劇団誠〈せい〉と仲間たちの冒険

劇団誠〈せい〉の活動報告やその他のブログなどをアップしていくページです。

稽古場日誌 6号 次回公演の暫定楽器達

2016年07月31日 20時10分17秒 | 劇団誠の冒険・あゆみ
7/29は楽器練習のため千早の練習室に集合しました。

使用楽器はピアノ・スプラッシュシンバル・クラッシュシンバル・トライアングル・クラベス・スネア・タム・ボンゴ・オーシャンドラム
現時点で以上の楽器を予定しています。
まだまだ調整中ですが、この楽器群並べて写すとなかなか。

公演のチケットは日曜日の夜を中心に徐々に動いてます。
日曜日夜予定の方は特に早めにご予約下さると幸いです!

稽古場日誌 5号 鍋山誕生日と不敬な我ら

2016年07月29日 00時56分56秒 | 劇団誠の冒険・あゆみ

今日はお昼から半日稽古。
家茂のきっかけの調整をしたあと

夜は鍋山と合流してエチュードと
戸川さんをお呼びして歌の稽古。
今日から新しい課題曲になりました。

写真はお誕生日の鍋山。

ブログタイトルは鍋山を高貴な方に見立てた即興エチュードを行いまして…ともかく動画アップしたら怒られそうなエチュードでして…
もしみたいという奇特な方がいれば井口捕まえて声かけてください。
だいたい10分くらいの長さです。

自主規制とかあんまりしたくないけど、
今回は主義も主張もないのでアップしません(^.^)

ともかく鍋山の誕生日でプチ盛り上がって締めくくりました☆

美女不在につき 1幕から2幕半ば

2016年07月27日 00時28分02秒 | 俺、森洋一の世界 ~森洋一作品集~
美女不在につき
                                 作 森 洋一
             登場人物
ミカ:17歳男 ジェファーソン:17歳男 フランキー:35歳男 チャーリー:25歳男
ジェリー:23歳男 ペリー:17歳男 ロレイン:17歳女




               第一場 (学校の屋上)
       ジェファーソンが一人落ち着きがなくうろうろしながら人を待っている




ジェファーソン:ミカのやつ・・・・遅えなぁ 何してやがるんだ まさか来ねぇつもりじゃねぇだ  
        ろうな?・・・・ま、それはそれで無理ないがな ま、そんときはまた別に作戦とやら 
        を考えなければいけないしな・・・・・・
         
        しばらくしてミカの登場 屋上に出てジェファーソンを見た瞬間ぱっとたち止まる
ジェファーソン:・・・・ミカ 来たか 
ミカ:おう!・・・俺だ  ジェファーソン 話ってなんだよ こんなところに呼び出して

        ジェファーソンがミカに近づこうとするとミカが少し警戒して後ずさりをする
ミカ:な!なんだよ
ジェファーソン:いや、ミカ なんつうかな 
ミカ:なんつうかなんだよ 
ジェファーソン:いや、なんつうか、かんつうか
ミカ:いいたいことあるなら早く言え

    ジェファーソンはまたミカに近づこうとする、ミカは服のうちポケットに隠している何かを出そうとする その瞬間、ジェファーソンは土下座を急にしだして(ミカの動作には全く気づいていない)
ジェファーソン:すいませんでしたーーーーーーーーーー

ミカ:・・・・・・何?(最大限の困惑と嫌悪の眼差しで)
ジェファーソン:いや、だからごめんなさいということだよ
ミカ:・・・・・・・だから何がだよ
ジェファーソン:そりゃー 朝あったときに挨拶代わりにミカの足を蹴飛ばしたり、掃除時間にほう
        きでお前をぶったり、はたまた机でおしつけたり、お前がさわったものを汚いか       
        ら拭けといったり、・・・もっともミカは絶対言う事聞かないがな、他にもミカの
        椅子をお前がいない間にひん曲げたり、コンドームに水いれたのをお前になげたり、
        ミカがウ○コしているときに、頭からクレンザーぶっかけたり・・
ミカ:ああわかったわかった もう言わなくてよろしい てか椅子ひんまげていたのはジェファーソ
   ンお前だったのかよ まったく で、なんなの
ジェファーソン:だから謝罪を
ミカ:・・・・なんか気持ち悪いな
ジェファーソン:人が謝ってるのに気持ち悪いってなんだよ
ミカ:・・・・いや胡散臭いんだよ ・・・何かたくらんでるのか
ジェファーソン:(顔を真っ赤にして手をふりながら)そんなわけないじゃん そんなわけないじゃん
ミカ:・・・・・だから本当になんなの?本当気持ち悪い
ジェファーソン:だから人が謝っているのに気持ち悪いってなんだよ ミカお前はそういう態度だか
        らいじめられるんだよ そりゃ確かにさ、椅子をミカがいない間にひん曲げたり、
        コンドームに水入れたのを投げたり、ウ○コしている時に頭から・・・・
ミカ:だからいちいちいじめた内容をいわなくていいんだよ
ジェファーソン:なんだと貴様!(こぶしをふりあげてミカの胸ぐらを掴む)俺を許さんとお前を許さんぞ!!
ミカ:おかしいだろうその論理!!ふー(息を吐いて)わかった、ジェファーソン、お前とりあえず
   俺に飯をおごれ
ジェファーソン:それでミカを許したことになるのか?
ミカ:今日おごっただけじゃ微妙だが・・・とりあえず奢れ そんな高いとこじゃなくていいから
ジェファーソン:おう いくぞ

 ジェファーソンはミカの腕を強引につかんでいこうとする ミカは一瞬ものすごい拒否反応と抵抗をしめすが害がないとわかると引っ張られるままに退場する

              第2場 フランキーのカフェ
         フランキーがカウンターにいる ミカとジェファーソンが入ってい来る
フランキー:なんだミカじゃないか それにジェファーソン君だっけ 君ら友達だったのか
ジェファーソン:もうフランキーさん 嫌じゃないですか、甥子さんのミカとは大大大大親友っていっ
        たじゃないですか
ミカ:なんだよジェファーソンうちの叔父さん知っていたのかよ てかなんだ親友て 別に俺らは
ジェファーソン:(ミカの言葉をさえぎって)いやーフランキーさん、とりあえずコーヒーでもくだ  
        さいよ いやコーヒーの種類はなんでもいいですから ミカは何を飲むかね
ミカ:(投げやりに)俺はもうコーラでいいよ
     ふたりは席につく しばらくの沈黙のうちまたまたジェファーソンがそわそわしだす
 コーヒーとコーラはまだ来ない
ミカ:何そわそわしているんだよ
ジェファーソン:いや初めての場所で落ち着かなくて
ミカ:嘘つけ!てめいフランキー叔父さんと知り合いだったろうが この店にきたことあるだろう
ジェファーソン:ところでさぁ ミカの家族はどんな感じなの 兄弟とか
ミカ:姉が一人いますけど何か?母親が違うからあまり似てないがな
ジェファーソン:(大きい声で)そういうことだったのか
             周りの客(エキストラ)が一斉に振り向く
ミカ:何がそういうことなんだよ
ジェファーソン:いやあまりにも似てないからって・・・・・は(口を押さえる)
ミカ:なんだそういうことかよ なんで気がつかなかったんだ お前姉のファンだな!今の態度でわ
   かった どうせうちの姉にお近づきしたいんで、とりあえず俺と仲良くなっとこうとかそういう魂胆
   だろ
ジェファーソン:なんで分かったの
ミカ:お前みたいな手合いは結構いるんだよ!
ジェファーソン:わかりやすかった
ミカ:むしろまわりくどいわ しかしそういうのがめんどくさくって姉の存在を隠していたのになん
   でわかったんだ?
ジェファーソン:知りたい?..

ブラック・ゴシック・ガール(1)

2016年07月25日 23時46分17秒 | ゴシゴシゴシック~鍋山和弥作品集~
           『ブラック・ゴシック・ガール』

~プロローグ~
 今から、2年前・・・・。ここは、『カコマーデ』という世界。この世界の中の農村である『エディーセン』の中の家の一つに両親と16歳の一人娘の住んでいる農家があった。彼女の名は、『マリア』。決して裕福ではなかったが、お姫様気分で様々なフリフリ系のロリータファッションが大好きな、ちょっと変わった女の子であった(農作業中は、普通の質素な服装であるが・・・・)。今は、質素な服装を着て、家族で農作業中であった・・・・。
マリア「今年も豊作だよねぇ~♪」
マリアの母親「そうねぇ~♪」
マリア「いやぁ~♪♪よかったねぇ~♪」
マリアの父親「まったくだ♪」
 こんな楽しい会話をしながら、この農家の家族三人は、農作業を続けていた・・・・。

 農作業を終えた後、マリアは母親に、新しく買ったピンクのフリフリのロリータ系の服装をお披露目した・・・・。
マリア「どう!?お母さん!似合うかなぁ~?かわいい??」
マリアの母親「うん、かわいい♪かわいい♪♪」
マリア「やっぱ♪♪そうよねぇ~♪」
マリアの母親「さすがマリアちゃんね♪♪」
マリア「いやいや♪私なんてまだまだだよぉ~♪♪」
マリアの母親「いいえ♪もう立派でかわいい服のセンスよ♪♪」
 これを聞いて、マリアは、とても恥ずかしそうにする。
マリア「もう!!♪恥ずかしいなぁ~♪♪」

~その日の夜~
 マリア親子3人は、既に寝間着に着替えていて、家族3人は、熟睡中であった、しかし、この3人の家の外(村の外の崖)では・・・・。
ならず者①「おぉ~っ!!ちょうどいい所に村が!」
ならず者②「まあまあ蓄えてそうだなぁ~♪」
ならず者③「略奪には丁度いい♪」
ならず者④「あぁ~♪確かに♪♪」
ならず者⑤「よぉ~し♪」
 こんな会話をしながら、ならず者共は、欲望たっぷりに笑っていた・・・・。
ならず者⑤「野郎共ぉ~!!!!久々の獲物だぁ~!!存分に暴れて!チリ一つ残すことなく!略奪するぞぉ~!!!」
ならず者共「おぉ~~~~っ!!!!」
 こうして、このならず者の集団は、マリア親子のいるこの村『エディーセン』へと駆け出して行った・・・・。

