ「・・・・なぜだ・・・・??」
 これを聞いてレイは、無邪気な笑みをみせる・・・・。
レイ「あなたの発言を聞いていたら、殺意が無くなっちゃった♪♪」
 これを聞いて、カズヤは、驚きを隠せないながらも、レイを睨み続けていた・・・・。
カズヤ「いい人ぶってんじゃねぇ~よ!!この偽善者が!」
 これを聞いて、レイは、瞳を閉じて、ウンウンと頷きながら聞いていた・・・・。
レイ「あなたには、人間全員がそうであるように見えるわけね・・・・」
 こんなレイのセリフと様子を見て、カズヤは、何も応えず、ずっとレイを睨んでいた・・・・。
レイ「・・・・でも・・・人間って汚いことする奴も多いけどね・・・みんながみんな、そんな人ばかりじゃないと思うよ・・・さっきも言ったと思うけど、人間だから悪いってこともないし、獣人だから、悪くないってこともないと思うけどね・・・・」
 このセリフを聞いていて、カズヤは、ついイライラしてしまい、そして・・・・。
カズヤ「黙れ!!」
 案の定、カズヤは怒鳴ってしまった・・・・。これを聞いて、レイは、ビックリしてしまい、しばらくして深く、ため息をつく・・・・。
レイ「悪い奴かどうかは、種族で判断できることじゃないって言いたかったんだけど・・・・♪」
 これを聞きながら、カズヤは、更にイライラしていく・・・・。
カズヤ「黙れっつってんだ!!!!」
 更にデカい怒鳴り声で、カズヤは、こう言った。これを聞いてレイは、深くため息をついた後、ふとレーガンのことを思い出し、更にため息をつき、冷静に、こう言った・・・・。
レイ「・・・・あの人にしても、あなたにしても、許せないって思いは、いっしょのようね・・・けど、みんながみんな、そうじゃないから・・・・」
カズヤ「言い訳してるだけだろうが!ざけんな!!」
 これを聞いて、レイは、再び深いため息をついた・・・・。
レイ「私も罪無き者を手にかけてないかと言えば、嘘になるけど、あなただって、相手のこともよく知らずに、罪無き者に手をかけてる。確かに、あなたのご両親は、罪の無い人だったのかもしれないけど、ご両親を殺したのが、たまたま人間だったってだけで、人間にも罪の無い人は絶対にいる・・・・」
カズヤ「てめえだけの基準で!勝手に!!決めるんじゃねえよ!!!!」
 これを聴いて、レイは、しばらくして苦笑いする・・・・。
レイ「まっ!!いいんだけど・・・ね♪」
 こう言いながら、レイは、純粋な気持ちで無邪気に笑ってみせた後、真剣な表情になる・・・・。
レイ「でも、あなただって、自分の価値観で人間全員を憎んでいるじゃない」
カズヤ「あぁ~!?何言って!!・・・やがる・・・・」
 こう言われた後、レイは、得意気に不敵な笑みを浮かべていた・・・・。
レイ「まあ、私も何が正しくて何が間違ってるのかなんて分からなかったりするんだけどね・・・・」
 レイは、苦笑いしながら、こう言った・・・・。
カズヤ「・・・・分かるわけねぇ~よ・・・ハナッからそんなもんねぇ~んだからよう・・・・」
 カズヤは、こう言っていながらも、心の底では、レイと同じように、『正義』を信じたい心もあり同時に、心のどこかでは、レイに惹かれていっている自分もいたりしているようでもあった。本人は、認めたくはないであろうが・・・・。
レイ「・・・・まっ!!・・・とにかく!今、私がすべきことは、対等にいろんな人と話し、自分なりに正しいと思う道を歩むことだけ・・・かな・・・・♪」
 こう言った後、レイは、無邪気な笑みを浮かべ、深くため息をついた・・・・。こうして、しばらく、この2人の間に、静寂な時が流れていった・・・・。
レイ「・・・・じゃっ!!・・・私は、そろそろ行くから・・・・」
カズヤ「?返事してもねぇ~ぞ??」
 カズヤは、半分、自棄糞のような気持ちで、こう質問した・・・・。
レイ「どうせ、NOでしょ♪」
 これを聞いてカズヤは、図星っと言った感じの表情になってしまう・・・・。
カズヤ「・・・・いきなり、仲間になってくれと言われても・・・ね・・・・」
レイ「・・・・まっ・・・普通はそうだよね・・・・」
 この後、カズヤは、レイの『うん♪確かにバカにはしているよ♪♪』、『なぜなら、こんな一つの街で、人間を狩っているだけで、革命の一つも起こさない・・・・』、『あなたの言っている復讐って、こんなもんなの?小さな街で、ちょくちょく現れて、弱い者を喰らうというだけの・・・・』ってセリフを思い出していた・・・・。
カズヤ「・・・・確かに・・・俺のやってきたことは・・・革命に比べれば、小さいな・・・それは認める・・・・」
 瞳を閉じて、カズヤは、こう言った・・・・。
レイ「でしょぉ~!!?」
カズヤ「だがっ!!!!」
 この後、この場が静まりかえる・・・・。
カズヤ「それと貴様の仲間になるかは、話しは別だ・・・・」
 これを聞いてレイは、ちょっと、虚を突かれたような表情になるが、そのままため息をついた後、次のセリフを言いながら、この場を去ろうとする・・・・。
レイ「まっ!!別にいいんだけどねぇ~!!♪」
 レイが、こう言いながら歩いていると、何かを思い出したかのように、ふと足を止めた後、次のセリフを言う・・・・。
レイ「あっ!そうそう、手当てしてないけど、理由は、すぐに街を襲われても困るからだから・・・ね・・・・♪」
カズヤ「・・・・それが普通だろうな・・・・」
レイ「次、会った時にも同じように街を襲ってたら、容赦しないよ」
カズヤ「・・・・その可能性が一番高いな・・・今の所・・・・」
レイ「・・・・そうならないことを祈るばかりね・・・・」
 このまま、レイは、この場を去って行った・・・・。レイの姿が見えなくなった後、カズヤは、試しに立ち上がろうとしてみる。だが、・・・・。
カズヤ「・・・・くそっ!!ダメージがありすぎて!ろくに動けないぜ!!・・・・」
 レイの気功術による光砲のダメージは、カズヤにとっては、立ち上がることすらできないくらいの大ダメージであった・・・・。

