劇団誠〈せい〉と仲間たちの冒険

劇団誠〈せい〉の活動報告やその他のブログなどをアップしていくページです。

3月30日 公演やります!!!

2019年02月16日 01時44分19秒 | 劇団誠の冒険・あゆみ
次回公演のご案内
劇団誠〈せい〉×SODYダンススクール
Hot Pot Patty〜アクト&ダンス〜

劇団誠〈せい〉家族劇シリーズ
「すがたの見えない」作 穴迫信一 (ブルーエゴナク)ほか4本
SODYダンススクールステージ発表会2019

日時:2019年3月30日(土)
13:30開場 14:00開演

場所:ふくふくホール 福岡市市民福祉プラザ内
チケット 1000円




次回の公演はSODYダンススクールとの合同公演です。
劇団誠の目玉は今回の出演メンバーのためにブルーエゴナクの穴迫信一さんに依頼して書き下ろしてもらった「すがたの見えない」です。

今回のために集まったメンバーで当て書きしてもらったので再演のしようがない作品です。
これは見ていただきたいです。
このほかにも穴迫さんにもう一本、西南学院大学演劇部の岡部竜弥さんに一作、ミニオペラ作品、歌曲作品と劇団誠〈せい〉らしい短編をちりばめた短編をお送りします。

また、今回の公演をもって彩乃梨央と百之進は劇団誠〈せい〉を卒業とすることとなります。

劇団としての活動も来年度からは形を変えて行なっていくことになります。

現在の体制で行う最後公演、劇団始動から3年の経過点をぜひ見に来ていただきたいです。


日本劇作家大会 2019年 大分大会に行ってきました。 その2

2019年02月04日 11時55分03秒 | 劇団誠の冒険・あゆみ
その2では平田×大林対談以降の内容について受講順に記録をのこしておきます。

ラジオドラマシナリオ講座
講師の丸尾さんがインフルエンザのためテレビ電話での講義。
人の受講生それぞれに細かに指導してありました。
初日から三日間に渡る講座だったので、もう一度くらい様子を見るつもりでしたが、
それは叶わずさいしゅうびを迎えましした。
受講された方々みなさん、短編のラジオを書き上げたそうです。



開会式とオープニングアクト
子供神楽、タップダンス、チアリーディングの三本立て、
大会テーマ 「原点に帰る」と開会宣言。

カメラワークプレイWS
内容をきちんと確認せずに受講申し込みをしてしまったのですが、
弱虫ペダルなどの演出で有名な西田シャトナーさんによる、カメラが動いているような演出に対応する、またそうした創作手法の体験・解説の講座でした。

演技におけるカメラワークって書いてあったので映像における演技についてのwsと思ったら全く違っていました。
きちんと確認や準備をせずに臨んでしまうのは悪い癖だなと改めて思いました。

内容はとても楽しかったです、弱ペダでは自転車を漕いでいるような動きですが
走る動きとしてのワークでした。
前半は映画におけるカメラワークの歴史からはじまり、それをいかに演劇に着想していったかの解説。
まだまだ実験段階とのことで本来数日のワークでやるところを今回は一回、3時間の短縮でした。
しかし、受講者もみんな動ける人でどんどん次に進む事ができました。

カメラワークから新しい演出を考えてシャトナーさんは素敵ですが、
自分としてはもっと基礎的な、いかに体に負荷をかけず必死に走っているように見せるかというところから納得がいくパフォーマンスが出せなかったので、稽古場に持ち帰って考えたいなと思った事でした。


二日目
舞台美術WS 講師:土屋茂昭さん
少し見学だけさせてもらって他の催しに行くつもりが、がっつり四時間最後まで参加させていただきました。
前半一時間は座学で講師の方の舞台美術に対しての考え方を伺いました。

美術家はおしゃべりである。
空間、時間、人間 その間を貫くドラマ、
そのドラマに、よりそい包むのが舞台美術であるというところからスタート。

演出家や作家とどのように創作していったかの話を複数の実例や、写真を交えて解説してくださいました。

一行のト書きの意味や、一言のセリフから着想して舞台美術を捜索していく話はとても興味深かったです。

後半は「私にはこう見える大分」というタイトルでの作品作り。
段ボール箱サイズの造形作品の創作を行いました。

全4グループに別れれての創作を行いましたが4用の作品ができてとても良かったです。
創作をすると今度はプレゼンテーションです、それぞれのチームがどういう意図で作品を作ったかを語っていきます。