ならず者共「わああああぁぁぁぁ~~~~!!!!」
 このならず者共の雄叫びで、マリア親子3人は、ガバッ!と起き上がる・・・・。
マリアの父親「!!?何事だぁ~!!??」
マリアの母親「!?何なの!??」
マリア「何か!外が騒がしい!!」
 こう言いながら、マリアは外の様子を把握するため、外へのドアを開けて、外へ出る。すると・・・・。
マリア「・・・・これは・・・・」
 外の様子を見て、マリアは、愕然とし呆然となってしまっていた。なぜなら、ならず者達の略奪により、逃げ回る村人達が次々と、殺されていっている光景を目の当たりにしてしまっているからだった・・・・。
マリアの父親「!!マリア!!!!」
 マリアの様子を見て全てを察したマリアの父親は、即座にマリアの元へと駆け寄る・・・・。
マリアの父親「・・・・村がこんなことになってしまっては、もうこの村を捨てて逃げるしかない・・・・」
マリア「・・・・みんな・・・・」
 こう言いながら、マリアは腰を抜かす・・・・。
マリアの父親「!!マリア!!!!」
 マリアの腰を抜かした様子を見て、マリアの父親は、すかさずこう言ったが、マリアは腰を抜かしたままだった・・・・・。
マリア「・・・・みんな・・・気の良い人ばっかりだったのに・・・・」
マリアの父親「しっかりするんだ!マリア!!」
 目の前の残酷な現実の前に、マリアは悲しい気持ちになり、涙を流し始めた・・・・。
マリア「・・・・なんと・・・野蛮で・・・残酷な・・・・」
マリアの父親「マリア!!!!」
 これを聞いてマリアは、ハッ!と我に帰る・・・・。
マリアの父親「村を捨てて逃げるぞ!!」
 この後、ほんの少しの間、マリアは考え込むが、やはり結論は、一つしか無かった・・・・。
マリア「・・・・うん・・・・」
マリアの父親「お前もだ!!」
マリアの母親「・・・・分かってます・・・・」
 こうして、3人は共に我が家を出て、村の外に出ようと駆け出していった。だが、・・・・。
ならず者①「おいおい、つれねぇじゃねぇ~か♪」
 こう言われて、3人は、このならず者①の方に振り向く。そして、・・・・。
マリア「・・・・そんな・・・・」
 自らの周囲を見てみると、ならず者共に囲まれていた。この状況なためか、ならず者共は、嫌らしい笑みを浮かべていた・・・・。
マリアの父親「どうか!!お助けをぉ~!」
マリアの母親「お願いです!見逃してください!!」
 これを聞いて、ならず者達は、嫌らしい笑みを浮かべたまま、お互いの顔を見合わせ嫌らしく笑いながら涎を垂らす・・・・。
ならず者②「それはできねぇ~相談だなぁ~~♪」
マリアの母親「!!なぜです!!!?」
 これを聞いて、ならず者達は、再び互いの顔を見合わせた後、更に笑みを強める・・・・。
ならず者①「見な♪ここの村人が、今どうなってるか♪♪」
 こう言われて、マリア親子3人は、自分達の周囲の様子を見渡す。すると・・・・。
マリア親子3人「!!!??」
 自分達以外の村人の様子はというと、子供、老人、男は殺され、若い女は、ひたすらレイプされていて、性欲処理人形化されてしまっていた・・・・。
マリア「いやぁ~~~~!!!!」
 あまりの光景に、マリアは絶叫してしまっていた。そんな、マリア達の様子を見て、周囲のならず者共は、更に嫌らしい笑みを浮かべ、性欲を発揮して大興奮してしまっていた・・・・。
ならず者①「俺らのスローガンは!男は殺し!!女は犯し!!財産は全部奪う!!♪♪それ以外はねぇぜ♪」
ならず者②「そこの娘もうまそうだなぁ~♪」
ならず者③「はたして、どんな味がするかねぇ~♪」
 こんなこと言いながら、マリア達を取り囲んでいるならず者達は、舌舐めずりをしながら、徐々にマリア達との距離を詰めていく・・・・。
マリア「・・・・だっ・・・誰か・・・誰か!・・・たっ・・・助けて・・・助けてぇ~~~~!!!」
 こんなマリアの叫びを聞いて、このならず者共は、意地悪そうに、嫌らしく笑っていた・・・・。
ならず者①「無駄だぜぇ~♪♪助けなんか来やしねぇ~よ♪」
ならず者②「いいねぇ~♪♪その怯えた表情♪それだけでイっちまいそうだぜぇ~♪♪」
ならず者③「これこそ犯しがいがあるってもんだぜぇ~♪」
マリアの父親「やめろぉ~~!!!!娘に!!娘に!!!!手を出すなぁ~~!!!!」
 こう言いながら、マリアの父親は、娘を庇おうと娘を背にならず者達の前に立ちふさがる・・・がっしかし・・・・。

ザシュッ!!

 娘を庇ったため、マリアの父親は、ならず者①の手で斬り殺されてしまった・・・・。
マリア「!!お父さん!!!!」
マリアの母親「!!あなた!!!」
ならず者①「俺がヤリてぇ~って欲求出してんのに邪魔すんじゃねえよ!!!!」
 本気でこうキレている、このならず者①に恐怖を感じながらも、マリアは悔しさと悲しさが入り混じった気持ちになってしまい、呆然とする。こんな愛娘の様子を見て、マリアの母親は、娘と同じ気持ちになりながらも、そんな場合じゃないと自分に言い聞かせ、何とか自分自身の気を引き締める・・・・。
マリアの母親「マリア!気をしっかり!!」
 こんなマリアらの様子を見て、ならず者共は、ゲラゲラと下品に笑っていた・・・・。
マリア「・・・・いやっ・・・・」
 こう言いながら、マリアは、ショックで呆然としたまま、無表情で涙を流す・・・・。
マリアの母親「マリアぁ~~~~!!!!」
マリア「いやぁ~~~~!!!!」
ならず者①「うるせぇ~んだよ!!!!黙れ!!!!雌ブタ共!!!」
 こう言われて、マリアは全身の力が抜け、崩れるように、地面に膝をつく・・・・。
ならず者②「いいねいいねぇ~♪その絶望に満ちた顔♪♪ついつい興奮しちまうぜぇ~♪♪♪♪」
マリア「・・・・助けて・・・誰か・・・・」
 そのまま、周りにマリア達を取り囲んでいる、ならず者達は、下品で嫌らしく、性欲丸出しの様子で、少しずつ少しずつマリア達との距離を縮めていく・・・・。
ならず者①「いいぞぉ~~♪」
ならず者②「泣けぇ~♪喚けぇ~♪♪叫べぇ~♪♪♪」
ならず者③「そして怯えろぉ~~♪♪」
ならず者④「そうして恐怖に震えるんだぁ~~~~♪♪」
ならず者⑤「俺らを気持ち良くイかせてくれよぉ~~~~♪♪」
 この後、周りのならず者共は、一旦、互いに目配せをして後、全員で一斉に、マリアに襲いかかる。すると・・・・。

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

 次の瞬間、マリア達の周囲からマリアに襲いかかって来たならず者共は、一瞬にして、こいつらの身体は、細かくズタズタに切り裂かれていた・・・・。
マリアの母親「!?へっ!!?」
マリア「?・・・・えっ・・・・??」
 周囲を見渡すと、バラバラになったならず者達の肉片が大量に散らばっていた・・・・。
謎の男「お二人さん、大丈夫ですか?」
マリア「・・・・?えっ??・・・・」
 こう言いながら、マリアは顔を上げる。すると、そこには、西洋風の鎧を着た1人の騎士が堂々と立っていた・・・・。
マリア「・・・・?えっ??・・・あっ・・・あのぉ~・・・・」
 こう言われた後、この謎の騎士は、紳士的に片膝を付いて、目線をマリアと同じになるようにした・・・・。
謎の騎士「お怪我はありませんか?」
 この謎の騎士は、紳士的にこう言いながら、これまた紳士的に、マリアに向かって手を差し出す・・・・。
マリア「・・・・?えっ??・・・あっ・・・はい・・・・」
 あまりの突然の出来事に、マリアは、まだ信じられないような感じで、呆然としたまま、こう返事を返した・・・・。
謎の騎士「まあ、まずは怪我がなくて何より・・・・」
 こう言いながら、謎の騎士は、屈託のない大人のようで、無邪気で優しい笑みを見せていた・・・・。
謎の騎士「さあっ手を」
マリア「・・・・!!?えっ!?・・・あっ!はい!!・・・・」
 マリアは、こんな紳士的な態度の謎の騎士に対して、淡い恋心を抱きながらも目の前の出来事が、いい意味で信じられなさそうな気持ちであった。まるで夢の中にいるような気分で、謎の騎士の手を取った・・・・。
謎の騎士「・・・・しかし、僕が守れたのは君達だけ・・・・」
 これを聞いて、マリアはハッ!とし、周囲を見渡す。すると、ついさっきまで生きていたこの村の住人の死体だらけで、その中には残念ながら、ならず者共の性処理玩具化されていた若い女も含まれているのであった・・・・。
マリア「・・・・ひどい・・・・」
マリアの母親「・・・・そうね・・・・」
 こんな村の惨状を目の当たりにて、マリアもマリアの母親もまるで、悪夢を見ている気分で、何とも言えない悲しみに包まれていた・・・・。
謎の騎士「・・・・私がここに来た頃には、もうこんな惨状だった・・・・」
マリアの母親「・・・・そう・・・ですか・・・・」
謎の騎士「・・・・残念ながら・・・・」
 このまま何とも言えない気持ちで、静かに時が流れていく・・・・。
謎の騎士「・・・・すまない・・・・」
マリアの母親「!?えっ!!?」
謎の騎士「・・・・もっと・・・もっと早く!この村の異変に気付いていれば・・・・」
マリアの母親「!!あなたのせいではありませんよ!そんなことより、どこのどなたか存じ上げませんが、助けていただきありがとうございます・・・・」
  こう言いながら、マリアの母親は、本当に感謝を込めて、深々とお辞儀をした。
謎の騎士「!しかし!!」
マリア「・・・・いえっ・・・少なくとも・・・私は助かりました・・・それは、あなた様のおかげです・・・・」
 ここで、一旦間があく・・・・。
謎の騎士「・・・・そう言って貰えるだけでも私の心は救われる・・・ありがとう・・・・」
マリア「!!お礼を言うのはこちらの方です!!!!ありがとうございます!!」
 これを聞いて、謎の騎士は、強く申し訳ない気持ちを持ちながらも、心のどこかではホッ!した部分もあり、そんな自分を卑怯で情けないという気持ちも持ってしまっていた・・・・。
謎の騎士「・・・・この村の中で・・・生き残っているのは・・・おそらく・・・君達だけ・・・・」
マリアの母親「・・・・私も・・・そう思います・・・・」
マリア「・・・・一瞬にして・・・あの・・・平和で穏やかだった村が・・・・」
 3人共しみじみ、この惨状を嘆いていた。そして・・・・。
謎の騎士「・・・・ところで・・・君達・・・ここは・・・こんなことになってしまったが・・・・」
マリアの母親「・・・・そうですね・・・どこにも行くあてはないですが・・・まあ・・・どこの村でも、うまくやっていきますよ♪」
謎の騎士「・・・・やはり・・・そうか・・・・」
 この後、この謎の騎士は、しばらく考え込む、そして・・・・。
謎の騎士「・・・・お二方・・・・」
マリアの母親「!?・・・・はい・・・・??」
謎の騎士「私の所に来るつもりはないかね?」
 これを聞いて、マリアとその母親は、思いがけないセリフに驚き、お互いに顔を見合わせてしまう・・・・。
マリア「?・・・・へっ・・・・??」
マリアの母親「・・・・私達が・・・・??」
謎の騎士「うむっ!!」
 これを聞いて、2人は、少し戸惑いこの誘いに不安もあった・・・・。
マリアの母親「・・・・私達が・・・そちらにお世話になっても・・・大丈夫なんでしょうか・・・・?」
マリア「・・・・何と言いますか・・・お邪魔じゃありません?・・・・」
 これを聞いて、この謎の騎士は、キョトンッ!としてしまった後、大きく口を開けて、豪快に笑い飛ばしてしまっていた・・・・。
謎の騎士「何を遠慮することがある!!困った時はお互い様!遠慮なく来たまえよ!♪」
 こんな謎の騎士の発言を聞いて、マリアら2人は、信じられない思いで互いの顔を見合わせ、徐々に喜びが込み上げてきた・・・・。
マリア「ありがとうございます!!♪」
マリアの母親「何とお礼を言っていいか!!」
謎の騎士「いいのだよ♪仲間は大勢いた方が楽しいいからな♪♪」
 こう言いながら、またもや謎の騎士は、豪快に笑い飛ばしていた・・・・。