 ここは、ヴァレックの出入り口・・・・ここには、『黒い悪魔』・・・つまり、カズヤに殺された。ならず者や用心棒の死体が、あっちこっちに散乱していた・・・・。
ならず者「・・・・奴は、どうなったんでしょうね・・・・??」
 ならず者は、恐怖でガタガタ震えながら、こう言った・・・・。
レーガン「・・・・さあな・・・・」
 レーガンは、冷静でいようとはしているものの、あの2人・・・つまり、カズヤとレイへの殺気は抑えてはいるものの隠せないくらいに滲み出てるような状態になっていた・・・・。
ならず者「さっ『さあ』って・・・・」
 このならず者の発言を聞いて、レーガンは、イラッ!とし、自らの剣を抜き、素早く、このならず者の首の方に向けた・・・・。
ならず者「!ひっひい!!」
 レーガンのこの行動に、ならず者は、強い恐怖を覚える・・・・。
レーガン「・・・・勘違いの無いように言っとくが、俺は、お前の友達でもなければ、味方でもない。むしろ、この街で好き勝手なことをしてきたお前も仲間達も殺したいくらいだ。死にたくなければ今すぐ、ここから立ち去ることだな」
 こんなセリフをレーガンは、静かながらも殺気混じりの強い口調で、こう言った・・・・。このセリフで、ならず者は、レーガンに対し、更に恐怖心を抱く・・・・。
ならず者「はっ!!はい!!!!わっ!!分っかりましたぁ~~~~!!!!」
 こう言うと、ならず者は、レーガンにかなり怯えながら、一目散に走って逃げていった・・・・。こんな、ならず者の様子を見て、レーガンは、深くため息をついた・・・・。
レーガン「・・・・どいつもこいつも・・・・」
 レーガンは、イラ立ちを隠しきれない感じで、こんなセリフを吐いてしまっていた・・・・。

 あの後も、カズヤは、何度も立ち上がろうと試みるが、あまりの大ダメージに立ち上がれないでいた・・・・。
カズヤ「くそっ!!ダメージがありすぎて!立ち上がれやしねぇ~!」
 このカズヤの様子を、遠くから、3匹の何らかの四足歩行の野生の生物が、伺っていた・・・・。

