劇団誠〈せい〉と仲間たちの冒険

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獣人カズヤ(10)

2017年02月23日 06時34分21秒 | ゴシゴシゴシック~鍋山和弥作品集~

二人は、その位置状態のまま、緊張感いっぱいの空気でピリピリさせていた。その緊張感漂う空気のまま、静かに時が流れていく。

カール「・・・・今日は、満月の夜だ・・・これが何を意味するか分かるか・・・・?」

レイ「・・・・さあ・・・・♪?」

 この後、カールは再び不敵な笑みを浮かべる・・・・。

カール「・・・・それはな・・・・」

 こんなセリフを吐きながら、カールの表情が、不敵な笑みを浮かべつつも、攻撃的なものとなる。そして・・・・。

カール「圧倒的に俺が有利ってことだ。そして・・・・」

 こう言いながら、カールは、自らの聖騎士団専用の剣を抜く。それに応じるかのように、レイも同じく聖騎士団から支給された同じ型の剣を鞘から抜く・・・・。

カール「今日が!!貴様の命日ってことだ!」

 こんなセリフを吐きながら、カールは後ろ向いたままのレイに対して、左手の掌から満月によって強化された、『月光』属性の気功術の光球を複数放出しながら、レイに向かって、ジャンプして間合いを急速に詰めようとする。それに対して、レイは、自分から見て前方に跳び、急速に間合いを詰められないようにしつつ後ろに向き、それと同時にカールと同じように左手の掌から『光』属性の気功術による光球を複数放ち、カールの『月光』属性の気功術による光球を一つ残らず正確に打ち落とす。しかし、カールは剣撃によってレイを仕留めようとするが、レイもその斬撃に対して、自らの剣で応じ、カール斬撃を悉く防いでいく・・・・。

カール(・・・・一筋縄にはいかないか・・・流石は、聖騎士団の元ナンバー2・・・・)

 そのままの状態で、レイとカールの二人は、着地し、その後も、剣で互角の戦いを繰り広げる・・・・。

レイ(・・・・なかなかやるわね・・・・)

 こうして互角の戦いを繰り広げていくものの、互角だった剣による戦いが、少しずつ少しずつ、レイが押し始める。そして・・・・。

レイ「はあ~!!!!」

 次の瞬間、レイの斬撃が、カールの胸元を掠る・・・・。

カール「!!くっ!!!!」

 こんな声が漏れた後、カールは、舌打ちをし、一旦間合いを取ろうと後方に跳ぶがするが、レイは、それを追って前方のカールを追って、追い打ちをかけるように跳び、剣撃戦を続ける・・・・。

カール「くそっ!!!!」

レイ「逃がさないよ」

 そんなレイに対して、カールは、右手に持った剣で、レイとの鍔迫り合いのに持ち込んで、左手の掌の方に気功術の気を集める・・・・。

レイ「!?ヤバッ!!!!」

 こんなカールの様子を見て、今度はレイの方が、カールとの間に距離を空け、間合いを取ろうとする。そんなレイに対して、カールは左手の掌に集めた『月光』属性の気を全て、光砲として放つ・・・・。

レイ「くっ!!」

 レイは、跳んだ状態のまま咄嗟に、自らの『光』属性の気功術で、光の壁を作り、カールの『月光』属性の光砲を防ごうとする・・・・。

レイ「・・・・もう・・・ダメ・・・・」

 そんな、レイの光の壁もたっぷり、気を集める余裕のある上に、『月光』属性の気功術の使い手の特徴である、月の満ち欠けによって、効果の強さが変わる特性なのだが、今夜の満月の状態で、強さMAXである光砲は威力を弱める事はできたものの、全ては防げず、真面に食らってしまった・・・・。

カール「そのまま!!叩かせてもらうぞ!!!!」

 こう言いながら、カールは、『月光』属性の気をため、再び光砲を放つ。剣での勝負では勝ち目がないのと、今夜は満月のため、自分が有利と判断したためである。だがレイは、カールのいる方向に向かって、そんな『月光』属性の気功術の光砲ギリギリ上を跳び越して、あっという間に、カールのすぐ上にいた、左手には『光』属性の気功術を集めている状態で・・・・。

カール「!?しまった!!!!」

レイ「隙だらけね♪♪」

 この後、レイは、左手の掌にためた、『光』属性の気による光砲を攻撃後で完全無防備なカールに向かって放ち、真面に食らう・・・・。

カール「ぐはああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 この攻撃後、そんなカールの上をも通り越し、カールの後方に着地し、攻撃を食らったカールの方に向きなおる・・・・。

レイ「・・・・残念ね・・・満月ってだけで・・・私は仕留められないわよ・・・・」

 この後、カールは、関心など全くしてない様子で、ふざけて拍手する・・・・。

カール「いやぁ~、目出度い。今だにそう思っているとはな・・・・」

レイ「事実、あなたの方がダメージはでかい・・・・」

 この後、カールは、大声で笑う・・・・。

カール「今夜は満月なんだ!!必ず逆転するね!!!!」

 これを聞いて、レイは、不敵な笑みを浮かべる・・・・。

レイ「それはどうかしら♪」

カール「やってみれば分かるさ」

レイ「それは楽しみね♪」

 この後、レイとカールは、対峙するように立っていて、周囲は緊迫した空気に包まれていた・・・・。

 

 ここは、あの『聖騎士団』への登竜門とも呼ばれている、グレア帝国の『筆頭機動戦士隊』の訓練所。ここでは様々な訓練のできるのだが、そんなここで、ひたすら様々な筋トレを黙々としている男がいた。

