「あんな大きな音なのに?」
…と、あえて言ってみた。
不動産屋の女性は「もう一度聞いてみます」と帰って行った。
ーーそして、しばらくして、再び不動産の女性がやって来た。
「宮本さん、なんて言ってましたか?」
「『そんな、大きな音じゃない。カリカリと壁を引っ掻くような程度だ』と、いってました」
「宮本さん、最初は、何も聞こえない…と言ってたのに…。」
「『大きな音』と嘘を言ってしまって、すみません。宮本さんがなんて答えるのかを知りたくて…」
「…そうですね。音の正体を宮本さんは知っているみたいな言い方ですよね。もう一度あらためて、確認してみます」
「あ、もういいです。お隣さんと揉めたくないので、我慢します。あの程度の音なら、イヤホンでもして過ごせば気にしなくて済みそうなので…」
「…そうですか…。」
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