goo blog サービス終了のお知らせ 

東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

牛ばら肉の赤ワイン煮込み ブルゴーニュ風

2006年10月28日 | 賄い料理

本日は、今の季節にピッタリの賄い料理をご紹介します。

牛ばら肉の赤ワイン煮込み ブルゴーニュ風です。

フランス ブルゴーニュ地方の郷土料理として、エスカルゴ料理などと共に大変有名な一皿です。

フランス修行中に、ブルゴーニュのビストロでもよく作っていましたので、とても懐かしくその頃を思い出しました。

今回はオーナーのご好意で、同じブルゴーニュ地方の赤ワイン ジュヴレイ・シャンベルタンを飲みながらの食事になりました。

本当に良い相性で、とても感激しました。

グリンツィングでは、和牛頬肉の赤ワイン煮込み カオール風味を一年を通してお出ししていますが、同じ牛肉の赤ワイン煮込みでも今回は、味も濃く歯ごたえもしっかりとしたオーストラリア産のばら肉を使い、フランスの地方料理そのままの素朴なイメージで仕立てています。

料理名だけ聞くと同じようなお皿を想像しますが、レストランの料理と家庭料理、ビストロ料理とは、それぞれ別の料理になります。しかしそれぞれに良さが有り、求める人がいます。

先程は別の料理とは言いましたが、そのベースやオリジナルは家庭料理、地方料理から来ている物でありますので、形や作り方、味わいなどが違っていても、結局は同じ物になると思います。

今回の様に賄い料理で、現地そのままの地方料理を作る事の意味は、オリジナルを学ぶ事でとても大切な調理の基本や、フランス人の生活や郷土を感じてよりフランス料理の理解を深め、今の自分の料理に繋げるためでも有ります。

単純に美味しい料理を作る事や食べる事に、どれだけの事を学ばなければいけないのかと、毎日怖くなります。きっと尽きる事の無い問題ですが、つくづく奥の深い世界だと考えさせられます。

 

 

 

 

 

 

 

 


フロマージュドテートのパートブリック包み焼き

2006年10月09日 | 賄い料理

本日は、ビストロ料理をアレンジして作った賄い料理をご紹介します。

フロマージュドテートのパートブリック包み焼きです。

フロマージュドテートとは、豚の頭肉を煮込んで冷やし固めた料理ですが、今回は温製のメインデッシュに仕立ててみました。フランスでもテートドヴォーと言う、仔牛の頭肉を煮込んだ温製の料理がビストロの定番でありますが、そちらに近い感じです。

フランス人がとても好きな料理ですが、ゼラチン質が多く味わいも濃厚なので、日本人には馴染み難い一皿かもしれません。

そこで今回は、パートブリックと言う非常に薄い生地で包んで、オーブンでサックリと香ばしく焼いてみました。食感にメリハリが出て濃厚ですが食べやすい形になったと思います。

ソースは、トマトとビネガーの酸味を効かせたラビゴット風の物で、付け合せはオリジナルに忠実にゆでたジャガ芋を添えています。

個人的には、フランスでもよく食べましたし、今でも時々無性に食べたくなる大好きな料理ですが、日本人のお客様には、現地そのままの形では喜んでいただき難いと感じています。

日本とフランスで、文化や風土、宗教からくる嗜好の違いがあることは当然だと思います。しかし同時に、美味しいと感じる気持ちにそんなに違いは無いのでは、とも最近になって思います。

フランス料理を作っているだけに、そのバランスをよく考えていきたいと思います。


ムール貝の白ワイン煮

2006年10月03日 | 賄い料理

本日は、スタッフみんなで鍋を囲んで食べた、賄い料理をご紹介します。

ムール貝の白ワイン煮です。

ムール貝にエシャロットやニンニク、セロリ、パセリなどを加えて、白ワインで蒸し煮にした、とてもシンプルな料理ですが、食べ始めると止まらなくなる位、とても美味しくて大好きな料理です。