筆頭機動戦士隊隊員「よおっ!!バダス!」

筋トレしている男「!?何ッスか??サダさん」

サダ「歩兵部隊の者が顔出してるぞ」

バダス「!??歩兵部隊????」

サダ「ああっ何でも、お前に頼みごとがあるそうだ」

 これを聞いて、バダスは、筋トレをやめる。

バダス「?頼みごと??俺に????」

サダ「そうだ、話だけでも聞いてみるか?」

 これを聞いて、バダスは、何となくダルそうに立ち上がる・・・・。

バダス「・・・・とりあえずな・・・・」

サダ「じゃっ!こっちだ」

 これでも、バダスはダルそうである・・・・。

バダス「・・・・へいへい・・・・」

 バダスは、ダルそうながらも、サダに付いて行く・・・・。そのまま進んで行くと、一人の歩兵部隊員の姿が目に入った。どうやら話を持ちかけたのは、この歩兵部隊員らしい・・・・。

サダ「やあっ!マルクス。彼がバダスだ」

歩兵部隊員「マルクスです!!よろしくお願いします!!!!」

バダス「・・・・バダスです・・・よろしくお願いします・・・・」

 こうして、マルクスとバダスは、互いに頭を下げた・・・・。

バダス「・・・・マルクス君だっけ?・・・歩兵部隊のお前が、僕に何の用なんだ・・・・??」

マルクス「はいっ!!!!実は、とある者らを討伐するのに協力して欲しいのです」

バダス「・・・・ほおぉ~・・・・」

マルクス「・・・・引き受けて・・・頂けますか・・・・??」

バダス「・・・・それは、どんな奴なんだ・・・・??」

 これを聞いて、歩兵部隊員のマルクスは、『しまった!!』って感じの表情になる・・・・。

マルクス「これは!!失礼を!・・・・実は、そいつらは三人なのです」

バダス「?三人??」

マルクス「はい、一人は、我が国が滅ぼしたレアル王国のナンバーワン剣闘士で、元レアル王国王の右腕とも言えるルイス・・・・」

バダス「・・・・あぁ~、レアル王国の生き残りか・・・だがっそいつらは、亡国王女ミリアを含めた二人組じゃなかったか??・・・・」

マルクス「・・・・実は最近、もう一人加わったんです・・・・」

バダス「!?まだ生き残りがいたのか!??」

 バダスは驚きを隠せなかった・・・・。

マルクス「・・・・いえっ・・・それは違います・・・・」

バダス「?じゃあ、誰だ??」

 この後、マルクスは、一息つく・・・・。

マルクス「・・・・そいつは、最近まで『ヴァレック』近辺で生息していた、通称『黒い悪魔』と呼ばれていた鎧型獣人です。つまり、人ではありません・・・・」

 これを聞いて、バダスは、つい苦笑してしまう・・・・。

バダス「・・・・なるほど・・・鎧型獣人・・・通称『黒い悪魔』・・・か・・・・」

マルクス「・・・・引き受けて・・・頂けますか・・・・?」

 これを聞いて、バダスは不敵な笑みを浮かべる・・・・。

バダス「・・・・ああっ♪・・・面白そうだな♪・・・・」

 これを聞いて、マルクスは、歓喜の表情を浮かべる・・・・。

マルクス「ありがとうございます!!!!」

 こう言いながら、マルクスは、勢い良く、深々と頭を下げる・・・・。

バダス「・・・・さてっと・・・・」

 こう言いながら、バダスは、歩き始める・・・・。

マルクス「?どちらへ??」

バダス「・・・・もう一人、仲間に声かけてくる・・・・」

 これを聞いて、マルクスは更に、歓喜の表情を浮かべ、再び深々と、頭を下げる・・・・。

マルクス「本当に!!!!ありがとうございます!!」

バダス「・・・・いいよいいよ・・・・」

 こう言いながら、バダスは、歩きながら、適当に右手を振って応えた・・・・。

 

 ここは、目的地である『ミミアート』付近の夜の森の中、この森の中で、カズヤ、ミリア、ルイスの三人は、取り囲んだ真ん中の焚き火で、ご飯を食べていた。今日は、シチューである・・・・。

ミリア「さすがルイスだね♪♪」

ルイス「お口に合って良かったです。どうです?カズヤさんの方は」

カズヤ「・・・・うまいな・・・・」

ルイス「それは良かった!!」

ミリア「おいしいよねぇ~♪ルイスの料理♪♪」

カズヤ「・・・・ああ・・・こんなうまいもの初めて食べたな・・・・」

ルイス「いやぁ~♪お世辞でも嬉しいなぁ~♪♪」

カズヤ「いや!!いや!いや、お世辞じゃねぇ~よ!」

ルイス「それなら♪なおさら♪♪」

 こうして、楽しい時が過ぎていき、カズヤは、初めて、大勢での食事は楽しいものだと知ったのであった・・・・。

 

 再び場面は、レイとカールが戦っている夜の草原へ。レイとカールは、常に移動しながら、左手から放つ光球で牽制し合っていた・・・・。

レイ(・・・・気功術による攻撃では、満月の夜だと、『月光』属性の向こうが有利・・・どうにか隙を作らないと・・・・)

カール(満月の夜だと、満月の力を借りている、こっちが有利なんだ。このまま、相手を削り続けるも良し、向こうが焦って、隙をつくも良し)

 いくら、レイが、剣術が得意でも、気功術が強くても、このフィールドでは、やはり、精神的余裕があるのは、カールであった・・・・。


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