 例の剣闘士と金髪で青眼の王女は、あの後、それぞれの馬に乗って、森の中を進んで行っていた・・・・。
王女「・・・・なんか・・・不気味な森だね・・・・」
剣闘士「・・・・確かに・・・・」
 このまま、しばらく前へ進んで行く・・・・。
王女「・・・・ねえ~、ルイスぅ~・・・・」
 剣闘士の名前は、『ルイス』らしい・・・・。王女は、不安気そうに、こんなセリフを吐いていた・・・・。
ルイス「!?何でしょう!!?」
王女「・・・・えっと・・・・」
 この後、少しの間、静かに静寂な時が流れていく・・・・。
王女「・・・・もしさぁ~・・・・!!」
ルイス「?もし??」
 この後も、少しの間、静寂な時が流れていく・・・・。
王女「もし!!私が!『黒い悪魔』に襲われても!・・・・ルイスなら・・・守ってくれるよね・・・・??」
 これを聞いて、剣闘士ルイスは、軽く一息ついて、この金髪王女を安心させるかのように微笑む・・・・。
ルイス「えぇ~!もちろんですよ!王女の身は、必ず守ります!私は、滅んだとはいえ、レアル王国に忠誠を誓った身・・・当然のことですよ」
 そう、この金髪王女は、滅んだ国の王女なのだ。こういう王女は、一般的に『亡国王女』と呼ばれる・・・・。
亡国王女「・・・・だよね・・・ゴメンね・・・いつも・・・頼りっぱなしで・・・・」
 この亡国王女は、本当に申し訳なさそうに、こう言った・・・・。
ルイス「王女が謝る必要なんてないですよ!!むしろ、もっと頼ってもらってもいい位です!」
 このように言われても、この亡国王女は、ルイスに申し訳ないって気持ちを捨て切れなかった・・・・。
亡国王女「・・・・ありがとう・・・本当に・・・・」
 こう言いながら、この亡国王女は、ルイスの発言を聞いての嬉しさと、力のない弱い自分自身に対しての悔しさが入り混じったような気持ちになり、涙を流していた・・・・。
ルイス「!王女!?どうかしたんですか!??」
亡国王女「・・・・だって・・・だって・・・・」
 こうして、亡国王女は、こんなセリフを呟くように吐きながら、更に涙を流していた・・・・。
亡国王女「だって!!父さんは!あんなに強かったのに!・・・・自分で戦えたのに・・・娘の私は・・・何もできてない・・・ただの足手まといにしか・・・なってない・・・・」
 これを聞いて、ルイスは、この亡国王女に優しく微笑みかける・・・・。
ルイス「その気持ちだけで十分です♪」
 これを聞いた後、亡国王女は、少し呆然とした後、自らの涙を右手でパッと拭う・・・・。
亡国王女「・・・・ありがとう・・・・」
ルイス「いいんですよ♪気にしなくて」
亡国王女「・・・・うん・・・・」
 こう言いながらも、亡国王女は、どこか悔しそうであった・・・・。こんな二人の様子を1人のグレア帝国の歩兵隊の兵士が隠れて、こっそり見ていた・・・・。
亡国王女(・・・・もっと・・・強くならないと・・・・)

 あの後、レイとの戦いのダメージがありすぎて、カズヤは、そのまま、立てないままでいた・・・・。
カズヤ「あぁ~!!!あの女!やってくれたぜ!!全く!!!立てやしねぇ~!!」
 こう言いながら、カズヤは、背中から地面に横になった・・・・。
カズヤ「・・・・『仲間』・・・『正義』・・・・」
 カズヤは、レイが口にしていた単語を口にしてみていた後、レイの『「・・・・でも・・・人間って汚いことする奴も多いけどね・・・みんながみんな、そんな人ばかりじゃないと思うよ・・・さっきも言ったと思うけど、人間だから悪いってこともないし、獣人だから、悪くないってこともないと思うけどね・・・・」、「悪い奴かどうかは、種族で判断できることじゃないって言いたかったんだけど・・・・♪」』ってセリフを思い出した後、250年前の、グレア帝国の兵士の「・・・・悪いな・・・妊婦であったとしても逃がすわけにはいかないんでね・・・・」ってセリフも思い出し、人間への憎しみの感情で、キッ!!と目つきが鋭くなる・・・・。
カズヤ「ざけんな!!!!人間共!!」
 だがっ同時にレイの「なぜなら、こんな一つの街で、人間を狩ってるだけで、革命の一つも起こさない・・・・」ってセリフも思い出す。
カズヤ「・・・・くそったれ・・・・!!」
 こうしている間にも、このカズヤの方に向かって、四速歩行の3匹の野生の生物は、少しずつ少しずつ、カズヤの方に向かって、ゆっくりとゆっくりと近付いて来ていた・・・・。
カズヤ「!?んっ!!?」
 ここで、カズヤは、この3匹の野生生物の気配に気付く・・・・。
カズヤ(・・・・このタイミングで・・・くそっ!・・・・)
 この後、カズヤは、この3匹の気配を自らの耳で、よく探ってみる・・・・。
カズヤ(・・・・この気配・・・こいつは・・・『レッサードラゴン』!!)