~2年後~
 ここは、王都『アテネス』と辺境の街『サザン』を繋ぐ崖に挟まれた道・・・・その道の真ん中を、服装は大きく変わってはいるものの相変わらずの可愛らしさと美しさで、黒いゴスロリ風のドレスと、腰には剣の中でも硬くて折れにくく、切れ味鋭い珍しい西洋風の黒い剣を下げているマリアが歩いていた。黒で統一された姿で、ますます、美しい姿に成長したマリアは、ふと立ち止まる・・・・。
マリア「・・・・ここで大体真ん中ぐらい・・・かな・・・・?」
 こう言いながら、マリアは、額の汗を拭う・・・・。
マリア「・・・・さてっと♪・・・・」
 こう言いながら、マリアは再び歩いて歩を進め始めた。そんなマリアの姿を両側の崖の上から見ている、ならず者の集団があった。こいつらは全員、嫌らしい笑みを浮かべていた・・・・。
ならず者①「いいねぇ~~♪」
ならず者②「かなりの上玉じゃねぇ~かぁ~♪♪」
ならず者③「うおおぉぉ~~♪興奮が抑えられないぜぇ~♪♪」
ならず者④「色白で、人形みたいなのもまた、いいねぇ~♪♪」
 ひそひそ話で、こんな会話が聞こえているわけではないものの、こんなならず者の気配を、マリアは既に感じ取っていた・・・・。
マリア「・・・・ザッと10人・・・ってとこか・・・・」
 こう言いながら、マリアは、心の中で深く、ため息をつき、自らの黒い剣に、手をかける・・・・。
ならず者⑤「・・・・やるぞ・・・・」
ならず者⑥「もちろん♪」
 この後、このならず者集団は、嫌らしく興奮しながら、マリアの方に向かって、崖を滑ってマリアの歩いている下の道まで、降りて行く。この気配を感じ、マリアは面倒くさそうに深くため息をついてしまっていた・・・・。
マリア「・・・・来た・・・か・・・・」
 こう言いながらマリアは、自らの黒い剣の鞘に手をかけ、いつでも剣を抜けるように、戦闘態勢に入る。こうして、マリアの周囲を嫌らしい笑みを浮かべながら、崖から降りて来たならず者共が、取り囲む・・・・。
ならず者①「やあやあ♪♪お嬢ちゃん♪どこ行くの♪♪?」
ならず者②「この道一人じゃ危ないよぉ~♪♪」
ならず者③「僕達のような♪危ない荒くれ者もいるからねぇ~♪♪」
 こんなことを言いながら、このならず者達は全員で、下品にゲラゲラと嫌らしささえも感じ取れるような感じで、大笑いしていた。だが、そんなならず者共の様子を見て、マリアはバカにした感じで、鼻で笑う・・・・。
ならず者①「・・・・何だぁ~・・・バカにしてんのか!!」
ならず者②「ムカつくなぁ~!!てめえぇ~!」
ならず者③「状況が理解できてないようだなぁ~!」
ならず者④「・・・・気に入らねぇ~・・・犯っちまおうぜぇ~~♪♪こいつぅ~~♪」
ならず者⑤「マジ賛成!!!!」
 こんなことを言いながら、このならず者共は、それぞれが手にしている、剣やら斧やら銃やらボーガンやら槍やら金属バット等を構える・・・・。こんなならず者共の様子を見ても、マリアは怯みも脅えもせず、むしろ鞘から自らの黒い剣をゆっくり抜き、利き手でその剣を構える・・・・。こうして、周囲のならず者達と黒いゴシック調のドレスを着て、黒い西洋風の剣を構えているマリアとの間に何とも言えない緊迫した緊張感が漂う。そのまましばらくして・・・・。
ならず者達「らあああああぁぁぁぁぁ!!!!」
 こんな叫び声と共に、このならず者共は、一斉に黒いゴスロリ風の服装のマリアに襲いかかる。こんな、ならず者共の様子を見て、マリアは不敵な笑みを浮かべつつも冷静に、それぞれの攻撃を武器に応じて、紙一重で柔軟に対応してかわしていき、無駄なく黒い剣で反撃して、このならず者共に斬撃を与えて、斬り殺してゆく。まるでダンスのようでもあり、シンクロナイズドスイミングのようでもあり、フィギュアスケートのようでもあり、バレリーナのようですらあるくらい、美しくすらあった。そして・・・・。

獣人カズヤ(1)

2016年07月25日 23時38分27秒 | ゴシゴシゴシック~鍋山和弥作品集~
               『獣人カズヤ』

~プロローグ~
 ここは、森の奥の方の、とある村・・・・。ここに住んでる人々・・・・実は、人間の姿をしているが人間ではない。彼らは自在に二足歩行の獣に近い姿に変身することができる、獣人と呼ばれる種族の生き物だ。寿命は平均で、だいたい700歳ぐらいで、エルフほどではないものの長かった。そのため、年の差婚は当たり前だった・・・・。中でも彼らは、変身すると全身が硬い皮膚で覆われる鎧型獣人と呼ばれる種族であった・・・・。通常、獣人同士なら普通に会話できるのだが、この会話も人間には、普通の獣と同じように『ヴァ~!!』とか『ガァ~!!』とかにしか聞こえない。そのため、人間達は、よく『モンスター退治』と称して、獣人狩りをしていた・・・・。そんな、人間同士でも、自分たちの国を造り、このワルコール大陸を統一するために人間の国同士で戦争していた。中でもグレア帝国が、一番領土を持っていた・・・・。そして、この獣人の村の真ん中の家にマッドと言う男の獣人とエリスと言う女の獣人が住んでいた。マッドは、この村のリーダーで、この村の中で最も強い獣人であった。2人は夫婦で、エリスは自分達、夫婦の子を妊娠していた・・・・。
エリス「ねえマッドぉ~♪」
マッド「何だい、エリス♪」
 マッドは、エリスに、そう言われて、こう言いながらエリスの方に振り向く。
エリス「お腹の中の赤ちゃんがね、元気いっぱい動いてるの♪」
 こう言いながら、エリスは、お腹をさすってみせる。
マッド「おぉ~、どれどれ♪」
 こう言いながら、マッドは、エリスのお腹に触れてみる。
マッド「おぉ~!!これはなかなかワンパクな子だなぁ~♪」
エリス「でしょう~!!♪」
マッド「うんうん♪」
 マッドもエリスもニコニコしながらこう言う。
エリス「マッド」
マッド「んっ!?」
エリス「私ね、もしも、このお腹の子が男の子だったらカズヤ、女の子だったらカスミって名前にしようと思うの」
マッド「カズヤかカスミかぁ~。どっちもいい名前だなぁ~♪」
エリス「でしょう~♪♪」
マッド「うん♪」
 この後、マッドは、エリスのお腹に耳を当ててみる。すると、赤ん坊が元気に動いているのが分かる・・・・。
マッド「このワンパクさは男の子だな♪うん♪」
 これを聞いてエリスはクスクス笑っている。
エリス「分からないわよ、大変おてんばな女の子かもしれないわよ♪♪」
マッド「いやぁ~、これは男の子だ♪俺には分かるぞぉ~♪♪」
 これを聞いて、エリスは更にクスクスと笑ってしまう。こんな平穏な日常の中、楽しく会話していると・・・・。

カン!カン!カン!カン!