僕たちのグループが最初だったのですが、プレゼンを終えて最初に言われたがコメントが、「プレゼンに説得力がない、演出家を納得させるつもりでやりなさい」というものでした。

この一言で、講師がこれまでどう戦ってきたかが窺い知れますし、こんご創作する上で仲間をいかに納得させるか、といことを考えておかなければと思いました。

講義後にも、疑問をいろいろぶつける事ができました。

舞台美術、舞台装置、大道具、小道具、この辺りのものを一緒くたに考えてしまうところが自分にはあったので本講義は目から鱗でした。


岩松了講座 「演劇にもいろいろありましてIN 大分」

不条理演劇とは何かと考える二時間でした。
現代の演劇においてほぼ全ての作品が不条理と言える。
台詞の中で本当に信用できるものは「暑い」「寒い」といったもののみでしかなく、
それ以外の台詞は信用できない。
言葉とは、その話すことの内容の真実よりも、それを言わざるをえ得ない状況にフォーカスをあてることに面白みがある。
自分は本は書かない予定だけど、演出をしたり俳優をしたりする上でのヒントになるんじゃないかなと思いました。

あと、蛭子さんのエピソードがいくつか挟まったのだけど、とても面白かった。



リーディング 「長い女」
稽古場見学、途中を少しだけ見学しました。

少年王者館ダンス体験ワークショップ
無造作に選んだ言葉で動きをつくり、そこからダンスを作るというもの。
頭と体のトレーニングになるので劇団で持ち帰ってやってみます。
天蓋さんになぜ3拍なのか聞こうと思ったけど聞きそびれたのが残念。
着想した言葉がダンスのカンペとして成立してるのが面白かった。


こどもの冒険
角さん 言葉を使わないゲームから始めて子供達が乗ってきたら様々なゲームを入れる。子供達の好奇心と一体感をうまく使うやり方が素敵でした。
他二方の講師が交代で合計二時間の時間を過ごしました。
どれも子供達の好奇心をくすぐる内容だったと思います。
子育て、子供参加をテーマにした催しは他二本あったのですが、演劇を子育てに活用するとかそういうことについてもっと考えていきたいと思いました。


新人戯曲賞審査会
審査員 川村毅 坂手洋二 佃典彦 土田英生 永井愛 平田オリザ マキノノゾミ

全6作品の最終選考作品についての公開審査が行われました。
最優秀作品はピンク地底人3号さんの「鎖骨に天使が眠っている」でした。
今回の投票は審査員それぞれ2票づつを入れるものでしたが、
最初の審議で全審査員の手が上がりました。
僕も全作読んでは臨んだのですが、ここは予想通りの展開だったと思います。

審査員が話した内容はそれぞれ自分の読んだ感想とそんなに変わらないものでしたが、(未読の観覧者にわかるように話していたとは思いますが)
なかでも面白いフレーズや着眼点があったのでここに残しておきたいと思います。

あくたもくた について、台詞やキャラクターはとてもよく書けているが
ゴミ屋敷という設定が活かしきれていない。
私見ですが、戯曲として読み物のとしての感想、ここが本作のウィークポイントとしてあげられたのが面白かった

へたくそな字たち 昭和の定時制学校の話。資料をよく読んで書かれているが、それ以上のものが感じられない。
私も、何故今この作品なのかがわからず、昔みたようなものを読んだ感じでした。
しかし、永井さんが作中で、登場人物が字が読めるようになって、雨をみて漢字の雨を連想するシーンに言及され、読み書きができないということがどんなことかを考える上でこの作品はたいへん感動的であると語っていたのが印象的でした。

光の中で目をこらす 川村さんが「どうせケムにまくような作品なら、もっとシャープにケムに巻いてほしい」というコメントをされ、マキノさんがそこに食いつくという1場がありました。
「シャープにケムにまく」面白い表現で聞いていて良かったと思います。
また、、本作については平田さん作家がどうなりたいかによって、アドバイスやコメントは逆効果になる、この人の作家性は今の状態でとても面白い。
文筆で食うためのアドバイスは出来るがそれは、この作家性を殺すことになりかねないというような話をされたのも面白かったです。

