溜まってきたので先のナンバーの方を放出。81・82は曲が決まっているので83からのナンバリングです。
モシュコフスキーはピアノ二曲という形にします。
モシュコフスキー
火花(8つの性格的小品から) (ホロヴィッツ)
15の技術的練習曲(名人芸の練習曲とも)から6番 (ネルソン・フレイレ)
成立年代 不明
時代区分 後期ロマン
形式 火花・性格的小品/技術的練習曲から・練習曲
ピアノ難易度 火花 中級中・中級上/技術的練習曲 上級
楽譜入手 火花 音楽之友社の作品集/15の技術的練習曲 (イゴール・ロマの編曲は彼のホームページからダウンロードできます)
アレンジ 火花 イゴールロマやヴォロドスが編曲している。
使用場面 不明
ポーランドが生んだ作曲家のモシュコフスキーです。名前からするとマイナーかも知れませんが、ピアノを演る人からすればツェルニー40番のあとの選択肢の一つである15の技術的練習曲を作曲したという人とくればピンと来るかもしれません。ピアノ曲が多く、サロン向けの曲が多いのが特徴で、パデレフスキーいわく「ショパン以降にピアノの作品を作るのはどうすればいいのかと心得ていた」という評価を得ていた人です。残念ながら日本での楽譜は全音では火花が発刊されておらず、音楽之友社でも15の練習曲集と有名曲をまとめた曲集(火花は収録されている)しか収録されていない状況ゆえに、マイナーに捉えられがちです。しかし15の練習曲集はショパンのエチュードをやる前にやる練習曲集という仕手の認識がありますし、火花に関しては後ヴォロドスやイゴール・ロマが編曲をしていますので、聞いたことがあるという人はいるかも知れません。
火花の方は可愛げのあるような曲に思えますがいきなり両手のリレーからスタートするのでなれないと大変です。比較的早い状態で曲自体が進行しますので、うまく引けないという人はどこかで減音アレンジを考えなくてはいけないかもしれません。ただ必要な技術に関してはそれほど難しいかなあというものは使用していない曲ですので、レパートリーに加えるとすればおすすめの曲です。極端な話最初の部分は右手一本という手抜きもできますし。(ロマのアレンジも分けて引くような指示なっているし→原曲の指示は小節ごとに右と左手を入れ替えている→このため技工芸に見られやすい)
一方の技術的練習曲ですが、難易度はさっきいった通りのことを考えると上級評価です。ツェルニー40番を終わらせることが一定の条件になるわけですが、最近はいきなりショパンのエチュードに飛び込む人もいるので、軽く見られがちなのが残念ですが、クラーマ=ービューロー、グラドゥス・アド・パルナッスム、モシェレスと同じぐらいの技術的かつ音楽性にとんだ練習曲だと思います。なので、ピアニストをやるという人であれば軽視できない部分の難易度の練習曲だと思います。
モシュコフスキーも戦争の影を踏んでしまった作曲家の一人です。と言っても彼自身はポーランド→ドイツ→パリと移り住み、特にドイツ国内で大きな人気を勝ち取ったピアニストでしたが、戦争国債をしていたことで経済的な困窮をしてしまいます。その弟子からはラヴェルに細かいところまで指示(彼以外にはしなかった)をされたピアニスト・ペルルミュテールがいます。実はラヴェルの楽譜というのは著作権が1997年までありましてかなりの期間効果だった時期があります。著作権が切れた時に各社はいろいろな人のことを参考にしたそうですが、いちばん参考にしたのはほかならぬペルルミュテールに対していったことがメインになったといいます。この時はペルルミュテール本人が健在でしたので、音楽之友社から出ているものは彼が校訂した楽譜を利用しています。そういう意味で言えば20世紀にかけて活躍してく作曲家は、この時期においても影響力を与える作曲家が多くなっていくわけです。
次回は、シマノフスキー。