レッサードラゴン達「ガアアァァ~~!!!!」

 こんな雄叫びが聞こえてきた瞬間、この謎の四速歩行の3匹の野生の生物達は、一斉に、カズヤの方に向かって駆け出し、カズヤとの間合いを詰めて行く。その姿は、体長は、大人の人間と同じくらいで、表皮は緑色、羽根のないドラゴンというかトカゲというか、そんな感じの姿をしていた・・・・。
カズヤ(!!やはり!『レッサードラゴン』!!!)
 そう、このモンスターの正体は、『レッサードラゴン』、羽根がなく、空も飛べない下級のドラゴンで、比較的弱いドラゴンとされている・・・が、今のカズヤは、レイとの戦闘でのダメージが大きく、下級とは言え、とてもドラゴンなんかと戦える状態ではなかった・・・・。そんな中、この3匹の『レッサードラゴン』は走りながら、自らの口からカズヤに向かって、大きな火球を放った・・・・。
カズヤ「!!くそっ!!!!」
 こう言いながら、カズヤは、それらの火球を横に跳んで、かわすために、体を動かそうとするが、レイとの戦闘のダメージがデカ過ぎて体をうまく動かせないでいた・・・・。
カズヤ「くそっ!動け!!動けぇ~~!!!!」
ドォドォドォ~~~~ン!!!!

 ルイスと亡国王女は、深い森の中を進んでいた。すると・・・・。
ドォドォドォ~~~~ン!!!!
亡国王女「!?えっ!!?何!!??」
ルイス「あっちの方からです!!」
亡国王女「・・・・とにかく・・・行ってみましょ・・・・」
ルイス「・・・・ええっ・・・・」
 こうして、ルイスと亡国王女は、爆発があった方へと向かって行った・・・・。

 カズヤは、更に奥の方に吹っ飛ばされたカッコウになっていた。どうやら、『レッサードラゴン』の火球は、全て直撃してしまったようだ・・・・。
カズヤ「・・・・くそったれ!!・・・シャレにならねぇぞ!!!・・・マジで!!・・・・」
 こう言いながら、カズヤは、なんとか立ち上がろうとするが、自分の全身のダメージが、それを許さなかった・・・・。
レッサードラゴン達「グアアアアァァァァ~~!!!!」
 こうして、カズヤが立ち上がろうとしている間も、この3匹のレッサードラゴンは、吠えて威嚇しながら、カズヤとの距離を縮めていっていたのだが、カズヤは、立ち上がることができなかった・・・・。

 ルイスと亡国王女は、あのまま爆発した方に向かっていた。すると・・・・。
レッサードラゴン「グアアアアァァァァ~~!!!!」
 遠くから、こんなレッサードラゴンの咆哮が聞こえてきていた・・・・。
ルイス「!!近いです!急ぎましょう!!」
亡国王女「うん!!」
 こうして、ルイスと亡国王女は、急いでレッサードラゴンの咆哮が聞こえてきた方向に向かって行った・・・・。