焔 自動車会社の不正をあつかう本作で作品と少し離れたところででた議論が面白かったです。
本作は役名は全て苗字で書かれており、読んでいて誰が誰かわからなくある。
ジェンダーの問題もあるが、女性は名前で書いた方が親切ではないかという話になりました。たしかに僕も、本作を読むにあたって何度か配役表を見直しながら読んだ覚えがあります。
しかし、この議論に明快な答えを出した土田さんが秀逸でした。
「自分は戯曲を読むときは、役名の表と簡易の舞台装置を手元に置いておくのでこまらない」というものでした。
戯曲とは普通の読み物と違います。一流の作家でもそうしないとわからなくなるという前提で楽しむのが正解だなと思いました。

リタイアメン 多言語で書かれた戯曲で東南アジアでも上演されたという本作、言語やシーンが多岐にわたり戯曲としては読みにくという意見が出ましたが、関係者でもある坂手さんが本公演各地で評価が良かったことを語りました。

鎖骨に天使が眠っている ダントツの評価を得た本作ですが永井さんのコメントが印象的でした。
血生臭さは好きではないが、一貫して設定されている場面がブレない、それは作者の力であるとうものでした。


他にも手帳には色々残していますが、この辺りにとどめておきます。


スペシャルリーディング「痕跡」
生で田中真弓が見られたのが一番の感動でした。
公演としては本公演を一度見ていたのですが、特に前半の面白ポイント、テンポよく運んで欲しいところがト書き読みになってしまったのでウトウトしてしまいました。
しかし、中盤以降の展開は物語の強さにひきこまれました。
面白そうな裏番組を断念して本命に絞って良かったなと思いました。

レセプション
15年前の大会はオリザさんのサイン入り戯曲が当たったので期待していたのですが、今回は特に何も当たらず、知り合いや久しぶりの人とお話ができて良かったです。
帰り際、マキノさんと同じエレベーターに乗れたのが嬉しかったです

4日目
笈田ヨシ講演会
世界で活躍する老俳優の話を二時間聞きました。
最後の質疑に対しての答えで一番印象に残ったのが、
「ピーターブルックの作品に出るにはどうしたらよですか」
という問いに対して
「ピーターブルックの事務所に手紙を出す事です」
という答えをされた事です。

音響WS 講師:村尾貴庸
普段は数日かけて行うものを三時間で行ったのですごい早足でした。
高校放送部のころよくわからずに触っていたミキサーのメモリについて色々解説してもらった感じです。
グラフィックエコラザーについてもう少し詳しく聞きたかったなと思います。
講師の さんもどうせだったら4日間通しのWSで録音などについてもやりたかったと言ってあったのが面白かったです。
今回の大会でラジオドラマ作家がたくさん生まれたので、そこで集まって新しいものが産まれるんじゃないかと思います。



日本劇作家大会 2019年 大分大会に行ってきました。 その1

2019年02月04日 11時26分27秒 | 劇団誠の冒険・あゆみ
1月24日から27日に書けて大分市で行われた日本劇作家大会に行ってきた記録をここに残します。
劇団員の森洋一と元劇団員の鹿児島陽子をひきつれて大分に行って来ました。


日本劇作家大会 2019年大分大会に参加して

四日間、劇団の仲間とともに大分に宿をとり、受講できる限りのイベントに参加してきました。

最初に、井口は劇作家大会であるにもかかわらず、四日間の俳優講座を受けるつもりでおり、講師インフルのため急遽予定が空き、予約をほぼせずに行き当たりばったりで受講しまくったため、劇作家大会にもかかわらず、作劇のコースは一つも取っていないことを白状します。

しかし、その根底にあるのは本が書けるようになることよりもプレイヤーとして使える人間になりたいと言うのが根底にあったのではないかと思います。

ボビーさんに提示された課題図書「リアリズム演技」は感情記憶の使い方とか、磨き方、役作りのやり方や現場の挑み方など、大変勉強になる内容でした。

今後、劇団の稽古場で本を元に実践し、次回ワークショップがあれば是非参加したいと思います。
また、福岡近郊の関係者には是非ボビーさんを招いて欲しい旨伝えていくつもりです。