 村の危機を知らせる鐘が鳴っていた・・・・。
マッド「!何だぁ~!?」
 この鐘の音を聞いてマッドとエリスは、あわてて外に出る・・・・。
マッド「何があった!?ジャック!!」
ジャック「この村に人間共が攻め込んで来やがった」
マッド「何だと!!」
エリス「どのくらいいるの!?」
ジャック「数えきれません!これじゃ多勢に無勢ですよ!!」
マッド「・・・・そうか・・・・」
 絶望感と共にマッドは、こう言った・・・・。そして、マッドは少しの間、考え込む・・・・。
マッド「とにかく!女、子供、老人、病人、怪我人を優先的に避難させるんだ!!残りの者も!とにかく急いで避難だ!!」
ジャック「!全員逃げるのか!?」
マッド「・・・・ああ・・・・」
ジャック「冗談じゃねぇ~!!俺は戦うぞ!」
獣人①「俺もだ!!」
獣人②「俺も俺も!!」
マッド「バカなこと言うなぁ~!!負けると分かってて無駄死にすることはない!!」
 この後、マッドの周囲の者が、しばらく考え込む・・・・。
ジャック「・・・・そうだな・・・この人数差じゃ勝ち目はないだろうからな・・・・」
獣人①「・・・・確かに・・・・」
獣人②「・・・・あぁ~・・・・」
 ジャックと他の獣人達は、マッドの話には納得しつつも悔しそうな表情になってしまう・・・・。
マッド「絶望して、ここで突っ立ってる場合じゃない!!早く!!みんなを!」
獣人①「・・・・あぁ~・・・・」
獣人②「・・・・分かった・・・・」
 この後、マッドの周囲にいた獣人達は、村の皆を避難させるためにそれぞれの方向に駆け出しって行った・・・・。
マッド「・・・・お前もだ・・・ジャック・・・・」
ジャック「・・・・あぁ~・・・・」
 この後、ジャックもマッドの言うことに従って、村の者を避難させるため駆け出して行った・・・・。
マッド「・・・・エリス・・・・」
 なかなか逃げようとしないエリスに、マッドはこう声をかける・・・・。
エリス「えっ!?何!!?と言うよりも逃げないの!!??」
マッド「・・・・もちろん逃げるさ・・・・」
エリス「嘘!!」
 この後、しばらく静寂な時間が流れて行く・・・・。
マッド「・・・・何言ってんだい、もちろん逃げるさ・・・・」
エリス「嘘よ!あなたは一人で戦う気だわ!!」
マッド「何でそう思う?」
エリス「分かるわよ!!そういう性格してるもの!どのくらい一緒に過ごしたと思ってるの!?」
 エリスにこう言われて、マッドは、つい圧倒されてしまい、タジタジしてしまう・・・・。しばらくして、マッドは、深くため息をつく・・・・。
マッド「・・・・確かに、その通りだよ・・・俺は一人で戦うつもりさ・・・・」
エリス「そんなのダメェ~!!!!」
 この後、しばらく間があく・・・・。
エリス「他の人には、ああ言っといて、あなたは!?この人数差じゃ無駄死にじゃなかったの!!??」
 この後、しばらくして、マッドは深くため息をつく・・・・。
マッド「俺は、この村のリーダーであり、この村で最も強い獣人だ。村人を守る責任がある・・・・」
エリス「何言ってんの?だからって、マッド一人で戦うことないじゃない!!」
 この後、しばらく静寂な時が流れて行く・・・・。
マッド「・・・・いやぁ~・・・まあ・・・だからな・・・そのぉ~・・・・」
エリス「逃げよぉ~マッド。一人で戦うことないよ・・・・」
 この後、マッドは考え込む・・・・。
マッド「・・・・いや・・・逃げるわけにはいかない・・・・」
エリス「!?どうして!!?」
マッド「俺が戦って、みんなが逃げるための時間を稼がないと・・・・」
エリス「何言ってるの!!?じゃあ、お腹の中のこの子はどうなるの!!??」
マッド「その子のためにもだよ!!」
エリス「・・・・えっ・・・・!?」
 この後、しばらく間があく・・・・。
マッド「君は妊娠中で変身できない、戦えない、速く走れない。君が逃げるための時間を作らないと、その子だって・・・・」
 そう、いくら獣人とは言っても妊娠中は獣人の姿に変身できないのだ・・・・。
エリス「!!あなた一人で戦った所で!そんな時間作れないわよ!!!」
ジャック「エリスの言う通りだぜ!!」
 ジャックのこんなセリフが聞こえて、マッドとエリスは、このセリフが聞こえた方向に振り向く。すると、そこにはジャックをはじめ、元気な獣人が大勢いた。この事にマッドもエリスも驚く・・・・。
マッド「・・・・お前達・・・・」
 この事にマッドは、呆然とするが、少ししてハッ!と我にかえる・・・・。
マッド「何やってんだ!!お前達!逃げろって言ったはずだぞ!!」
 これを聞いてジャック達は、互いに顔を見合わせ、そのまま笑顔になる・・・・。
獣人①「リーダーが一人で戦おうとしてるのに、自分達だけ逃げれるわけありませんよ」
獣人②「そうですよ!!」
獣人③「みんなで戦いましょう!!」
獣人④「仲間じゃないですか!!」
ジャック「・・・・だとよ・・・・」
 こんな村の仲間達のセリフを聞いて、マッドは、感激してしまう・・・・。
マッド「・・・・お前ら・・・・」
 この後、しばらく間があく・・・・。
マッド「・・・・お前らの覚悟は伝わった・・・・」
 この後、少ししてマッドは、自らの右手を力強く真上に挙げ、鎧型の獣人の姿になる・・・・。
マッド「共に戦おうぞ!!」
 残りの獣人達も自らの右手を挙げ、変身する。
残りの獣人達「おお~!!!!」
 こんな獣人達の様子を見て、エリスは感動のあまり涙を流す・・・・。
マッド「・・・・エリス・・・・」
エリス「・・・・分かってる・・・・」
 この後、エリスは自らの子供がいるお腹をさする・・・・。
エリス「この子を守らないといけないし、今の私じゃ足手まといだしね」
マッド「・・・・なんとか逃げのびてくれ・・・・」
エリス「・・・・うん・・・・」
マッド「・・・・その子を・・・頼んだぞ・・・・」
エリス「・・・・分かった・・・・」
 この後、マッドとエリスは、しばらく見つめ合っていた・・・・。
エリス「・・・・じゃあ・・・行くね・・・・」
マッド「・・・・ああ・・・・」
 この後、エリスは、生き延びるため、みんなが避難して行った方向へと去って行った・・・・。
エリス(さよなら!!マッド!!!)
 こうして、マッドらこの鎧型獣人の村の者は、ここに攻めて来ているグレア帝国の兵士達を正面から迎え撃とうとしていた・・・・。このまま、しばらくして、グレア帝国の兵士達の行進による足音が止む・・・・。
ジャック「・・・・来るぞ・・・・」
マッド「・・・・ああ・・・・」
 この後、しばらく間があく・・・・。
グレア帝国の兵士のリーダー「行けぇ~~~!!!!」
グレア帝国の兵士達「おぉ~~~!!!!」
 このかけ声と共に、グレア帝国の兵士達が、いっせいにこの村の獣人達に襲いかかって来る・・・・。
マッド「やるぞぉ~~~!!!!」
この村の鎧型獣人達「おぉ~~~!!!!」
 マッドらも変身後の大きな爪と鎧のような硬い皮膚の防御力を武器に応戦し、次々と殺していく。だが、マッドは、次のように思いながら、つい舌打ちしてしまっていた・・・・。
マッド(・・・・くそっ!!やはり人数差がありすぎる!・・・・)
 マッドの思っている通りで、いくら獣人が人間よりも超人的な身体能力を誇るとはいえ、グレア帝国の兵士達の数が多すぎた。獣人達よりグレア帝国軍は、約50倍の人数差であった。そして・・・・。
マッド「おい!!みんな!無事・・・・」
 当然ながら、応戦していた、この村の鎧型獣人達は、マッド以外は、全員倒れてしまっていた・・・・。
マッド「みんなぁ~~~!!!!」
 気付けばマッドは、圧倒的に大勢のグレア帝国の兵士に囲まれていた・・・・。
マッド「・・・・くっそ・・・・!!」
 それでも、完全に追い詰められたマッドは背水の陣の覚悟で、唯一硬い皮膚で覆われていない、全身の関節部分に剣を刺されながらも、無我夢中で、グレア帝国の兵士を自らの両手の爪で引き裂いていった。その姿は、追い詰められた弁慶を彷彿とさせる超人的な戦いぶりだった・・・だがっ!!
グサッ!!
マッド「・・・・!!」
 この、腹への一太刀で、マッドは、致命的なダメージを負い、口から血を吐き、同時に変身も解けてしまい、そして・・・・。
グサグサグサグサッ!!!!
 マッドの周囲にいたグレア帝国の兵士の内4人が同時に、変身が解けてしまい、完全に無防備になってしまったマッドに自らの剣を突き刺し、4人同時に剣を抜いた。それと同時に、マッドは、儚くも地面に倒れる・・・・。
マッド「・・・・エ・リ・ス・・・・」
 薄れいく意識の中で、マッドは、こう呟いた後、そのまま息絶えた・・・・。
グレア帝国の兵士①「・・・・追うぞ・・・・」
グレア帝国の兵士②「・・・・ああ・・・・」
 この後、この2人を含めたグレア帝国の兵士達は、森の方へ逃げて行った他の獣人達をしらみ潰しに探すため、この場を後にした・・・・。

 グレア帝国の兵士達から逃げるため、エリスは妊娠していながらも、森の中を全力で走り続けていた・・・・。
エリス(マッド達のガンバリを無駄にしちゃいけない!!どうにか逃げ切らないと・・・・)
 こう思いながら、エリスは死に物狂いで、全力で走り続けていた。だが!!・・・・。
グレア帝国の兵士③「!!いたぞおぉ~!!!」
 ついに、グレア帝国の兵士に見つかってしまった・・・・。
エリス「・・・・マッド・・・・」
 エリスは、泣きながら悲痛な思いで、こう呟いた。超人的な身体能力を誇る獣人だが、エリスの場合、妊娠しているため、どうしてもこの兵士達より速く走れなかった。そして、エリスは、人間の兵士達に追い付かれてしまう・・・・。
グレア帝国の兵士④「観念しな!!」
グレア帝国の兵士⑤「逃げ場はねぇぜ!!」
 この時エリスの周りには、10人くらいのグレア帝国の兵士が囲んでいて、全員、槍を構えていた・・・・。
エリス「・・・・あたし、妊娠してるんだし、どんなに時間が稼げたとしても、こうなるのは、当然ね!・・・・」
 こう言い終えるのとほぼ同時に、エリスは、悪あがきで、自分の目の前にいるグレア帝国の兵士に向かって体当たりを繰り出し、そのグレア帝国の兵士を吹っ飛ばした・・・・。
エリス(あきらめて!あっさりと!!すぐに降伏してしまう位なら!死ぬ最後の瞬間まで!しぶとく抵抗してみせる!!!!この子にためにも!!)
 それによって空いたスペースができ、エリスは再び、走って逃げようとする。だが・・・・。

ズブッ!!ズブッ!!

 その吹っ飛ばされたグレア帝国の兵士の両脇にいる、他のグレア帝国の兵士2人の2本の槍によって、ほぼ同時に、エリスの頭を貫通してしまった・・・・。
グレア帝国の兵士⑤「・・・・悪いな・・・妊婦であったとしても逃がすわけにはいかないんでね・・・・」
 この後、その2人のグレア帝国の兵士は、ほぼ同時に、2本の槍を引き抜いた。その後、エリスの体は崩れるように力なく倒れてしまった・・・・。
グレア帝国の兵士⑤「・・・・行こう・・・・」
グレア帝国の兵士④「・・・・ああ・・・そうだな・・・・」
 こうして、グレア帝国の兵士達は、この場をあとにした。エリスのお腹が振動したのにも気付かずに・・・・。

~あれから、250年後・・・・~
 この頃のグレア帝国は、250年前よりも領地を拡大していて、このワルコール大陸の中では、最も広い国であることに変わりはなかった・・・・。ここは、そんなグレア帝国領の中のとある道・・・・。この道を一台の馬車が進んでいた・・・・。
子供「ねえねえ、お父さん」
父親「!んっ!?何だい?」
子供「この人達はなぁ~に??」
 こう言いながら、子供は、自分の前に座っている3人の男の方を指差す・・・・。三人の男は、それぞれ剣、斧、トンファーを装備していた・・・・。
父親「あぁ~、この人達はねぇ~、私達を守ってくれる人なんだよぉ~~」
子供「?守るぅ~??何から??」
父親「んっ!?・・・あぁ~!・・・えっと・・・『黒い悪魔』って知ってるかい??」
子供「!?えっ!!?・・・う~ん・・・知らなぁ~い」
父親「そっかぁ~・・・う~ん・・・『黒い悪魔』っていうのはねぇ~・・・う~ん・・・どう説明したら良いんだろう・・・・」
 父親は、しばらく考え込む・・・・。
父親「『黒い悪魔』っていうのはねぇ~、この辺りに現れるようになった、謎の獣のことだよ」
子供「?・・・・謎の・・・獣・・・・??」
父親「そうだよ、獣のような唸り声をあげていたっていうこと以外、全てが謎に包まれている生物さ」
 こんな父親の発言を聞いて、子供は、考え込む・・・・。
子供「?つまり、具体的にどんな獣か分からないってこと??」
父親「・・・・まっ!そんな所だな!!・・・・」
子供「?じゃあ、何で『黒い悪魔』って呼ばれるようになったの??」
父親「!えっ!?・・・・あぁ~・・・う~ん・・・それはだなぁ~・・・・」
 父親は、返答に困って、しばらく考え込む・・・・。
父親「父さんも分からん♪」
子供「なにそれぇ~♪」
父親「分からんもんは分からん♪気付いたら、そう呼ばれてる獣がいたってだけってこと♪」
子供「ふ~ん」
 こうして、和やかに進んでいる馬車を鋭い目つきで上の崖から眺めている1人の男がいた。スポーツ刈りの髪型、中肉中背の体型、黒いタンクトップのシャツ、黒い長ズボン、黒いベルト、黒い運動靴、指が出ている黒の革のグローブ(手袋)といった感じである・・・・。
黒ずくめの男「ちょうどいい、腹減ってきた所だしな」
 獣人語で、こう言った後、この黒ずくめの男は、この馬車の方に向かってジャンプして跳び降りた・・・・。一方、この馬車の馬をひいている業者は・・・・。
馬車の業者「あぁ~~、いい天気だねぇ~~・・・!んっ!?」
 馬車の業者は、ふと上を見る。すると・・・・。

ズボッ!!