レッサードラゴン達「グアアアアァァァァ~~!!!!」
 こうして、再び吠えた後、レッサードラゴン達は、自らの口をカズヤの方に向かって大きく開け、口にエネルギーを集め始める。どうやら火球を再び放とうとしているようである・・・・。
カズヤ「・・・・くそったれ・・・これが・・・俺の最後か・・・・」
 この後、この3匹のレッサードラゴンは再び、一斉にカズヤに向かって、火球を放つ。それに対して、カズヤは、壊れたように狂い笑う・・・・。
カズヤ「いいだろう!!これが俺の運命だと言うなら!例え地獄に行ったとしても!呪い殺してやるぜ!!特に!!!!人間共はなぁ~!!」
 こう言いながらも、カズヤは、狂ったように笑っていた。獣人語で叫んでいた為、例え、この周りに人がいたとしても意味不明であろうが・・・・。そして、この時には、カズヤは、死ぬ覚悟を決めていた・・・・その時!!このレッサードラゴンの火球とカズヤに割って入り、自らの剣で、それらの火球を切り裂いた者がいた。その者は、頑丈そうな鎧を身につけている、年齢的には30前後の筋肉隆々な男であった・・・そう、滅んだレアル王国の亡国王女と旅をしているルイスであ
った・・・・。
カズヤ「・・・・えっ・・・・!??」
 ルイスが剣で、カズヤを助けた、この目の前の光景を見て、カズヤは獣人語で、こうセリフをもらしていた・・・・(もっとも、この獣人語はルイスには聞こえてはおらず、聞こえたとしても意味不明であったであろう・・・・)。自分達の火球が切り裂かれた光景を見て、レッサードラゴンらも驚きを隠せず、少し怯み気味であったが、すぐに気持ちを切り替え、3匹同時に、カズヤを助けたルイスの方へ襲いかかってきた・・・・。
レッサードラゴン「グアアアアァァァァ~~!!!!」
 それに対して、ルイスは、その場で自らの剣を、両手で自分の後方に振る為に構える・・・・。
ルイス「うおおおおぉぉぉぉ~~!!!!」
 ルイスはこう全力で叫びながら、まだ、レッサードラゴンがルイスの剣の間合いに入る前に、力任せに全力で複数回スイングした。実は、この間合いでもルイスにとっては、攻撃の間合いなのだ・・・・。
レッサードラゴン「ぎゃああああぁぁぁぁ~~!!!!」
 ルイスの剣の間合いの外であるにも関わらず、レッサードラゴン達は、いつの間にか、剣・・・もしくは、剣以上に切れ味の鋭い刃物で複数回、斬られてしまったような状態になってしまっていた。レッサードラゴン達には何が起こって、こうなったのか分からずにいたが、ルイスの後方で、このルイスの様子を見ていたカズヤは、何が起こったのかハッキリと分かってしまっていた・・・・。
カズヤ(・・・・空気の刃による斬撃か・・・・)
 そう、このレッサードラゴン達は、ルイスの全力で剣をスイングしたことによって、発生した空気の刃による斬撃によってバラバラに切り裂かれたのであった。全力でスイングしたことによって発生した空気の刃による斬撃であるため、間合いが、離れすぎていると、さすがの空気の刃も届かなくなってしまうし、間合いが遠ければ遠いほど、斬撃も弱くなってしまうのである。要するに、力技なのであった・・・・。
カズヤ(・・・・さて・・・どうするかな・・・俺のこと『黒い悪魔』と恐れられてる獣人ってバレてるかな?・・・いやっ、バレてたら、こんな風に助けたりしねぇ~か・・・・)
 こうして、複数の空気の刃で、3匹のレッサードラゴン達を切り裂いた後ルイスは、自分が助けたカズヤの方に振り返り、カズヤが無事か確かめていた・・・・。
ルイス「大丈夫ですか!!?」
 こう言いながら、ルイスは、動けないカズヤの方に駆け寄っていた・・・・。
カズヤ(・・・・とりあえず・・・ここは、人間のフリをした方が、得策だな・・・・)
カズヤ「・・・・ええっ・・・まあ・・・・」
亡国王女「ルイスぅ~~!!!!」
 こう言いながら、亡国王女は、ルイスの方に駆け寄って行く・・・・。
ルイス「!王女!!」
カズヤ(!?んっ!!?王女??)
 そのまま、亡国王女は、ルイスの元にたどり着いた・・・・。
亡国王女「大丈夫ぅ~??ケガとかしてない?」
 それを聞いてルイスは、苦笑してしまう・・・・。
ルイス「えぇ~!!もちろんです!」
亡国王女「ドラゴンが相手だったのに、さすがルイス♪」
ルイス「いえいえ、亡き国王には、まだまだ遠く及びませんよ(苦笑)」
亡国王女「もう♪謙遜しちゃってぇ~♪♪」
 こう言いながら、亡国王女は、無邪気に笑顔を見せていた。それに対してルイスは、亡国王女の無邪気な笑顔に癒され、自然と笑みが、こぼれた・・・・。
カズヤ(・・・・亡き国王で、これだけ優秀な部下が一緒ってことは、おそらく、お忍びか、もう国が滅んでしまったか、城を追われたか、そのどれかだろうな・・・・)
