東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

ブーダンノワール 林檎添え

2006年12月06日 | 賄い料理

本日は、少し変わった賄い料理をご紹介します。

ブーダンノワール 林檎添えです。

ブーダンノワールとは、豚の血で作ったソーセージの事を言います。

血で作ったと聞くとびっくりされる方もおられると思いますが、フランスではとても庶民的な食べ物としてビストロや家庭で普通に食べられています。

自分もフランス修行中には、お肉屋さんやお惣菜屋さんでよく買って食べていました。

最初に太くて真っ黒なソーセージがとぐろを巻いて売られているのを見たときには、とても美味しそうには見えませんでした。ましてや血で出来ていると聞くと少し食べる事に抵抗が有りましたが、いざ食べてみると思っていたよりも癖も無くとても濃厚でコクのある味わいに、一口食べて大好きになってしまいました。

そんな思い出もありその時は、豚の血まで捨てず料理にしてしまうヨーロッパの人達に、農耕民族の日本人との文化の違いを感じていました。

そこで今回は久しぶりにブーダンが食べたくなり、それなら賄いで作ってしまおうという事になりました。

久しぶりに作りましたが、なかなか上手く出来て良かったです。

付け合わせは定番の林檎とマッシュポテトを添えています。

軟らかいブーダンノワールと滑らかなマッシュポテトを混ぜて食べると、しみじみと美味しくてフランスでの食事を思い出しました。

ソテーした林檎の甘酸っぱさも、濃厚なブーダンととても相性が良いです。

本当に美味しい物なのでぜひお客様にも食べていただきたいのですが、豚の血で出来ていると説明しますとなかなか注文してもらえないので残念です。

理解してもらい難い特殊な一皿ですが、きっと喜んでもらえる方法があると信じています。

それが料理人の仕事だと思います。

 

 

 


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