 黒ずくめの男が、この馬車の運転席に着地するのとほぼ同時に、黒ずくめの男の右手の突きが、この馬車の業者の胸を貫通していた・・・・。
馬車の業者「ぎゃあああああぁぁぁぁぁ!!!!」
剣の用心棒「!!何だ!!?」
 馬車の業者の絶叫を聞いて、父親と子供は、怯えきっていて、3人の用心棒は、素早く馬車を降りる・・・・。
剣の用心棒「おい!!一体何が・・・うっ!!・・・・」
 黒ずくめの男の右手が、馬車の業者の胸を貫いている、この光景を見て、3人の用心棒は、吐き気を覚える・・・・。
父親「どうしましたか?何があったんですか??」
斧の用心棒「!出てこないで下さい!!こいつは危険です!!」
トンファーの用心棒「我々に任せて下さい!!」
 こう言われて、父親は、降りようとしていた動きを止め、そのまま、少し考え込む・・・・。
父親「・・・・分かりました・・・先生方!!お願いします!」
 こう言いながら、父親は、元の自分のいた場所まで引っ込む・・・・。
剣の用心棒「おう!!任せな!」
 こう言った直後、3人の用心棒は、それぞれ剣、斧、トンファーを手に構える・・・・。
剣の用心棒「おい!!貴様!何者だ!?」
斧の用心棒「何の恨みがある!?」
トンファーの用心棒「名を名乗れ!!」
 これを聞いて、黒ずくめの男は、獣人語で、こう言った・・・・。
黒ずくめの男「・・・・死ね・・・・」
剣の用心棒「!!えっ!!?」
 獣人語のため、3人の用心棒には、獣が、静かに吠えてるようにしか聞こえなかったが、黒ずくめの男が、こう言った直後、右手で突き刺したままになっている馬車の業者の死体を右手を振って、剣の用心棒に向かって投げつける。しかし、剣の用心棒は、死体が自分に向かって飛んで来ることに驚きはしたものの、それには素早く反応し、自らの剣で、その死体を真っ二つに斬った。だが、・・・・。
剣の用心棒「!!!??」
 その死体に隠れて、全身を変身させた鎧型獣人が、自らの右手の爪で襲い掛かって来た・・・・。この事に気付き、剣の用心棒は舌打ちをする・・・・。
剣の用心棒「・・・・くそっ・・・・!!」
 こう言いながら、剣の用心棒は、後ろに跳び、間一髪、紙一重で、この鎧型獣人の右手の爪による攻撃をかわした・・・・。
剣の用心棒「?奴は!!?」
 こう言いながら、剣の用心棒は、馬車の方に視線を移す。だが、そこに黒ずくめの男の姿はなかった・・・・。
斧の用心棒「おい!!奴は、目の前だぞ!!」
剣の用心棒「!?何!!?」
 これを聞いて、剣の用心棒は、再び視線を自分に襲い掛かって来た鎧型獣人の方に向ける。その鎧型獣人は変身を解き人の姿になる所だった。すると、そこにいたのは、さっきの黒ずくめの男だった。そう、先ほどの黒ずくめの男の正体は、鎧型の獣人だったのだ・・・・。
剣の用心棒「!!こいつ!鎧型の獣人だったのか!!!」
トンファーの用心棒「・・・・そのようだな・・・・」
 こんなことを言いながら、3人の用心棒は、それぞれの武器を構えなおす・・・・。こうして、黒ずくめの男と3人の用心棒の間にジワリジワリと緊迫した空気が漂っていた。お互いに引かない構えだ。そして・・・・。
剣の用心棒(・・・・くそったれ!!!!・・・・)
 剣の用心棒は、こんなことを思いながら、舌打ちをし、急速に、黒ずくめの男の鎧型獣人との間合いをつめ、剣の用心棒から見て右斜め上から左斜め下に向かって剣を振り下ろす。だが、この鎧型獣人は、自らの左手だけを変身させて、硬い皮膚で包まれている、その左手をこの獣人から見て、右斜め下から左斜め上に、振り上げる。すると・・・・。

バキ~~ン!!!!

剣の用心棒「!!?何っ!!!?」
 その硬い皮膚に覆われた左手のによって、剣の用心棒の剣は、真っ二つに折れてしまっていた・・・・。
剣の用心棒「・・・・バッ・・・バカな・・・・!!」
 この後、この鎧型の獣人は、剣の用心棒の剣を真っ二つに折った、その左手を剣の用心棒に向かって振り下ろし、そのままその爪で、剣の用心棒の体を引き裂いた・・・・。
斧の用心棒「・・・・一部分だけ変身だと・・・・」
トンファーの用心棒「・・・・しかも・・・いくら鎧型とはいえ・・・剣で傷1つできないとは・・・・」
父親「・・・・くっ黒い・・・悪魔・・・・」
子供「お父さん!恐いよぉ~!!」
 この後、この鎧型の獣人は、左手の変身を解き、ゆっくりと一歩ずつ、この2人の用心棒との距離をつめていく・・・・。
斧の用心棒「・・・・こいつ・・・普通の獣人じゃないな・・・・」
トンファーの用心棒「・・・・そのようだな・・・・」
 こんな事を言いながら、この2人の用心棒は、それぞれの武器を構えなおす・・・・。
斧の用心棒「・・・・どうする・・・・?」
トンファーの用心棒「・・・・確かに・・・奴の皮膚は硬い・・・だが・・・・」
斧の用心棒「・・・・だが??・・・・」
トンファーの用心棒「・・・・変身前の姿は人間そのものだし、変身後にしても関節部分を狙えば・・・・」
斧の用心棒「・・・・攻略法は、どの鎧型獣人も同じってわけか・・・・」
トンファーの用心棒「・・・・そういうこと・・・・!!」
 この2人の用心棒は、この鎧型の獣人が、一歩ずつ一歩ずつ、自分達に近付いて来るプレッシャーを感じながら、冷や汗をかき、それでいて、相手から目を逸らさず、スキを見つけようとしていた。そのまましばらくして、黒い服着ている人間の姿のままの鎧型獣人の男は、ある程度の距離の所でピタッ!と自らの足を止める・・・・。
トンファーの用心棒「!!今だ!!!」
 トンファーの用心棒のこの合図と共に自分達2人は、急激に間合いを詰め、それぞれトンファーの用心棒は右から、斧の用心棒は左から同時に自らの武器で襲い掛かる。だが、この鎧型獣人は、自分から見て、右側の斧の用心棒の斧を紙一重で、左側に避けながら、左側のトンファーの用心棒の右手のトンファーを変身もせずに左手の掌で掴む。
斧の用心棒「!?なっ!!?」
トンファーの用心棒「!!?バカな!!??」
 こんなセリフがこぼれることもお構いなしに、人間の姿の黒ずくめの男は、その掴んだトンファーごとトンファーの用心棒を強引に引き寄せながら、余っている右手の突きで、心臓のついているトンファーの用心棒の左胸を貫く。
トンファーの用心棒「ガハッ!!」
 その瞬間、トンファーの用心棒は、口から血を吐き、そのまま息絶えてしまった。それを確認して、黒ずくめの男は、右手を素早く引き抜く・・・・。
斧の用心棒「やろぉ~~~~!!!!」
 こう言いながら、斧の用心棒は、自らが持っている斧を今度は、右側から振りかぶる。それに対して、黒ずくめの男は、自らの右手を固い殻で覆われた、獣のような手に変身させ、その右手で拳を作り、向かってくる斧に対して、その変身させた右手の拳の右ストレートにより斧の用心棒の斧を粉砕する・・・・。
斧の用心棒「!?何!!?」
 この後、黒ずくめの男は、そのまま変身させた自らの右手の爪で、斧の用心棒の体を引き裂いた・・・・。
父親「・・・・そんな・・・バカな・・・・」
子供「父ちゃん!!怖いよう!!」
 こんな残虐な光景を見て、この親子は完全に怯えきっていた。この後、黒ずくめの男は、この親子がいる後ろの馬車の方に振り向きながら、全身を鎧型獣人の姿に変身させ、一歩ずつ一歩ずつ馬車の方に近付いていく・・・・。
父親「くっ来るなぁ~!!!!」
 こう言いながら、父親は、馬車の中からライフルを取り出し、この化け物のような鎧型獣人に向かって、発砲し始めた。何発も何発も・・・・。だが、この化け物じみた鎧型獣人には、皮膚に傷一つ付けることができなかった。むしろ、そんなライフルなどお構いなしに、鎧型獣人は、一歩ずつ一歩ずつ馬車の方に近付いていっていた・・・・。そうして、そのまま発砲し続けていると・・・・。

カチッ!カチッ!

父親「えっ!?えっ!??」
 そうして撃ち続けた結果、ついに、ライフルは弾切れの状態になってしまった・・・・。
父親「・・・・そっそんな・・・・」
 父親は、あまりの恐怖に、顔が青ざめてしまっていた。こんなこともお構いなしに、この鎧型獣人は不気味に一歩ずつ一歩ずつこっちに近付いて来る。そして、この鎧型獣人は、馬車の方に向かって、自らの正面にジャンプして、変身後の自らの右手の拳で、強力なパンチを放ち、この馬車の入口と屋根を吹き飛ばし、下半分だけ残った馬車の上に着地する・・・・。
父親「・・・・くっ黒い・・・黒い悪魔ぁ~~~!!!!」
子供「怖いよぉ~~~!!!誰か助けてぇ~~!!!!」
 だが無情にも、この親子は、この鎧型の獣人の両手の爪によって無惨にも引き裂かれてしまった・・・・。そして、この鎧型の獣人は、少しして、自らの変身を解き、黒ずくめの男の姿になり、しばらく、この親子の自らの爪で引き裂いた死体を見つめた後、この親子の肉片を食べ始めた・・・・。