 こんなことを考えてる間も、亡国王女とルイスは、こんな調子で会話していた。そして・・・・。
亡国王女「ねえ!!♪」
 急に、こう声をかけられてカズヤは、つい驚いてしまっていた・・・・。
カズヤ「・・・・なっ何でしょう・・・・?」
 こう言いながら、カズヤは、ギコちない感じで、苦笑いしてしまっていた・・・・。
亡国王女「ドラゴンに襲われてたんだよね!!?」
 これを聞いて、カズヤは、虚を突かれたような表情になってしまっていた・・・・。
カズヤ「?えっ!?」
 カズヤは、突然の質問すぎて、返答に困ってしまっていた・・・・。
亡国王女「!?んっ!??」
 この亡国王女は、何か不思議そうにカズヤの顔を覗き込むように見つめて、こう言った・・・・。
カズヤ(この大ダメージで、ただでさえ体が動かせないんだ、このままごく普通の人間のふりをして、体を休めた方が得策・・・・)
カズヤ「・・・・えぇ~、まあ・・・・」
 カズヤは、どこかギコちないながらも、こう返事した・・・・。
亡国王女「だよねぇ~!!こんな火傷だらけだし!」
 この火傷の大半が、レイの光属性の気功術によるものだが・・・・。
カズヤ「・・・・まっ、まあ~・・・そうッスね・・・・(苦笑)」
 こう言いながら、カズヤは、日本の若者のように軽くコクコクと頷いていた・・・・。
亡国王女「とにかく手当てしないと!!ルイスぅ~!まだ包帯あったっけ!?」
ルイス「!えっ!?包帯ですか??」
亡国王女「うん!ある!?」
ルイス「荷物確認してみます!!」
亡国王女「うん!!お願い!」
 こうして、ルイスは、自分達の荷物を確認し始めた。そのまま、しばらく包帯を探し続ける・・・・。
亡国王女「ところでさぁ~!!♪」
カズヤ「!?へっ!??」
亡国王女「?・・・・名前は・・・何って言うの・・・・??」
カズヤ「・・・・へっ??・・・あぁ~!!・・・名前ね♪・・・・」
亡国王女「うん♪うん♪♪」
 これを聞いてカズヤは再び、エリスの『私ね、もしも、このお腹の子が男の子だったらカズヤ、女の子だったらカスミって名前にしようと思うの』ってセリフを思い出す・・・・。
カズヤ(・・・・名前で嘘言ってもしょうがないよな・・・・)
亡国王女「ねえねえ♪何て名前なのぉ~♪♪?」
 亡国王女の発言の勢いで、カズヤは、つい、たじろいでしまう・・・・。
カズヤ「・・・・カズヤ・・・だけど・・・・」
亡国王女「カズヤかぁ~、なかなかカッコいい名前だね♪♪」
 こう言いながら、この亡国王女は、無邪気に笑っていた。この無邪気な笑顔に、カズヤは、見惚れてしまい、自分では認めないながらも癒されてしまう・・・・。
亡国王女「あっ!!私はミリア!♪」
 これを聞いて、ミリアの無邪気な笑顔に見惚れていたカズヤは、ハッと我にかえる・・・・。
カズヤ「あっ、ミリアって名前なんですね(汗)」
 カズヤは、焦ってこう言った・・・・。この後、ミリアは、無邪気で、得意気で、それでいて意地悪そうな笑みを見せる・・・・。
ミリア「上品な名前でしょう♪♪」
カズヤ「・・・・まっまあ・・・そんな感じ・・・ですね・・・・」
 これを聞いて、ミリアは、更に得意気な笑みを見せる・・・・。
ミリア「これでも元は王女だったんだよ♪」
 これを聞いて、カズヤは、少しは驚きながらも、何となく納得したような表情になっていた・・・・。
カズヤ「それでさっき王女って!!・・・・でも、元って・・・・」
 これを聞いて、ミリアは表情を曇らせてしまい、その後、ギコちない笑顔を見せる・・・・。
ミリア「・・・・私はレアル王国って国の王女だったんだけど・・・グレア帝国との戦争に負けてね・・・滅んでしまったの・・・・」
 これを聞いてカズヤは、ミリアに同情してしまっているものの、そのことを自分では決して認めようとはしなかった・・・・。
カズヤ「・・・・そう・・・だったのか・・・・」
 この後、カズヤは、このミリアに対する感情を振り払うかのように、激しく首を横に振る・・・・。
カズヤ(関係ない!!こいつも人間だ!気にする必要なんてない!!)
ミリア「?どうしたの??」
 ミリアは、不思議そうにこう質問した・・・・。
カズヤ「・・・・えっ・・・あぁ~!!何でもない!・・・・」
ミリア「・・・・そっ・・・ならいいんだけど・・・・」
 こんな感じで、カズヤは、この2人に、うまく獣人とバレないように人間のふりをしていた・・・・。
ルイス「王女!!包帯ありました!」
ミリア「分かったぁ~♪ありがとう!!ルイス!そのまま持って来てぇ~♪♪」
ルイス「分っかりましたぁ~!!」
 この後、ルイスは亡国王女であるミリアの言う通りに包帯をカズヤとミリアの所に持って来ていた。

