カズヤ(・・・・もう・・・一緒には・・・いられないな・・・・)
こう思いながら、カズヤは、ミリア、ルイスの方から背を向け、この場を去ろうとする・・・・。
ミリア「!カズヤ!?」
このミリアのセリフを聞いて、カズヤは背を向けたまま足を止める・・・・。
カズヤ「・・・・すまなかったな・・・・」
ミリア「・・・・へっ・・・・?」
こんなミリアのセリフを聞いた後、カズヤは、視線を自らの肩越しに、ミリアの方に向ける・・・・。
カズヤ「・・・・悪かったな・・・・」
ミリア「!?・・・・へっ・・・・!??」
カズヤ「・・・・獣人・・・それも・・・『黒い悪魔』である事を隠してて・・・な・・・・」
こんなカズヤのセリフを聞いて、ミリアは、その事を気にしてるというよりも、感謝の気持ちと驚きや申し訳ない気持ちが混ざり合ってしまい、呆然とした気持ちになってしまっていた・・・・。
ミリア「・・・・そんなこと・・・気にしてないよ・・・・」
しばらく、このまま静かな時が流れていく・・・・。
カズヤ「・・・・じゃっ・・・元気でな・・・・」
こう言いながら、カズヤは、この場を去ろうとする・・・・。
ミリア「!!待って!!!!」
こう言われて、カズヤは足を止める・・・・。
カズヤ「・・・・レッサー・ドラゴンから・・・助けてくれて・・・ありがとな・・・・」
ミリア「・・・・それは・・・ルイスだよ・・・・」
カズヤ「・・・・それでも・・・あなたに仕えてる戦士だ・・・あなたにも・・・ルイスにも感謝すべきだ・・・・」
ミリア「・・・・まあ・・・ルイスは・・・私に仕えてるんだけど・・・・」
ルイス「王女♪感謝の言葉は、ありがたく受け取りましょう」
これを聞いて、ミリアは何だか照れ臭くなってしまう・・・・。
ミリア「・・・・こっ・・・こちらこそ・・・ありがとう・・・・」
カズヤ「!?へっ!??」
ミリア「・・・・ここでは・・・私の方が助けられたから・・・・」
ルイス「・・・・確かに・・・・」
これを聞いて、カズヤは、ふと瞳を閉じて、晴れ晴れしい気持ちになった後、再び目を開く・・・・。
カズヤ「・・・・じゃっ・・・元気でな・・・・」
ミリア「待っ・・・!!!!」
ルイス「俺らと行動しないか?」
こう言われて、カズヤは再び足を止める・・・・。
カズヤ「?・・・・えっ・・・・??」
この後、ルイスは、ちょっとした恥ずかしさもあって、つい咳払いをする・・・・。
ルイス「・・・・正直・・・お前がいてくれた方が・・・王女を守る上でも・・・俺としては・・・助かる・・・・」
ミリア「・・・・ルイス・・・・」
カズヤ「・・・・俺は・・・獣人だぞ・・・・?」
ルイス「構わんさ♪」
ミリア「・・・・私は・・・むしろ・・・一緒にいて欲しい・・・・」
ルイス「・・・・っだとさ♪♪」
これを聞いてカズヤは、歓迎されていることに喜びを感じていた・・・・
カズヤ「・・・・ありがとう・・・・」
ミリア「お礼を言うのは、こっちの方だよ」
これを聞いて、カズヤは一息つく・・・・。
カズヤ「・・・・っじゃっ!!旅に同行させてもらいましょうかねぇ~♪♪」
これを聞いて、ミリアは、屈託のない無邪気な笑みを見せる・・・・。
ミリア「やったぁ~!!♪♪」
こうして三人は、共に、とりあえずの目的地である『ミミアート』に向かって歩き出した・・・・。
ここは、とある草原。ここに、銀髪のオールバックの髪型の赤い軍服の男がいる・・・・。腰には聖騎士団製の例の剣が下げてあり、その鞘には、『CURL』と彫ってあった・・・・。そう、彼の名はカール、元聖騎士団の一員で、グレア帝国の裏切り者のレイの討伐のために、ヴァレックに向かっている所であった・・・・。今は、完全にお昼時である・・・・。
カール「・・・・こっちだな・・・・」
こう思いながら、カールは歩き続けた・・・・。