 ここは、ヴァレックという街・・・・。この街は、荒廃しきっていた。建物の外には、強面の用心棒やらならず者やらハンターやら賞金稼ぎやらが我が物顔で歩いていて、お世辞にも平和で和やかな街とは言いがたく、むしろ、この強面の男達に人々は頭が上がらずにいる様子であった。もはや、この強面の男達に支配されているも同然だとも言える様子だった・・・・。こんな街の中をこの荒廃しきった街、ヴァレックには似つかわしくない1人の少女が歩いていた。年齢は16歳。胸は貧乳気味で(それでも、それなりに大きい)、肩に掛かるか掛からないかぐらいの長さの黒髪に、白いTシャツ、白いホットパンツに太めの白いベルト、白いブーツ、指なしの白い革のグローブ(手袋)、左側の腰には、ベルトに挟んで、剣が差してあり、その鞘にはローマ字で『REI』と彫ってあった。これが彼女の名前である。
レイ「・・・・ちょっと・・・これは・・・・」
 こう言いながら、レイは、その場に立ち尽くしている・・・・。
レイ「・・・・ヒドい・・・これじゃぁ~、『黒い悪魔』と『ならず者』・・・どっちに怯えてるのか分からないね・・・・」
 このまま、レイは、しばらくその場に立ち尽くしながら考え込む・・・・。
レイ「・・・・とりあえず、『黒い悪魔』に関する情報を集めないと・・・っね♪・・・・」
 この後、レイは、近くの酒場に入ってみた。だが、店内もこんな『ならず者』がやりたい放題だった。ある者達は、この街の者と思われる女を裸にして、セックスしていて、ある者達は、大酒を食らい、そのまたある者達は、ホントだか嘘だか分からない武勇伝を自慢げに語りバカ騒ぎをしていた・・・・。
ならず者①「!おっ!!」
ならず者②「何だ何だぁ~!?」
ならず者③「女だ!!女!しかも剣を携帯してやがる」
ならず者④「んっ??・・・・おっ!!マジだ!!!マジ!!」
ならず者⑤「しかも!!けっこう上玉だぜぇ~♪」
 こんな『ならず者』達の我が物顔な様子、態度、反応を見て、レイは深くため息をついた・・・・。
レイ(・・・・グレア帝国軍の兵士共にしろ、この我が物顔で居座っているならず者にしろ、考えることはいっしょね・・・・)
 こう思いレイは、更に深いため息をついた・・・・。
レイ「・・・・弱肉強食・・・か・・・・」
ならず者①「んっ!?何言ってんだい?お嬢ちゃん♪」
 こう言いながら、このならず者①は、嫌らしい笑みを浮かべ、歩いてレイの方に近づいて来た。こうして、馴れ馴れしく自分に近づいて来たならず者①をレイは睨んでいた・・・・。
ならず者①「そう睨むなよぉ~♪せっかく俺様が、仲良くしようぜって言ってんだからよぉ~♪」
 これを聞いて、レイは、怪訝な表情になりながら、こう言った・・・・。
レイ「仲良くぅ~?」
ならず者①「そうさ!!仲良くさ!!」
レイ「何言っての!?そんなつもりないし!!」
ならず者①「あれぇ~!そんなこと言っていいのかなぁ~!?」
 これを聞いて、レイは、更に怪訝な顔をする・・・・。
レイ「何!?あんたと仲悪かったら!何かあんの!!」
 これを聞いて、ならず者①は、一瞬、言葉を失うが、そのまましばらくして、大笑いをし始める・・・・。
ならず者①「知らねぇ~のか!?」
レイ「何を!?」
 これを聞いてしばらくして、ならず者①は、ニヤニヤと笑いながら、こう言った。
ならず者①「いいかい?お嬢ちゃん。この街にはな、『黒い悪魔』と呼ばれている、獣だか化け物だか何かの、正体不明なものが現れるんだよ・・・・」
レイ「・・・・知ってる・・・・」
 これを聞いて、ならず者達はビックリしてしまう・・・・。
ならず者①「・・・・へっ・・・・!?」
 この後、レイは、ここにいるならず者達を軽蔑しきった感じの表情を見せながら、こう続けた・・・・。
レイ「私が、この街に来た理由も、その『黒い悪魔』を狩るためだしね」
 これを聞いて、この店の中にいる者は、驚きを隠せず、誰もがみんな自分の耳を疑った・・・・。
店のバーテンダー「!?・・・・あんた・・・奴を狩るつもりなのかい・・・・??」
 これを聞いて、レイは、このバーテンダーの所に振り向き、自信たっぷりな笑みでこう言い放った・・・・。
レイ「もちろん♪任せて♪♪」
店のバーテンダー「!!やめた方がいいですよ!!!殺されてしまう!!!!」
 これを聞いて、レイは、少し虚を突かれたような表情を見せた後、無邪気にケラケラと笑ってみせる・・・・。
レイ「大丈夫♪♪心配いらないから♪」
店のバーテンダー「・・・・あんた・・・何言ってんだ・・・・?」
ならず者①「マスターの言う通りだと思うぜぇ~♪」
ならず者②「悪いこと言わねぇ~♪やめときなって♪♪」
ならず者③「そうだぜ!君のような女の子が行ったって、ただの犬死にだぜ♪」
 ならず者②と③もレイの方に近付いて来た。三人とも気持ち悪い笑顔で、こんなセリフをはいていた・・・・。こんな三人のならず者に対してレイは、冷たい視線を送る・・・・。
ならず者①「まっ!!俺らがいれば!守ってやらんこともねぇがな!!♪」
ならず者②「本来は、ボディガード料でも払って頂きたいんだがなぁ~♪」
ならず者③「金に関しては、まけとくぜ♪」
ならず者①「その代わり、体で払ってくれよぉ~♪」
ならず者②「我々のファミリー達にな♪」
ならず者③「この店の中の奴らにだけじゃなく、他の奴らのもな♪」
 これを聞いて、レイは、深くため息をつき、呆れ果てていた・・・・。
レイ「あなた達が守ってくれるですって??」
 レイは、かなりバカにした感じで、こう言った・・・・。
ならず者①「?何だぁ~?バカにしてんのかぁ~??」
 このならず者のセリフを聞いて、レイは、かなり小バカにしたような感じで得意気な笑みを見せる・・・・。
レイ「?そんなに強いなら、なんで『黒い悪魔』を狩りに行かないのかしら??」
 これを聞いて、この店のならず者達は、こめかみをピクピクさせる。
ならず者①「・・・・今、何か言ったか・・・・?」
 これを聞いて、レイは、小悪魔的な笑みで、こう言い放った・・・・。
レイ「自分達で狩りにも行かず、こんな所で、威張り散らすことしか脳の無い腰抜けに、守ってもらわなくたって大丈夫だから御心配なくって言ったつもりだけど♪」
店のバーテンダー「!!ちょっと!あんた!!マズいよ!」
 こんなレイのセリフを聞いて、ならず者達の怒りが頂点に達する・・・・。
ならず者①「・・・・ナメんじゃねぇ~ぞぉ~、このクソあまぁ~!!」
 ならず者①は、こう言ったのと同時に背中の大剣を抜き、レイに襲い掛かる。だが、レイも素早く剣を抜き、剣を抜いた居合いの勢いで、ならず者①の大剣をたたき折った・・・・。
ならず者①「!?なっ!!?」
 この直後、レイは、自らの剣をならず者①の心臓に突き刺した・・・・。
ならず者①「・・・・ガハッ・・・・!!」
 この後、レイは、ならず者①の心臓に突き刺さっている自らの剣を引き抜く。すると、ならず者①の体は、ゆっくりを前方に倒れた。他のならず者達は、この事に驚きを隠せなかった。
レイ「さて、他にこんな風に死にたい人は、いるかなぁ~♪」
 このレイのセリフを聞いて、他のならず者達は戦慄する・・・・。
ならず者⑥「なっ何ビビってんだ!!おっお前ら!」
 これを聞いて、店の中がザワつき始める・・・・。
ならず者④「見たか、さっきの・・・・」
ならず者⑤「あの細身で、剣が真っ二つだぜ・・・・」
ならず者②「・・・・くっ口だけってわけじゃ・・・なさそうだ・・・・」
ならず者③「・・・・あぁ~・・・・」
 ならず者達は、実際ビビっていた・・・しかし・・・・。
ならず者⑥「ビビるんじゃねぇ~!!!!相手は女1人だぞ!!」
 これを聞いて、ならず者達は、ならず者⑥に怯えながらならず者⑥とレイを見比べて、レイの方が弱いと判断する。そして各々、大剣を手にレイの方に構える・・・・。
レイ「なるほどねぇ~♪私もずいぶん下に見られたものねぇ~♪♪」
 レイは、嫌みったらしく笑みを浮かべながら、こう言った・・・・。
レイ「まっ、こんな悪党もどきの連中を生かしておくつもりもないけどね♪」
 こう言いながら、レイは、右手で、このならず者連中に向かって構える・・・・。これを聞いて、ならず者⑥は、肩をブルブル震わせて、怒りを露にする・・・・。
ならず者⑥「やっちまえ~!!!!」
他のならず者達「おおおおぉぉぉぉ~~~!!!!」
 こうして、ならず者⑥以外のならず者達は、全員レイに襲い掛かってきた・・・・。
レイ「悪党のやりそうなことね♪」
 こんなセリフを吐きながら、レイは、自分に襲い掛かってくるならず者どもを次から次へと斬り捨てていく。そして・・・・。
レイ「数にものを言わせるんなんて♪♪」
 レイは、ならず者⑥以外のならず者達は、みんな斬り捨てられた状態になって、こんなセリフを吐き出した・・・・。
ならず者⑥「まっ!待て!話せば分かる!!話せば!」
 こんな、ならず者⑥のセリフは無視して、レイは、一歩ずつ一歩ずつ、ならず者⑥の方に近付いていく・・・・。
ならず者⑥「・・・・たっ・・・助けてくれぇ~!!!!」
 ならず者⑥の、このセリフを言い終えたぐらいの所で、レイは、ならず者⑥の目の前で立ち止まり、自らの剣を真上に振り上げる・・・・。
レイ「い~やっ♪」
ならず者⑥「やめてくれぇ~~~~!!!!」
 そのままレイは、真上に振り上げていた自らの剣を、ならず者⑥に向かって素早く振り下ろし、ならず者⑥を斬殺した・・・・。
レイ「あんた達みたいなのが、一番嫌いなのよ」
 ならず者⑥を斬り殺した後、レイは、冷たくこう言い放っていた。この後、レイは、しばらく、その場に立ち尽くしている・・・・。こんな感じの様子を店のバーテンダーは、ビックリしながらも嬉しそうに眺めていた・・・・。
店のバーテンダー「・・・・たっ確かに・・・・」
レイ「!?えっ!!?」
 後ろから、こんな店のバーテンダーのつぶやきを聞いて、レイは、こう言いながら、後ろに振り返る・・・・。
店のバーテンダー「確かに!!!!あんたなら!!『黒い悪魔』を退治できるかもしれない!」
 こう言われて、レイは、照れてしまう。
レイ「そりゃどうもぉ~♪♪♪♪」
 こう言いながら、レイは、無邪気で不敵な笑みを浮かべていた。こんな自信たっぷりなレイの様子を見て、店のバーテンダーは、希望に縋り付くような気持ちになった・・・・。
店のバーテンダー「お願いだ!!!!『黒い悪魔』を退治してくれ!!そうすれば!この街は救われるはずだ!!頼む!!!」
 これを聞いてレイは、屈託のない笑顔で、こう言う・・・・。
レイ「言われなくても、そのつもりだよ♪」
 これを聞いて、店のバーテンダーは、まるで、天使でも見ているかのような笑顔を見せる・・・・。
店のバーテンダー「ありがとう!!ホントにありがとう!!!!」
 こう言いながら、店のバーテンダーは、泣くほど喜び、本当に感謝していた・・・・。
レイ「だからねぇ~♪知りうる限りでいいから、『黒い悪魔』に関することを教えてくれると助かるな♪♪」
 これを聞いて、店のバーテンダーは、気持ちを切り替えて涙を拭う。
店のバーテンダー「それもそうですね。では、お教えしましょう」
 これを聞いて、レイも真剣な眼差しになる・・・・。
店のバーテンダー「『黒い悪魔』は、他の街では、全てが謎に包まれてる謎の獣と言われていますが、この街の人々は、実は、ほとんどの人が、姿形を知っています・・・・」
 これを聞いて、レイは、怪訝な表情になる・・・・。
レイ「・・・・えっ・・・・!??」
 この後、少しの間、静寂な空気が流れていく・・・・。
レイ「・・・・それって、どういうことかしら・・・・?」
 この後、しばらくの間、静寂な空気が流れていく・・・・。
店のバーテンダー「・・・・奴・・・『黒い悪魔』は・・・実は・・・普段は、黒ずくめの服装をした人間の中肉中背の男性の姿をしています・・・・」
 これを聞いても、レイは、意外ではあったが、さほど驚かなかった・・・・。
レイ「・・・・人間の殺人鬼ってこと・・・・?」
店のバーテンダー「普段です。人間ってわけじゃありません・・・・」
レイ「でも、儀式かなんかで、悪魔と契約して、悪魔に変身できるようになった可能性もあるってことよね??」
店のバーテンダー「・・・・まあ・・・そうですね・・・現に、化け物に変身しますし・・・・」
レイ「!?えっ!!?ホントに悪魔と契約を??」
店のバーテンダー「・・・・その可能性もありますが、何とも言えません・・・・」
レイ「?他には、どんな可能性が??」
店のバーテンダー「・・・・そうですねぇ~・・・例えば、人間の姿をしてるけど、実は、デビルだった・・・とか、後は、獣人の突然変異体であるとか・・・・」
レイ「・・・・とにかく、人間の姿をしているけど、人外の生き物に変身できる・・・ってことか・・・・」
店のバーテンダー「・・・・その通りです・・・・」
 この後、店のバーテンダーは、涙を流す・・・・。
レイ「?へっ!?」
店のバーテンダー「・・・・奴には、どんな賞金稼ぎもならず者も・・・太刀打ち・・・できなかった!!・・・・」
 これを聞いて、レイは、ビックリして、呆然としてしまう・・・・。
レイ「・・・・はっ・・・はあ~・・・・」
 レイのそんな気の抜けた返事を聞いた後、店のバーテンダーは、レイの手を取って、こんなセリフを言う・・・・。
店のバーテンダー「・・・・でもっ!!あんたなら!あんたなら!!やってくれそうだ!・・・・」
 これを聞いて、レイは、ちょっとバーテンダーの勢いに押され気味になってしまうが、すぐに咳払いし、いったん落ち着く・・・・。
レイ「大丈夫♪任せといて♪♪」
 これを聞いて、店のバーテンダーの表情が、ぱあ~っと明るくなる・・・・。
店のバーテンダー「ありがとう!!本当にありがとう!!!!」
レイ「そのために来たんだから♪♪それで、奴の居場所とか分かるかなぁ~♪」
店のバーテンダー「奴の居場所・・・・あっ!!奴は、西の森からこの街に現れます」
レイ「分かったぁ~♪ありがと♪♪」
 こう言いながらレイは、このバーテンダーに無邪気に微笑んだ・・・・。この笑顔を見て、バーテンダーは、レイに見とれてしまっていた。
レイ「?どうかした??」
 こう言いながら、レイは、不思議そうに首を傾げる。レイのこのセリフを聞いて、このバーテンダーは、ハッ!!と我にかえる・・・・。
店のバーテンダー「・・・・いえ・・・何でもないです・・・・」
レイ「ふ~~~ん・・・・」
 レイは、このセリフも不思議そうに言っていた・・・・。これに対して、このバーテンダーは、恥ずかしそうに苦笑いしてしまっていた・・・・。
レイ「じゃっ!私は、そろそろ行くね♪」
 こう言いながら、レイは、店の出口に向かう・・・・。
店のバーテンダー「!もう行かれるんですか!?」
レイ「いやっ、とりあえず、宿で寝ます♪」
 この後、レイは店の出口付近で、ふと足を止め、次のセリフを言った・・・・。
レイ「あっ!バーテンさん♪情報ありがと♪♪」
店のバーテンダー「お礼を言うのは、こっちの方ですよ。奴を狩るためだけに、こんな所まで来て頂いてありがとうございます・・・・」
レイ「う~ん、そういうお礼はまだ早いわね。それは、奴を狩ってから改めて聞くね」
 これを聞いて、店のバーテンダーは感動する・・・・。
店のバーテンダー「・・・・お願い・・・いたします・・・・」
 これを聞いて、レイは、戸惑いながらも少し照れくさくなり、無邪気に得意気な表情になってしまっちゃいました。
レイ「任せといて♪♪」
 こう言いながら、レイは、店を去りながら、左手の親指を立てて、『グッド!!』マークを作った・・・・。
店のバーテンダー「はい!!」
 こう言っていた店のバーテンダーの瞳は希望に満ちあふれていた・・・・。