初日の参加内容
大林宣彦と語る
平田オリザさんと伯父にあたる映画監督の大林信彦監督との対談
ラジオドラマシナリオ講座① 〔後半の一部見学のみ〕
開会式
カメラワークプレイ

2日目
舞台美術WS
岩松了特別講座
リーディングフェスタ 〔中盤見学のみ〕
王者館ダンスWS

3日目
劇作家子育てルーム
小・中学生向けの体を使うワークの見学
新人戯曲賞審査会
スペシャルリーディング公演「痕跡」
レセプション

4日目
笈田ヨシ講演会
舞台音響WS
閉会式

予想以上に充実した4日間を過ごしてきました。

しかし、折角なので印象的なことや留めて置きたいことは記しておきたいと思います。


映画と演劇 大林宣彦と語る

大林監督の対談で気になったことをまとめた手記をみると
小津安二郎監督の言葉のメモがたくさん書いてありました。
どうでもいいことは流行に任せる
重大なことは道徳に任せる
芸術のことは自分に委ねる
戦地に戦意高揚映画を撮るために赴き、何も取らなかった話。

若い頃の小津監督はアメリカ映画が好きで、激しい映画を撮っていたが、
アメリカに同じことをしてもかなわい。日本がアメリカに勝てるの豆腐ぐらいだ
ということで豆腐のような映画を取るようになったと言う話

平田オリザ出生の秘密や、平田父とのエピソード
音の出ないピアノと戦争、戦後の親の愛、素敵面白トークが炸裂しました。

ワタナベハクセンという人の

戦争が 廊下の奥に 立っていた

という川柳についての考察、僕はこの詩を聞いたら、思い浮かぶのが
戦争は悪だと、気がついたら戦争の気配が身の回りに近づいているよ、
戦争の気配は排除しなければいけないよ。

というような意味だと思ったのですが、そういう話ではなく
戦時中、昨日まで普通に過ごしていた友人が翌日には爆撃で死んでいる
それが当たり前の時代に、人のいないはずの廊下の奥にその友人の霊?気配?
そういうものを感じるよ、という話だと言われました。

年明けに戦時の話をよくしてくれた老師なくなったばかりでその時のことを思い出しました。

戦争、戦争の気配というものをリアルに考えられる、戦時を生きた人の感覚は違う
もっと今の内にいろんな話を聞いておきたいし、残して欲しいと思いました。


ほかに心に残った最後のいくつかの質疑応答です。

大分の町おこしでおこなったイベントについての話
観光とは人を集めてよしとするものではなく、そこに住む人が誇りをもてることだ
そのためのイベントをしたい。
イベントのために木を切る、土を平すのではなく、その地形を生かすこと
沢山のイベントがあるので順番を整理するのではなく同時にやってもお互いが邪魔に思わないように、お互いが工夫して活かしあうこと。
お互いが邪魔に思うから戦争になるという考え。

男性は俳優、女性は女優とよばれることの気持ち悪さにたいして
世の中には、男、女、女優の三種類の人種がいる
女優というのは別の人物に化けるあやしさがあり、かつ独特のにおいがある。
化けない人はタレントさんであり、タレントにはタレントの良さがある。

また、元々俳優は男だけのものであり、女優という言葉は近年、女性が勝ち取った言葉でもある。

しかし、嫁という字は女は家をつなぐという意味であり、
ウーマンリブがさけばれようとも、その根底はなかなか揺らがない。

家族の話を撮ってきた小津安二郎の作品をよくみると、そういことにアンチテーゼをしめしているとも言われました。

この問題は、それこそ僕たちの世代に託された問題なんだなと思います。

監督の退場際に、大分でもう一度同じ映画を撮ってください!
と声をかけたおばあさんに、
「同じ映画はとりません。映画は、それを見るとき、あなたの、環境や思いがかわっていれば、何度見ても新しいものとしてみることができます。次はまた別の作品をとりましょう。」
そんなようなことを言ってあり、最高に痺れました。


もう一つ、今大会の最初の講演として素晴らしいと思ったのは
ジェンダー問題に宿題を残してくれた大林監督と、日本の劇団で最も子育てしながらの劇団活動を行なっている劇団、青年団との対談になっていたことではないでしょうか。

子供ができて、演劇ややりたい事を諦めなければならなくなる事がないような世の中を作りたい。
そんなメッセージを感じました。