カール「どこにいようとも、その化け物のような気は誤魔化せんな・・・・」
実は、気功術の使い手は、相手が気功術の使い手であろうとなかろうと、全身に流れている他の者の気を感じることができる。それは、強い気功術の使い手であればあるほど、より弱い気をより遠くからでもより正確に位置を掴むことができる・・・・。
カール「・・・・お前は、優秀な剣士だっただがな・・・レイ・・・・」
こう言いながら、カールは瞳を閉じて不敵な笑みを浮かべながら歩き、再び瞳を見開き、足を止める・・・・。
カール「・・・・レイよ・・・お前は・・・国を裏切った・・・・」
カールの周囲には何とも冷たい風が吹いていく・・・・。
カール「・・・・お前の命・・・奪わせてもらうぞ・・・・」
しばらく、その場に立ち尽くした後、カールは再び歩き出した。すると、・・・・。
カール「!んっ!?」
カールは、周囲に何者かの気配を4つ感じ、再び足を止める・・・・。
カール「・・・・この気は・・・サイクロプスか・・・・」
このセリフの直後、カールの周囲を4匹の巨大な一つの目の濃い緑めの筋肉質な巨人が現れ、カールの四方を囲む・・・・
カール「・・・・普通の人間なら、恐怖で怯えたりするのだろうが、相手が悪かったな・・・・」
サイクロプス達「がああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
カール「しかも、よりにもよって、こんな真昼間の快晴の日に・・・な・・・・」
この後、この4匹のサイクロプスは、一斉にカールに襲いかかる・・・・。
カール「はああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
こう叫びながら、カールの全身は、まるで太陽のように、神々しい炎に包まれ、その炎が、四方のサイクロプスの方に放たれた・・・・。
サイクロプス達「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
この炎に包まれ、4匹のサイクロプスは焼失した・・・・。
カール「・・・・そう・・・・」
そのまま、カールを包んでいた、まるで太陽のような炎が、消えていった・・・・。
カール「昼間は、太陽属性のこの俺が」
そう、カールは、環境によって気功術の属性が変化する特殊な気功術使いであった。カールの場合、昼は『太陽』属性、太陽の日照りの強さによって、技の威力が変化する、日差しが強ければ強いほど、威力が上がる属性であった。そのため、夜は使えない。逆に、夜は月の満ち欠けによって威力の変化する『月光』属性で、新月の時は、『月光』属性の気功術すら使用できず、満月の時が一番強い威力になるのである。その時の特性は、レイの『光』属性に近いものがあった。だが、満月の時の『月光』属性での技と同じ威力の技を『光』属性で出す場合、『光』属性の方が体力を消耗するのであった。つまり、『光』属性の方が不利なのである。そして・・・・。
カール「今夜は、満月だ♪」
こう言いながら、カールは、再び歩き始めた・・・・。
ここは、ヴァレックの中のとあるカフェ、ここのカウンターテーブルで、レイは、コーヒーを飲んでいた・・・・。
レイ「・・・・この気は・・・太陽属性の気・・・カールね・・・・」
こう言いながら、レイは、コーヒーを飲んでいたカップをテーブルに置いた・・・・。
レイ「・・・・この町の人々を巻き込まないためにも・・・町の外に出た方がよさそうね・・・・」
こう言った後、レイは、しばらく瞳を閉じ、精神を集中させ再び、ゆっくりと眼を見開き、一息つく・・・・。
レイ「すみませぇ~ん!!勘定お願いします!」
店員「はい!!分かりました!」
この後、店員は、レイのもとに向かった・・・・。