今回はリッチな味を出したかったので、煮汁に生クリームを加えて仕上げています。

付け合わせは、バターライスを添えています。貝を食べた後のスープにご飯を入れると、リゾット風になって最後まで美味しく食べられます。

フランス修行時代にもよく、パリやブルターニュのビストロで食べました。

フランスのムール貝は、小粒で味が濃くとても美味しいのですが、日本の物は形も大きく、味も少し大味な気がして残念です。

フランスでは、ムール貝の白ワイン煮の付け合わせとして、フライドポテトが付いていて、その一皿で満足する位のボリュームが有りました。

ビストロでは、山盛りのムール貝が鍋ごとテーブルに出される事が多くて、見ているだけで美味しさが伝わってきます。

高級食材や、特別な料理では有りませんが、多くの人に喜んでいただける素晴らしい一皿だと思います。

 


トリップの煮込み カン風

2006年09月14日 | 賄い料理

本日は、秋のメニューの試作として作った賄い料理をご紹介します。

トリップの煮込み カン風です。

トリップは、牛の第2胃袋で別名でハチノスとも言います。

カン風とは、フランスのノルマンディー地方にあるカンと言う町の名物料理で、トリップと共に特産物のリンゴのお酒シードルと、その蒸留酒のカルヴァドスを使ってじっくりと煮込んだ料理です。

見た目には地味な料理ですが、トリップの食感とコクに、人参や玉葱などの野菜の甘味と上等なお酒の風味が加わり、とても味わい深い美味しさが有ります。

いかにもフランスの地方料理で馴染みが無いような気がしますが、豆腐やコンニャクを加えて生姜と醤油で味をつけると、食べなれた和食のモツ煮込み風になりとても身近な感じになります。

作り方は、3回程茹でこぼしてカットしたトリップと豚足を、小さめにカットして炒めた玉葱、人参、ニンニク、セロリと、シードル、カルヴァドス、フォンドヴォライユ(鶏のダシ)と一緒に、軟らかくなるまでオーブンで煮込みます。塩、コショウで味を調えてから、塩茹でしたジャガ芋を加えてパセリを振り完成です。

とても美味しく出来て良かったのですが、内臓を使った少しマニアックな料理ですので、メニューに載せてもお客様に注文していただけるか心配です。

自分が美味しいと思い食べていただきたい料理と、お客様の求めている料理の違いにいつも悩みます。

この一皿も、お客様との間にずれが出ないか、もう一度考えてみたいと思います。

 

 

 


サンマのパン粉焼き 南仏風

2006年09月08日 | 賄い料理

本日は、ひらめきから生まれた賄い料理をご紹介します。

サンマのパン粉焼き 南仏風です。

何故にひらめいたかと言いますと、毎年夏も終わりに近づき秋の気配がしますと、美味しいサンマが安く売られ始めます。

賄いでもよく塩焼きにして、炊き立てのご飯と味噌汁と共に味わっています。贅沢な食事では有りませんが、日本人に生まれて良かったと思える位に大好きです。

しかし、いくら美味しくて個人的に好きでも、毎回同じ食べ方ですと少し飽きてきます。

その日もいつもどうりに、塩焼きにする予定でしたが、とっさにサンマでフランス料理を作れない物かと考えてしまい、アドリブで作ってみました。

フランス修行中に南仏で、イワシを使ったこの様な料理をビストロで食べた事が有ったので、同じ青魚のサンマでも出来るのではと思った事が、この一皿の始まりです。

実際に食べてみると、思った以上にフランス料理になっていて嬉しかったです。

下に敷いてある付け合わせの野菜も、ざっくりと作ったラタトゥイユをイメージしていますし、一緒に加えたジャガ芋が、サンマの脂やトマトの水分などを吸ってとても美味しくなっています。そして、あえて内臓をつけて焼いたところ、その苦味が賄いらしいワイルドな味になっています。

実際のフランスには、この様なサンマの料理は無いと思いますが、きっと南仏に住むフランス人が日本のサンマを調理したら、こんな感じになるのではないでしょうか?

ここは日本ですので、たとえフランスには無くても、旬の美味しい食材は、遠慮しないで使っていきたいと思っています。