 ここは、ヴァレックの西にある夜の森の中、黒ずくめの男が、そんな森の中で眠っていた。どうやら眠って夢を見ているようだ・・・・。

~舞台は再び250年前~
 必死で走って逃げている。エリスのお腹の中では、外の慌ただしさに不安げな気持ちになってしまっている赤ん坊がいた・・・・。
グレア帝国の兵士③「!!いたぞおぉ~!!!」
エリス「・・・・マッド・・・・」
 母親であるエリスの悲痛な思いが、この赤ん坊にも伝わってくる。しかし、それでも逃げようと必死になる・・・・っが!!
グレア帝国の兵士④「観念しな!!」
グレア帝国の兵士⑤「逃げ場はねぇぜ!!」
 人間達に追い付かれてしまった。お腹の中でも、エリスがゼイゼイと息を切らしているのが分かった・・・・。
エリス「・・・・あたし、妊娠してるんだし、どんなに時間が稼げたとしても、こうなるのは、当然ね!・・・・」
 こう言い終えるとほぼ同時に、自分のいるお腹の中にドンッ!!と衝撃が伝わる。どうやら、体当たりをしたようだった。だが・・・・。

ズブッ!!ズブッ!!

 このような、鈍い音が聞こえてきた。どうやら、何かが、母親であるエリスの体のどこかを貫通したらしいことは分かった・・・・。
グレア帝国の兵士⑤「・・・・悪いな・・・妊婦であったとしても逃がすわけにはいかないんでね・・・・」
 実は、獣人は、赤ん坊としてお腹の中にいる時でも、外の音は聞こえていて、獣人語も理解していた(人間語までは理解できないが・・・・)。何かがエリスの体に刺さっていた物が、エリスの体から引き抜かれるのを感じた後、自分が入っている母親・・・つまり、エリスの体が、倒れてしまったのを感じた・・・・。
グレア帝国の兵士⑤「・・・・行こう・・・・」
グレア帝国の兵士④「・・・・ああ・・・そうだな・・・・」
 こうして、グレア帝国の兵士達が、去って行き、その足音が、エリスのお腹の中のこの赤ん坊に耳には虚しく聞こえてくる・・・・。
獣人の赤ん坊(・・・・僕・・・これから・・・死んじゃうの・・・・?)
 こうして、しばらく呆然とする・・・・。
獣人の赤ん坊(・・・・いやだ・・・・)
 この後、しばらく間があく・・・・。
獣人の赤ん坊(いやだ!いやだ!!いやだ!!!いやだ!!!!)
 こう思いながら、この獣人お赤ん坊は、死にたくない一心で、母であるエリスのお腹を内側から何度も何度もグーで叩き続ける・・・・。
獣人の赤ん坊(死にたくなぁ~い!!!!)
 こう思った直後、さすがは、獣人の子と言うべきか、グーで叩き続けてきた、お腹をそのまま、その右手で貫き、エリスのお腹から出てきていた・・・・。こうして出てきたこの赤ん坊は全身がエリスの血でいっぱいだった。赤ん坊は、ゼイゼイ息を切らしながら、泣いていた・・・・。
獣人の赤ん坊「・・・・肉・・・・」
 こう言った直後、この獣人の赤ん坊は、自らの母親の肉片を泣きながら食べ始めた・・・・。
獣人の赤ん坊(・・・・ごめんね・・・かあさん・・・・)
 生きるためとはいえ、この獣人の赤ん坊は、自分の母親に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいだった・・・・。

~再び現在~
 再び夜の森の中・・・・、こんな昔の夢を見て、『黒い悪魔』と呼ばれている黒ずくめの服装の鎧型獣人は、目を覚ます・・・・。
黒ずくめの男「・・・・夢・・・か・・・・」
 こう言いながら、黒ずくめの男は、自らの右手で頭を押さえ、自分の母であるエリスの『私ね、もしも、このお腹の子が男の子だったらカズヤ、女の子だったらカスミって名前にしようと思うの』ってセリフを思い出す・・・・。
黒ずくめの男「・・・・俺は男・・・つまり、名前はカズヤってわけ・・・か・・・・」
 こう言いながら、黒ずくめの男・・・・つまりカズヤは、自分に両親がいないことを寂しく思いながらも、両親を殺した人間への復讐心を滲ませていた・・・・。