 ここは、グレア帝国の首都であるミグラ、ここの城であるグレア帝国城内の、とある部屋。ここに歩兵隊の隊長であるライアドスがいて、いかにもって感じの威厳のある態度で、机に座っていた・・・・。

コンコンッ

 外から、この部屋のノックの音が聞こえてきた・・・・。
ライアドス「・・・・どうぞ・・・・」
 ライアドスは、威厳の漂う感じで、こう言った・・・・。
歩兵隊員①「ハッ!!」
 こう返事した後、歩兵隊の隊長であるライアドスの部屋に、先程ノックした歩兵隊員①が、ドアを開けて、この部屋に入ってくる・・・・。
ライアドス「・・・・どうした・・・・?」
 引き続き、ライアドスは、威厳たっぷりにこう言った・・・・。
歩兵隊員①「ハッ!レアル王国の亡国王女の件ですが・・・・」
ライアドス「・・・・見つけたか・・・・?」
歩兵隊員①「はいっ、ヴァレック付近の森で発見いたしました」
 これを聞いて、ライアドスは神妙な面持ちで、軽くため息をつく・・・・。
ライアドス「・・・・よし・・・さっそく、兵をそこへ向かわせてその2人を討ち取れ・・・・」
歩兵隊員①「はっ!!了解いたしました!」
 こう言った後、歩兵隊員①は、部屋を出た。この後しばらくして、ライアドスは、深くため息をついた・・・・。
ライアドス「・・・・ここまで徹底せねばならないのか?本当に・・・・」
 こんな、ライアドスの疑問に答えてくれる者は、誰もいなかった・・・・。

