ナンバリングをいくつかすっ飛ばす形での紹介です。理由は楽譜入手なんですが、この楽譜ちゃんとしているんだけど、かなり古くて元々の値段は450円。今だと約3倍の値段がする。今回は正式ナンバーですが、彼に辿り着くまでには時間がかかりそうなので、とりあえず?扱いにします。
ムソグルスキー 展覧会の絵 (ラヴェル編集版) (カルロ・マリア・ジュニーニ フィラデルフィア管弦楽団)
作曲年代 1874年
時代区分 後期ロマン
形式 組曲・小品集
形態 原曲 ピアノ独奏/アレンジ オーケストラ
ピアノ難易度 上級中~上級上 (全体・基本的には中級レベルの曲が集まっているが、難易度の高い曲が混じっているため)
楽譜入手(ピアノ) 全音・音楽之友社(ウィーン原典版)・ドレミ出版
アレンジ これ。ピアノだとリムスキー=コルサコフとホロヴィッツ版あり・オーケストラもストコフスキーを含めたくさん、ギター単独で山下編があって、シンセサイザーの富田版(*1)、さらにロックアレンジもある。
使用場面 たくさん・最近だと珍百景にキエフの大門のラスト部分が使われている。
参考 ピアノ版 (キーシン)
ピアノ楽譜に関しては全音の難易度設定が数少ない最高ランク(*)のままここまで維持してている数少ない曲集の一つであるムソグルスキーの大作展覧会の絵です。無くなった親友のハルトマンのために作られたこの曲は氷弾音楽の一つの傑作として捕らえることが出来ます。全10曲の絵とそれをつなげるためのプロムナードという編成は後に大きな影響をあたえた曲の一つとも言えます。その証拠にこの曲はかなりの数の人が色んな所でアレンジを繰り返しています。今日紹介するのはその中でも誰もが知っているラヴェル編の展覧会の絵です。最初のプロムナードをトランペットの演奏で始める印象深い曲です。
それ故にある時期まではこの原曲は難易度の高い、それでいて演奏的効果の薄い曲だと思われていて、リムスキー=コルサコフ版の編曲がよく使われていました。それを打ち破ったのがリヒテルで幻のソフィアライブで発表されると世界中に衝撃を与えました。以後原曲版として、今ある楽譜という形で見ることができるようになりました。そのリヒテルを始めとしてラヴェル版を批判することがありますが、曲想自体が印象派にもとらえられることができるのと、国民楽派にもとらえられることができるので、この辺りは聞く人の好みになると思います。後者の関係で聞きたい人はストコフスキー版を聞くといいでしょう。ラヴェルがトランペットで行った部分を、ヴァイオリンで処理しているのがストコフスキーの特徴です。ピアノ版でもうちょっとらしさがほしいのであればホロヴィッツ版でもいいでしょう。
ムソグルスキーが作品のモチーフにしたのは以下の10作品です(プロムナードを除く)
- 小人(グノームズ)
- 古城
- テュイルリーの庭 遊びの後の子どもたちの口喧嘩
- ビドロ (牛車)
- 卵の殻をつけた雛の踊り
- サムエル・ゴールデンベルグとシュミュイル
- リモージュの市場
- カタコンペ
- ババ・ヤーガの小屋 (鳥の脚の上に建つ小屋)
- キエフの大門
ムソグルスキーはもう一曲やる予定です。
(*1)元々は手塚治虫の実験的作品のサントラとして、ラヴェル版を考えていたのだが、著作権が1998年まであったので、当然使用するには許可が必要だがその金額が膨大だったために諦めて、富田烈に依頼してできたのがシンセサイザー版。今見ることができるのは一部カットしたヴァージョン。
(*2)楽譜集の後ろに難易度設定があって、昔の全音は出している楽譜が少ないために第1過程から第6過程まですべての出版物を書いていた。この時の難易度設定が鬼畜で、今の難易度設定を一つ落としたのが当時の難易度設定になっている。しかも第5過程の基礎練習がショパンのエチュードだけで第6過程にいたっては平均律2巻とブラームスが4過程からのからの繰り上げで持っているだけで、他にはドビュッシーの練習曲集しかなかった。ツェルニー60番でさえ50番と扱いが同じ第4過程にあるという状況。で、展覧会の絵はこの中でも第6過程の中に入っている。音楽之友社の難易度設定は上級から上級上扱い。