 ここは、夜のヴァレックのとある宿の中、・・・あの後、レイは、宿で夜まで休憩して、これから宿の部屋を出る所であった・・・・。
レイ「さて!!休憩はこれぐらいにして、そろそろ行きますか!!♪」
 こう言った後、レイは、部屋から出て、この宿の階段で一階に降りてきた。
宿の主人「!おや、お出かけですか?」
レイ「ええ、長旅の疲れそのものはとれましたので♪」
宿の主人「それは何より♪」
レイ「荷物は後で取りにいきますね♪」
宿の主人「分かりました♪正直あなたのおかげで助かりましたよ」
レイ「!?えっ!!?」
宿の主人「昼の酒場での件・・・街中に伝わったので、ならず者もおとなしいもんです♪」
 これを聞いて、レイは、苦笑いする・・・・。
レイ「ああ!!あれね!」
宿屋の主人「『黒い悪魔』狩りの方も期待してますよ♪♪」
レイ「ありがと♪♪」
宿屋の主人「それでは、いってらっしゃいませ♪」
レイ「うん♪行って来るぅ~♪♪」
 こうして、レイは、宿から出た。
レイ(・・・・一応、寝込みを襲うつもりではあるけど、こんな方法で、殺れるなら、こんなに恐れられるわけないし、同じこと考えた人もいただろうしね・・・・)
こんなことを考えながら、店のバーテンダーの言ってた西の森に向かっていると・・・・。
謎の男「・・・・その剣・・・・」
 後ろからこう言われて、レイは足を止め、後ろに振り向く・・・・。
レイ「・・・・この剣が何か・・・・?」
 こう言いながら、レイは、左手で剣の鞘を掴む・・・・。
謎の男「・・・・お前は・・・グレア帝国軍の聖騎士団の者じゃねえのか・・・・??」
 このセリフを聞いて、この場に何とも言えない緊張感が漂う・・・・。
レイ「・・・・だったら・・・何・・・・?」
 この直後、レイは、この謎の男から殺気を感じ、自らの剣を抜きながら、後方に跳ぶ。その直後、さっきまでレイがいた場所にこの謎の男の斬撃が通り過ぎる・・・・。レイは、紙一重で、斬撃をかわしたのだ・・・・。
レイ「・・・・どうやら、聖騎士団への恨みがあるみたいね・・・理由は大体想像つくけど、一応聞くわ・・・何の恨みがあるの・・・・?」
謎の男「・・・・何の・・・だと・・・・?」
 これを聞いて、謎の男は、こう言いながら、こめかみの血管を浮かび上がらせる程、怒りを露にしていた・・・・。
謎の男「お前ら聖騎士団のせいで!!ここに存在してたはずの我らの国!・・・・バードル王国は!滅ぼされたのだ!!」
 これを聞いて、レイは、予想通りだと思いつつ、罪悪感を感じていた・・・・。
レイ「・・・・予想通りね・・・でもね、あなたが恨むのも当然だと思う・・・自分の国が滅ぼされたんだもの・・・・」
バードル王国の男「うるさい!!!!貴様に何が分かる!!」
レイ「・・・・確かに、あなたの気持ちを全て分かるかと言われれば、分からないかもしれない・・・でも!!少なくとも私は、罪悪感を感じてるつもりよ・・・・」
バードル王国の男「黙れ!!」
 こう言いながら、バードル王国の男は、自らの剣でレイに斬り掛かる。こんなバードル王国の男の様子を見て、レイは舌打ちをした後、斬撃を剣でさばいたり、それを紙一重でかわしたりしながら、会話する・・・・。
レイ「待って!!あなたと戦う気はないわ!」
バードル王国の男「うるさい!黙れ!!貴様に争う気がなくとも!俺は!こうしなければ気がすまん!!」
レイ「許してくれとは言わない!でも!!今は待って!」
バードル王国の男「何を待つのだ!!?」
 これを聞いて、レイは一息つく・・・・。
レイ「『黒い悪魔』ってご存知?」
 これを聞いて、バードル王国の男は、自分の剣による斬撃をやめる・・・・。
バードル王国の男「・・・・ああ・・・知っている・・・それがどうした・・・・?」
 この後、レイは、ホッとして、一息つく・・・・。
レイ「この街の人々の中には、元はバードル王国の住民だった人だっているはずでしょ?」
バードル王国の男「・・・・ああ・・・そうだな・・・っで・・・・?」
レイ「その元住民達が!!今苦しんでるのはグレア帝国と『黒い悪魔』よ!」
バードル王国の男「だから!!貴様を殺って!『黒い悪魔』も殺るつもりだ!・・・・」
レイ「・・・・私を殺しても、グレア帝国は、痛くも痒くもないわよ・・・・」
 これを聞いて、バードル王国の男は、驚きを隠せない・・・・。
バードル王国の男「・・・・なっ何言ってんだ・・・お前・・・聖騎士団の一員だろ?・・・そんなわけ・・・・」
レイ「むしろ喜ぶんじゃないかな♪」
バードル王国の男「?喜ぶ!?」
レイ「そっ♪♪喜ぶ♪」
 これを聞いて、バードル王国の男は、更に驚いてしまう・・・・。
バードル王国の男「なぜだ!!?お前は聖騎士団の一員じゃないのか!?」
レイ「・・・・今は・・・違う・・・・」
バードル王国の男「?何??」
 これを聞いて、レイは、微笑みながら、軽くため息をつく・・・・。
レイ「私は、聖騎士団を抜けたんだよね。だから、グレア帝国から見れば裏切り者なのよ。この剣・・・『光刃の剣トラスト』は、そのまま持ってったってだけ♪」
バードル王国の男「・・・・証拠は・・・・??」
レイ「そうねぇ~♪こんな話を聞かされてたら、私が、グレア帝国の者なら真っ先に抹殺するんじゃないかな」
バードル王国の男「・・・・確かに・・・だが!!・・・・」
レイ「それでも、元聖騎士団だった私が許せない?」
 本音を言い当てられて、バードル王国の男は、驚きを隠せない・・・・。
バードル王国の男「・・・・あぁ~、・・・そんなところだ・・・・」
レイ「あなたも『黒い悪魔』を狩る気はあるんでしょ??」
バードル王国の男「当然だ!!」
レイ「なら、順番を反対にしない??」
 突然の提案に、バードル王国の男は、ビックリしてしまう・・・・。
バードル王国の男「・・・・えっ・・・・!?」
 これを聞いて、バードル王国の男は、よく意味が分からなかった・・・・。
バードル王国の男「?何の順番だ??」
レイ「あなたが決めている殺す順番よ」
 これを聞いて、バードル王国の男は、驚きのあまり言葉を失う・・・・。
バードル王国の男「・・・・な・・・に・・・・??」
レイ「そうした方が、お互い得だと思うよ」
バードル王国の男「なぜだ!?」
 これを聞いて、レイは、軽く一息つく・・・・。
レイ「私は、一刻も早く『黒い悪魔』を狩りたい。あなたもなるべく自分が万全の状態で『黒い悪魔』を狩りたいはず」
バードル王国の男「・・・・ああ・・・そうだな・・・・」
レイ『だったら、私とあなたで組んで、『黒い悪魔』を狩ってから、私とあなたの決着をつけた方が得策だと思わない?」
バードル王国の男「俺と貴様は!敵同士だぞ!!」
レイ「敵の敵は味方とも言うし・・・・」
 これを聞いて、バードル王国の男は、しばらく考え込む・・・・。
バードル王国の男「・・・・確かに・・・その方が得策ではあるな・・・・」
レイ「ほらね♪」
 この後、バードル王国の男は、またしばらく考え込む・・・・。
バードル王国の男「いいだろう!!組んでやる!」
 これを聞いて、レイは、ホッとする・・・・。
バードル王国の男「だがっ!ホントに!!『黒い悪魔』を狩る時までだぞ!」
レイ「分かってる♪分かってる♪♪(ホントは、この人と戦うのは避けたいんだけど・・・ね♪)」
 こうして、レイとバードル王国の男は、自らの剣を自分の鞘に収める・・・・。
バードル王国の男「・・・・ところで・・・あんた名前は・・・・?」
レイ「レイよ。あなたは?」
バードル王国の男「・・・・レーガンだ・・・・」
レイ「レーガンさんね♪よろしく♪♪」
 こんな子供っぽいようで子供じゃなく、大人っぽいようで大人になりきれてない、屈託のない明るく無邪気な反応に、レーガンは、驚きを隠せないまま、見とれながらも決して気を許さずに、仏頂面のまま、なるべく感情を込めずに、こう言った・・・・。
レーガン「・・・・あっ・・・ああ・・・よろしく・・・・」
 こんなレーガンの様子を見て、レイは、罪悪感は、感じていながらも、少しホッとし、一息ついた後、気を引き締めなおしていた・・・・。
レイ「さっ、行きましょ」
レーガン「?どこへ向かうつもりなんだ??」
レイ「西の森よ。『黒い悪魔』は、そこに身を潜めているらしいから・・・・」
レーガン「・・・・なるほど・・・・」
 こうして、レイとレーガンは、『黒い悪魔』がいると思われる、『西の森』へ向かって行った・・・・。

 ここは、ヴァレックから西にある、『西の森』。ここには、『黒い悪魔』・・・つまり、カズヤがいた・・・・。
カズヤ「・・・・さて・・・行くか・・・・」
 このまま、カズヤは、ヴァレックに向かって駆け出していた・・・・。

 再び、舞台は、ヴァレックの中・・・レイとレーガンは、西の森に向かっていた・・・・。
レーガン「・・・・なあ・・・・」
レイ「!?何!!?」
レーガン「『黒い悪魔』を退治すると言ってたが、・・・・」
レイ「ええ、言ったけど♪♪」
レーガン「・・・・勝算は・・・・??」
レイ「あるわよ♪」
レーガン「・・・・何か策でもあるのか・・・・??」
レイ「別に、ないわよ♪」
レーガン「・・・・おいおい・・・さっき勝算はあるって・・・・」
 これを聞いてレイは、走りながら、レーガンの方へ振り向き、小悪魔的な笑みを浮かべる・・・・。
レイ「そりゃぁ~、あたしが戦うんですから♪♪」
 これを聞いて、レーガンは、ガクッとしてしまう・・・・。
レーガン「・・・・たいした自信だ・・・・」
レイ「まあ~ねぇ~♪♪」
 これを聞いて、レーガンは、深くため息をつく・・・・。
レーガン「・・・・まっ・・・いいけどよぉ~・・・・」
 こうして2人は、『西の森』に向かって走っていた・・・・。

 ここは、ヴァレックと西の森の間のヴァレックの入口・・・この入口の両端に長槍を持った、2人の兵士がいるのだった・・・・。
入口の兵士①「・・・・なあ・・・・」
入口の兵士②「・・・・何だよ・・・・」
入口の兵士①「・・・・この先の森ってよう~・・・・」
 入口の兵士①は、かなり怯えている・・・・。
入口の兵士②「・・・・こっ・・・この先が・・・・?」
 入口の兵士②も、かなり怯えているようだ・・・・。
入口の兵士①「・・・・何か・・・例の・・・『黒い悪魔』がいるん・・・だよな・・・・?」
入口の兵士②「・・・・あっ・・・ああ・・・そうだろうな・・・・」
 入口の兵士2人は、かなり怯えていた・・・・。
入口の兵士①「・・・・なんかさぁ~・・・上の命令で、俺達ここにいるけど・・・大丈夫かなぁ~・・・俺達・・・・」
入口の兵士②「・・・・だっ・・・大丈夫に決まってんだろ・・・なっ・・・何せ街中には、用心簿の方々が、たっ・・・たくさん・・・いらっしゃってるんだからな・・・・」
入口の兵士①「そのならず者みたいな用心棒達も怖いんだよなぁ~・・・・」
入口の兵士②「そっそんなこというもんじゃない!!」
入口の兵士①「・・・・だってぇ~・・・・」
 こうして、2人の兵士が話していると、その森の中から、黒ずくめの男・・・つまりカズヤが、現れヴァレックへの入口・・・つまりこの2人の兵士の方に向かって歩いて近付いて来る・・・・。まだ、人の姿のままであった・・・・。
入口の兵士①「おい!!何だ貴様は!!!」
入口の兵士②「そこで止まれ!!黒ずくめの男!!・・・っん!?黒ずくめの男??」
入口の兵士①「こっ!!こいつまさか!」
入口の兵士②「・・・・くっ!!黒いあ・・・・!」
 入口の兵士②が、『黒い悪魔』と言おうとしたその直後、カズヤは、両手の腕だけ変身させて、この入口の兵士②をその両手の爪で引き裂いた・・・・。
入口の兵士①「くっ!黒い悪魔だぁ~!!」
 こう言いながら、入口の兵士①は街の中へ逃げ込む。こうして逃げ込む入口の兵士①に向かって、カズヤは、ジャンプする。
入口の兵士①「『黒い悪魔』が現れたぞぉ~!先生方!!たす・・・・!!」

ズサッ!!