 一方、『黒い悪魔』・・・つまり、カズヤの襲撃にあったヴァレックの出入り口付近では、レーガンとならず者の中で、ただ1人だけ助かった奴(つまり、『ならず者⑥』。以下、『ならず者』)が、レイの帰りを待っていた・・・・。
ならず者「・・・・どう・・・なったんスかねぇ~・・・・」
レーガン「・・・・さあな・・・・」
 この後、少し間があく・・・・。
ならず者「・・・・あのバケモン・・・退治されましたかね・・・・?」
レーガン「・・・・さあな・・・・」
 この後も、少し間があく・・・・。
ならず者「・・・・あのバケモノが・・・死んでくれないと・・・・」
レーガン「?死んでくれないと??」
ならず者「・・・・死んでくれないと・・・・」
 この後、しばらく間があく・・・・。
ならず者「・・・・次は・・・我が身だ・・・・」
 これを聞いて、レーガンは一瞬、怪訝な表情になるが、そのまま、しばらくして、苦笑いしてしまう・・・・。
レーガン「そういうことなら、お前の場合どちらが生き残ったとしても、お前の命は危ないと思うぞ」
ならず者「?・・・・へっ・・・・??」
 ならず者は、虚を突かれたような表情で、こう言った・・・・。
ならず者「・・・・なっ・・・何で・・・・??」
 これを聞いて、レーガンは、少し楽しそうに、こう言った・・・・。
レーガン「あの女、正義感は半端じゃなく強いから、用心棒という名目で、この街で好き勝手やっていたお前達、ならず者を殺したがってると思うからな」
 こんな、レーガンの説明を聞いてるうちに、このならず者は、恐怖による冷や汗が、ジワジワとダラダラ流れ出す・・・・。
ならず者「それは!!ヤバすぎるぅ~!・・・・」
 こう言いながら、このならず者は、一目散に逃げて行っていた・・・・。
レーガン「死にたくなかったら!さっさと逃げるこった!!♪」
ならず者「そうさせてもらいやスぅ~~(汗)」
 こんな、ならず者の様子を見て、レーガンは、呆れたかのように深く、ため息をついた・・・・。
レーガン「・・・・まっ・・・所詮ならず者ってことか・・・んっ?・・・・」
 そのまま、街の出入り口の方を何気なく見ていると、レイが、街の外から歩いて帰って来ていた・・・・。
レーガン「・・・・手ぶらなようだが・・・奴は・・・・?」
 これに対して、レイは、首を横に振る・・・・。
レイ「・・・・追い詰めたけど、逃げられてしまったわ・・・・」
レーガン「・・・・そうか・・・・」
 この直後、レイは、レーガンの間合いに入るか入らないかぐらいの所で立ち止まる・・・・。
レイ「・・・・どうする・・・・?」
レーガン「・・・・決着か・・・・」
レイ「・・・・そう・・・・」
 この後、この二人の間には、ピリピリした緊張感が漂う・・・・。
レーガン「・・・・やめておこう・・・・」
レイ「!あら♪どうして♪?」
 これを聞いて、レーガンは、深くため息をつき、まるで、開き直ったかのような表情になる・・・・。
レーガン「・・・・俺とお前の実力差は明らかだし無意味だ・・・・」
レイ「?・・・・無意味・・・・??」
レーガン「・・・・ああ・・・・」
 こうして、レイとレーガンの間の緊張感が緩んでいく・・・・。
レーガン「・・・・お前は正義感が人一倍強かったし、俺は、あくまでもグレア帝国への復讐がしたいだけ、お前を殺っても意味がない・・・・」
 これを聞いて、レイは一瞬、虚を突かれたような表情になるが、相手のセリフの意味を理解し、ついっクスクスと笑ってしまっていた・・・・。
レイ「なるほどねぇ~~~~♪♪」
 こんなレイの様子を見て、レーガンは、苦笑いしてしまう。
レーガン「・・・・まっ!!そういうことだから!・・・・」
 こう言いながら、レーガンは、レイに向かって、自らの手を振りながら、ヴァレックの出入り口付近に向かって、歩き出した・・・・。この後、しばらく二人の間で、静寂な空気が漂っていた・・・・。
レイ「あのさぁ~!!♪」
 これを聞いて、レーガンは立ち止まる・・・・。
レーガン「・・・・何だ・・・・?」
 こう言いながら、レーガンは、レイの方に振り向く・・・・。
レイ「・・・・あなたに会えて・・・良かった・・・・」
 これを聞いて、レーガンは、不敵な笑みを浮かべる・・・・。
レーガン「こっちの方こそ・・・・」
 こう言いながら、徐々に徐々にレイの元から離れて行き、再びヴァレックの出入り口の方に向かって歩みを進めた・・・・。
レイ(・・・・私は、まだこの街を離れるわけにはいかない・・・・)
 こう思いながらもレイは、自分が、『次、会った時にも同じように街を襲ってたら、容赦しないよ』って発言していたのを思い出し、カズヤを意図的に逃がしたことも含めて、全ての責任を背負う覚悟であった・・・・。
レイ(・・・・ああは言ったけど、容赦なく斬り捨てるつもりはサラサラないけどね♪・・・・)
 この後、レイは、微笑みながら軽く、ため息をつく・・・・。
レイ(街の人々の安全が確保されるまで、何度でも追い返してやるわよぉ~~♪黒い悪魔さん♪♪)
 こんなレイの決意は、非常に堅かった・・・・。

 あの後、カズヤは、全身の火傷した所をミリアに包帯を巻いてもらい、しっかり手当てしてもらったようである・・・・。
ミリア「巻き終ぉ~わった♪」
カズヤ「ありがとうございます!!」
 こうしてカズヤは、人間のふりを続けていた。当然、この感謝の言葉も心の底からのものではない。赤ん坊の頃から一人で生き残るために手段を選ばなかったため、時には、このように人間のふりをすることも多々あった。その為、人間のふりなんてお手のものであった・・・・。
カズヤ(ダメージさえ無くなれば用済みだな・・・・)
ミリア「ところでさぁ~」
カズヤ「!?何でしょう!??」
ミリア「?どこに向かってんの??」
 これを聞いて、カズヤは虚を突かれたような表情になってしまう・・・・。
カズヤ「?・・・・へっ・・・・??」
ミリア「目的地だよぉ~♪」
カズヤ「・・・・えっ・・・あぁ~!!目的地ね!(・・・・やばいなぁ~・・・あの白服の女と鉢合わせになってしまうから、ヴァレックは避けたいところだなぁ~・・・・)」
ミリア「そうそう♪♪目的地♪目的地♪♪」
カズヤ「・・・・目的地は・・・『ミミアート』って街・・・です・・・・」
 『ミミアート』とは、この森の更に西の街である・・・・。
ミリア「あっ!♪そうなんだぁ~!♪♪実は私達も、そこへ向かってるんだ♪」


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